400年前より現代に蘇りし戦国武将の集団・名古屋おもてなし武将隊が、ラジオ界の天下一を目指す番組。
7/31(月)の“出陣”は、徳川家康、加藤清正、陣笠隊の足軽・一之助(かずのすけ)です。
今回紹介するのは、『戦国音絵巻』の看板コーナー「武士語変換」。
これは、現代の言葉を3名がそれぞれ戦国時代っぽく言い換える企画で、LINEを使ったリスナーからのアンケートにより、最優秀作品を決定するというもの。
最優秀作品は、MBG(最も素晴らしかった・武士・語)として、番組エンディングで発表されます。
“MVP”っぽく言いたいがための、ムリヤリな造語です。
さて、今回変換するお題は『ドラゴンクエスト(ドラクエ)』。
テレビゲームに興味の無い人でも、その名を耳にしたことはあるでしょう。
自分が主人公となり、冒険をし、敵(モンスター)を倒しながら経験やお金を貯めて強くなっていき、そして最後には強大な悪をやっつけて世界に平和をもたらす。いわゆる「ロールプレイングゲーム(RPG)」というものです。
1作目が発売されたのが1986年。それが人気を博しシリーズ化され、昨年は30周年を迎えました。
そして先日、11作目となる最新作『ドラゴンクエストXI(イレブン)』が発売されたばかり。
現代に蘇ってから、戦国時代以降の歴史も学び、博識な家康が話します。
「現世では『平成』という元号が付けられておるが、『昭和』の頃には社会現象にもなったとな。それくらい日の本において影響の大きい作品である」
1988年、3作目のドラクエが発売された時は、平日にも関わらず買い求める民衆が1店舗に1万人も集まるなど、大きな話題となりましたね。
(※編注 本当はドラクエⅢと書きたいのですが、Ⅲが環境依存文字のため避けました)
「『ドラゴンクエスト11弾目があらわれた!』ということじゃな!」と、ドラクエでモンスターと遭遇した時のメッセージになぞらえる家康。
相当現世の大衆文化を勉強しているようです。
では、まず清正が一番槍を務めます。
「わし、加藤清正がドラゴンクエストを武士語変換いたすと!」
『竜狩り自称伝(りゅうがりじしょうでん)』
さて、そのこころは?
「まず自称伝とは、自伝とも言いますけれども、自分自身の目から見た、自分の人生を記述したもの。こちらドラクエは、主人公が自分自身。私が調べたところによると、自由に名前も付けることができると。自分をその世界に投影できると。
して、クエストというのは“探究・探索”を意味するということで、『竜を追い求める=狩る』という表現にいたしました」
虎狩りをしたことで有名な清正らしい発想ですね。しかしここで家康が問いかけます。
「聞くところによるとお主は、自慢の武器の片鎌槍(かたかまやり)で倒したわけではなく、手元にある鉄砲でズドン!とやったらしいな」
「正直に申しますと…はい。火縄銃にて眉間をズドン!と」
バツが悪そうに答える清正。いやいや、動き回る猛獣の急所を鉄砲で命中させるなんて、ゴルゴ13並みの腕前ですよ。
「もし竜に出くわした時ももちろん、眉間にズドン!と。それによって『トゥルルルットゥットゥットゥー♪』と音が鳴り、『きよまさの段位があがった!』となるのでござる」
ドラクエでは戦いの経験を積むと、独特の効果音が鳴って自分の強さのレベルが上がっていきます。
それになぞらえる清正。こちらもかなり勉強したようです。しかし…。
ここで軍師(ディレクター)からツッコミが。
「自称伝ではなく“自叙伝(じじょでん)”ではないですか?」
確かに、「自称伝」だと妄想ばかりの怪しげな伝記っぽいですね。
ただ、腕っぷしだけではなく頭脳派としても活躍していた清正。こんなミスを犯すハズがありません。
きっとこれは、ドラクエに登場する魔法の呪文「メダパニ」にかけられたのです。これにかかった者は頭が混乱し、まともに目の前が見られなくなり状況判断がおかしくなるのです。自分や味方を攻撃してしまうことも。「目玉がパニック」略してメダパニ。
我に返った清正、「はて?拙者、自叙伝と言いませんでしたかな?」
しかし家康は追い打ちをかけます。「本当のことを申せ!加藤清正!」
ドラクエ風に言えば「きよまさは にげだした!しかしまわりこまれてしまった!」
「はっ!自称伝と申しました!」
“ザシュッ!”(刀の斬撃音)
「ぎょえーーっっ!!…これもまた一興…。
さっ、ということで次に参ろうか!」
「いやいや、『一興』ではないじゃろ!何じゃその、滑った後の収まりの良い言葉は!?」と家康。
ドラクエ風に言えば「きよまさは いっきょうのじゅもんをおぼえた!」ですね。
続いては一之助の武士語変換。その言葉は!
『誰でもなりきり同士を集めて天下統一祭り』
これはわかりやすい変換です。誰でも主人公になりきり、仲間を集めて世界を平和に導く。最後は、祭りが大好きな一之助らしく、楽しくエンディングを迎えるという。
ただ、長い!せめて“ダレテン”とか縮めないと。
さて最後は家康の案。
『銅鑼欣求(どらごんぐ)物語』
まず、江戸時代前期の旗本・大久保彦左衛門忠教(ただたか)が書いた自叙伝『三河物語』というものが実際にあります。
この著書の中では、徳川家康が天下統一に至り、東照大権現(とうしょうだいごんげん)という名で神として崇められる程の業績が書かれているのです。
まさしく家康は伝説の勇者。ドラクエでいう“勇者ロト”のような扱いなのです。
そして、“銅鑼”は音を鳴らす道具。“欣求”は、喜んで仏の道を追い求めること。
「ドラクエならば、レベルアップの『トゥルルルットゥットゥットゥー♪』という音を追い求め、喜び、天にも昇る気持ちになれるのじゃ」と家康。
ちなみに家康の旗印(戦場で掲げて敵味方を見分ける旗。モットーみたいなものが書かれてあります)にはこう表記されています。
“”厭離穢土欣求浄土(えんりえど・ごんぐじょうど)”
平たく言えば「戦国の世を終わらせ、平和な世を造る」という思いが込められています。
これは完璧な理論です。会心の一撃です。
さあ、番組エンディングで発表された投票結果はこちら。
【3位】「誰でもなりきり同士を集めて天下取り祭り」 55票
【2位】「銅鑼欣求物語」 97票
【1位】「竜狩り自叙伝」 131票
なんと!きよまさは1位の座をてにいれた!きよまさはおどろきとまどっている!
これはきっと、清正に自信という経験値をもたらして、強くなってほしいというリスナーの心の表れ。
ドラクエで言えば、勝手に民家のタンスを開けても、快く中のアイテム(道具)をくれる、村人のようなものですね。
これからの清正の成長に期待しましょう。
(岡戸孝宏)
7/31(月)の“出陣”は、徳川家康、加藤清正、陣笠隊の足軽・一之助(かずのすけ)です。
今回紹介するのは、『戦国音絵巻』の看板コーナー「武士語変換」。
これは、現代の言葉を3名がそれぞれ戦国時代っぽく言い換える企画で、LINEを使ったリスナーからのアンケートにより、最優秀作品を決定するというもの。
ドラゴンクエストとは?
最優秀作品は、MBG(最も素晴らしかった・武士・語)として、番組エンディングで発表されます。
“MVP”っぽく言いたいがための、ムリヤリな造語です。
さて、今回変換するお題は『ドラゴンクエスト(ドラクエ)』。
テレビゲームに興味の無い人でも、その名を耳にしたことはあるでしょう。
自分が主人公となり、冒険をし、敵(モンスター)を倒しながら経験やお金を貯めて強くなっていき、そして最後には強大な悪をやっつけて世界に平和をもたらす。いわゆる「ロールプレイングゲーム(RPG)」というものです。
1作目が発売されたのが1986年。それが人気を博しシリーズ化され、昨年は30周年を迎えました。
そして先日、11作目となる最新作『ドラゴンクエストXI(イレブン)』が発売されたばかり。
現代に蘇ってから、戦国時代以降の歴史も学び、博識な家康が話します。
「現世では『平成』という元号が付けられておるが、『昭和』の頃には社会現象にもなったとな。それくらい日の本において影響の大きい作品である」
1988年、3作目のドラクエが発売された時は、平日にも関わらず買い求める民衆が1店舗に1万人も集まるなど、大きな話題となりましたね。
(※編注 本当はドラクエⅢと書きたいのですが、Ⅲが環境依存文字のため避けました)
「『ドラゴンクエスト11弾目があらわれた!』ということじゃな!」と、ドラクエでモンスターと遭遇した時のメッセージになぞらえる家康。
相当現世の大衆文化を勉強しているようです。
きよまさの こうげき!ミス。
では、まず清正が一番槍を務めます。
「わし、加藤清正がドラゴンクエストを武士語変換いたすと!」
『竜狩り自称伝(りゅうがりじしょうでん)』
さて、そのこころは?
「まず自称伝とは、自伝とも言いますけれども、自分自身の目から見た、自分の人生を記述したもの。こちらドラクエは、主人公が自分自身。私が調べたところによると、自由に名前も付けることができると。自分をその世界に投影できると。
して、クエストというのは“探究・探索”を意味するということで、『竜を追い求める=狩る』という表現にいたしました」
虎狩りをしたことで有名な清正らしい発想ですね。しかしここで家康が問いかけます。
「聞くところによるとお主は、自慢の武器の片鎌槍(かたかまやり)で倒したわけではなく、手元にある鉄砲でズドン!とやったらしいな」
「正直に申しますと…はい。火縄銃にて眉間をズドン!と」
バツが悪そうに答える清正。いやいや、動き回る猛獣の急所を鉄砲で命中させるなんて、ゴルゴ13並みの腕前ですよ。
「もし竜に出くわした時ももちろん、眉間にズドン!と。それによって『トゥルルルットゥットゥットゥー♪』と音が鳴り、『きよまさの段位があがった!』となるのでござる」
ドラクエでは戦いの経験を積むと、独特の効果音が鳴って自分の強さのレベルが上がっていきます。
それになぞらえる清正。こちらもかなり勉強したようです。しかし…。
きよまさのあたまは こんらんした!
ここで軍師(ディレクター)からツッコミが。
「自称伝ではなく“自叙伝(じじょでん)”ではないですか?」
確かに、「自称伝」だと妄想ばかりの怪しげな伝記っぽいですね。
ただ、腕っぷしだけではなく頭脳派としても活躍していた清正。こんなミスを犯すハズがありません。
きっとこれは、ドラクエに登場する魔法の呪文「メダパニ」にかけられたのです。これにかかった者は頭が混乱し、まともに目の前が見られなくなり状況判断がおかしくなるのです。自分や味方を攻撃してしまうことも。「目玉がパニック」略してメダパニ。
我に返った清正、「はて?拙者、自叙伝と言いませんでしたかな?」
しかし家康は追い打ちをかけます。「本当のことを申せ!加藤清正!」
ドラクエ風に言えば「きよまさは にげだした!しかしまわりこまれてしまった!」
「はっ!自称伝と申しました!」
“ザシュッ!”(刀の斬撃音)
「ぎょえーーっっ!!…これもまた一興…。
さっ、ということで次に参ろうか!」
「いやいや、『一興』ではないじゃろ!何じゃその、滑った後の収まりの良い言葉は!?」と家康。
ドラクエ風に言えば「きよまさは いっきょうのじゅもんをおぼえた!」ですね。
徳川家康は勇者ロト?
続いては一之助の武士語変換。その言葉は!
『誰でもなりきり同士を集めて天下統一祭り』
これはわかりやすい変換です。誰でも主人公になりきり、仲間を集めて世界を平和に導く。最後は、祭りが大好きな一之助らしく、楽しくエンディングを迎えるという。
ただ、長い!せめて“ダレテン”とか縮めないと。
さて最後は家康の案。
『銅鑼欣求(どらごんぐ)物語』
まず、江戸時代前期の旗本・大久保彦左衛門忠教(ただたか)が書いた自叙伝『三河物語』というものが実際にあります。
この著書の中では、徳川家康が天下統一に至り、東照大権現(とうしょうだいごんげん)という名で神として崇められる程の業績が書かれているのです。
まさしく家康は伝説の勇者。ドラクエでいう“勇者ロト”のような扱いなのです。
そして、“銅鑼”は音を鳴らす道具。“欣求”は、喜んで仏の道を追い求めること。
「ドラクエならば、レベルアップの『トゥルルルットゥットゥットゥー♪』という音を追い求め、喜び、天にも昇る気持ちになれるのじゃ」と家康。
ちなみに家康の旗印(戦場で掲げて敵味方を見分ける旗。モットーみたいなものが書かれてあります)にはこう表記されています。
“”厭離穢土欣求浄土(えんりえど・ごんぐじょうど)”
平たく言えば「戦国の世を終わらせ、平和な世を造る」という思いが込められています。
これは完璧な理論です。会心の一撃です。
ラストにどんでん返しは付き物
さあ、番組エンディングで発表された投票結果はこちら。
【3位】「誰でもなりきり同士を集めて天下取り祭り」 55票
【2位】「銅鑼欣求物語」 97票
【1位】「竜狩り自叙伝」 131票
なんと!きよまさは1位の座をてにいれた!きよまさはおどろきとまどっている!
これはきっと、清正に自信という経験値をもたらして、強くなってほしいというリスナーの心の表れ。
ドラクエで言えば、勝手に民家のタンスを開けても、快く中のアイテム(道具)をくれる、村人のようなものですね。
これからの清正の成長に期待しましょう。
(岡戸孝宏)