400年前より現代に蘇りし戦国武将の集団・名古屋おもてなし武将隊が、ラジオ界の天下一を目指す番組。
7/3(月)の“出陣”は、前田利家、前田慶次、陣笠隊の足軽・一之助(かずのすけ)です。
今回は、『戦国音絵巻』の看板コーナー「武士語変換」の模様をお送りします。
これは、現代の言葉を3名がそれぞれ戦国時代っぽく言い換える企画で、LINEを使ったリスナーからのアンケートにより、最優秀作品を決定するというもの。
最優秀作品は、MBG(最も素晴らしかった・武士・語)として、番組エンディングで発表されます。
“MVP”っぽく言いたいがために、ムリヤリ感のある略し方になっているのは、ご愛嬌。
さて、今回のお題は「オアシス」です。
イギリスのロックバンドのことではありません。
名古屋市・栄にある商業施設でもありません。それはオアシス21。
愛知県田原市出身の光浦靖子・大久保佳代子によるお笑いコンビでもありません。それはオアシズ。
砂漠の中で、水が湧き、樹木が生えている所。更には、疲れを癒し、心に安らぎを与える場所・憩いの場のこともいう。そのオアシスです。
もちろん、戦国時代の日本には無かったこの言葉。どのような武士語に変換してくれるのでしょう。
まず先陣を切ったのは、前田慶次。前田利家の義理の甥っ子で、戦国時代は常識外れの派手な身なりや振る舞いを好み、傾奇者(かぶきもの)として名を馳せていた武将です。
「わし、前田慶次がオアシスを武士語変換いたすと…野面井戸(のづらいど)」
ラジオを聴いているリスナーに、言葉のイメージが伝わりやすいよう、慶次が説明します。
「まず、漢字の説明をいたしまする。野原の野に、面と書いて野面。そして井戸は、現世の有名な『ハッシュタグ』なる言葉に似とる漢字の井に、戸ですな」
いや、普通に「水を汲む井戸」と言った方がわかりやすいのに。ハッシュタグ(#)とか言ったら余計ややこしくなるんですけど。
さすが傾奇者、ストレートにはいきません。
「オアシスというのは、水が飲めるという印象が強い。砂漠というのは非常に困難な場所。我らの時代で言えば、戦場(いくさば)とか籠城戦(ろうじょうせん)のようなもの。かような場所では水は貴重な資源。籠城しても水が飲めるように、城の中にはたくさんの井戸が作られておった」
戦場においても、井戸などの水場を見つけると「やったー!これで助かる!」という心持ちになったそう。まさに、“砂漠にオアシス”と同じ状況ですね。
「ただ単にオアシスを井戸と申すと、人為的に作ったものになってしまいまする。これでは意味が違うなということで、野面という言葉を付けました。これは『自然・野原』という意味がございまする。ゆえに『草原に広がる井戸』という、我らの時代にあつらえ向きの意味合いになるかと」
傾奇者である一方、和歌を好む文人としての一面もあった慶次らしい、説得力のある武士語でした。
続いては、叔父の威厳をかけて利家が臨みます。
「わし、前田利家がオアシスを武士語変換いたすと…御飴湯(おあめゆ)」
オアシスと同じイントネーションにして、寄せてきました。
飴湯とは、水あめなどを湯に溶かし、生姜などを加えたもので、暑気払いのための夏の飲み物です。
暑い時期には、水を所望してきた客人に出していたとか。
利家「これを飲むと、疲れた体がぐっと癒されるわけじゃ。喉がカラッカラに乾いた時に、水がある。しかもそれが飴湯であったらば、こんな極上の喜びはないと。しかもその飴湯を入れてくれたのが、我が妻・まつであったら。7月9日が生誕日なんじゃけど、我が妻・まつであったら、もう更にオアシスじゃなと」
慶次「武士語変換の企画で、急に自分の妻の生誕日をぶっこんできましたけど?」
利家「いいや、サラッとじゃ、サラッと」
慶次「サラッとじゃなくて、ゴリ押しで入ってきましたぞ」
利家の正室・まつ。天文16年7月9日(1547年7月25日)生まれです。一体何のアピールですか?
利家「これはわしの戦略でな。この放送を聴いておる皆々はな、きっと殿方の帰りを待っておる主婦層だと思うんじゃ。ゆえに、主婦層のウケが良くなるように、わしは嫁を大切にしておるぞというところを見せて、票を集めようと」
慶次「叔父貴。それを今言ってしまってはダメにございます。言わずにそこを入れていかんと」
利家「言わんと伝わらんじゃろ!これは“電波放送戦”、ラジオ番組じゃぞ!全部言葉にせんと!」
慶次「いやいや、それは遠回しに伝えるようにするのが、現世の理(ことわり)にございまする。直接言葉にするのは、美にあらず!ワハハハハ!」
慶次の高笑いに、グウの音も出ない利家なのでした。計算高いのかバカ正直なのかよくわかりませんね。
最後は、「わっしょい!」が口癖の、お祭り大好き足軽・一之助です。
「拙者、一之助がオアシスを武士語変換すると…祭り巣(まつりす)」
こちらも、イントネーションをオアシスに寄せてきました。
「疲れを癒し、心安らぐ場所。わしでしたらそれは祭りだと。そして、巣というのは鳥や獣の家でございまするが、他には『人が住みつく所』という意味も。人が住みつくということは、それだけ居心地がええ場所。わしとしては、祭りだけでも居心地がええんですが、更に居心地がええ、人がたくさん集まる場所。ゆえに祭り巣と」
そこに、利家がツッコミを入れます。
「ただ、皆のオアシスではないな。一之助だけじゃな」
一之助が付け足します。
「まだ、ござるんです!祭りというのは、1年に1度しかないものが多いんですが、その1つの祭りで、全ての疲れを癒したり、苦悩を発散させて、また明日へと頑張ってまいる者が大勢おるんです」
1つのオアシス・祭りでたくさんの心が癒されるということですね。
さあ、いよいよ番組エンディング。投票結果の発表です。
「祭り巣」(一之助)…58票
「野面井戸」(慶次)…117票
「御飴湯」(利家)…57票
よって、みごとMBGは「野面井戸」に決定しました。
利家と一之助は、武士語の説明で個人の都合がかなり反映されていましたから。こうなるのも必然でしょう。
皆さんもデートの時など日常でぜひ、武士語を使ってみてはいかがでしょう?
「東京でこんな緑に囲まれたオシャレなカフェがあったなんて。ここはまさに、都会の野面井戸だね♪」
…時と場所は考えた方がいいかもしれません。
(岡戸孝宏)
7/3(月)の“出陣”は、前田利家、前田慶次、陣笠隊の足軽・一之助(かずのすけ)です。
今回は、『戦国音絵巻』の看板コーナー「武士語変換」の模様をお送りします。
これは、現代の言葉を3名がそれぞれ戦国時代っぽく言い換える企画で、LINEを使ったリスナーからのアンケートにより、最優秀作品を決定するというもの。
オアシスを戦国時代風に言うと?
最優秀作品は、MBG(最も素晴らしかった・武士・語)として、番組エンディングで発表されます。
“MVP”っぽく言いたいがために、ムリヤリ感のある略し方になっているのは、ご愛嬌。
さて、今回のお題は「オアシス」です。
イギリスのロックバンドのことではありません。
名古屋市・栄にある商業施設でもありません。それはオアシス21。
愛知県田原市出身の光浦靖子・大久保佳代子によるお笑いコンビでもありません。それはオアシズ。
砂漠の中で、水が湧き、樹木が生えている所。更には、疲れを癒し、心に安らぎを与える場所・憩いの場のこともいう。そのオアシスです。
もちろん、戦国時代の日本には無かったこの言葉。どのような武士語に変換してくれるのでしょう。
傾奇者っぽく言うと?
まず先陣を切ったのは、前田慶次。前田利家の義理の甥っ子で、戦国時代は常識外れの派手な身なりや振る舞いを好み、傾奇者(かぶきもの)として名を馳せていた武将です。
「わし、前田慶次がオアシスを武士語変換いたすと…野面井戸(のづらいど)」
ラジオを聴いているリスナーに、言葉のイメージが伝わりやすいよう、慶次が説明します。
「まず、漢字の説明をいたしまする。野原の野に、面と書いて野面。そして井戸は、現世の有名な『ハッシュタグ』なる言葉に似とる漢字の井に、戸ですな」
いや、普通に「水を汲む井戸」と言った方がわかりやすいのに。ハッシュタグ(#)とか言ったら余計ややこしくなるんですけど。
さすが傾奇者、ストレートにはいきません。
「オアシスというのは、水が飲めるという印象が強い。砂漠というのは非常に困難な場所。我らの時代で言えば、戦場(いくさば)とか籠城戦(ろうじょうせん)のようなもの。かような場所では水は貴重な資源。籠城しても水が飲めるように、城の中にはたくさんの井戸が作られておった」
戦場においても、井戸などの水場を見つけると「やったー!これで助かる!」という心持ちになったそう。まさに、“砂漠にオアシス”と同じ状況ですね。
「ただ単にオアシスを井戸と申すと、人為的に作ったものになってしまいまする。これでは意味が違うなということで、野面という言葉を付けました。これは『自然・野原』という意味がございまする。ゆえに『草原に広がる井戸』という、我らの時代にあつらえ向きの意味合いになるかと」
傾奇者である一方、和歌を好む文人としての一面もあった慶次らしい、説得力のある武士語でした。
愛妻家(をアピール)っぽく言うと?
続いては、叔父の威厳をかけて利家が臨みます。
「わし、前田利家がオアシスを武士語変換いたすと…御飴湯(おあめゆ)」
オアシスと同じイントネーションにして、寄せてきました。
飴湯とは、水あめなどを湯に溶かし、生姜などを加えたもので、暑気払いのための夏の飲み物です。
暑い時期には、水を所望してきた客人に出していたとか。
利家「これを飲むと、疲れた体がぐっと癒されるわけじゃ。喉がカラッカラに乾いた時に、水がある。しかもそれが飴湯であったらば、こんな極上の喜びはないと。しかもその飴湯を入れてくれたのが、我が妻・まつであったら。7月9日が生誕日なんじゃけど、我が妻・まつであったら、もう更にオアシスじゃなと」
慶次「武士語変換の企画で、急に自分の妻の生誕日をぶっこんできましたけど?」
利家「いいや、サラッとじゃ、サラッと」
慶次「サラッとじゃなくて、ゴリ押しで入ってきましたぞ」
利家の正室・まつ。天文16年7月9日(1547年7月25日)生まれです。一体何のアピールですか?
利家「これはわしの戦略でな。この放送を聴いておる皆々はな、きっと殿方の帰りを待っておる主婦層だと思うんじゃ。ゆえに、主婦層のウケが良くなるように、わしは嫁を大切にしておるぞというところを見せて、票を集めようと」
慶次「叔父貴。それを今言ってしまってはダメにございます。言わずにそこを入れていかんと」
利家「言わんと伝わらんじゃろ!これは“電波放送戦”、ラジオ番組じゃぞ!全部言葉にせんと!」
慶次「いやいや、それは遠回しに伝えるようにするのが、現世の理(ことわり)にございまする。直接言葉にするのは、美にあらず!ワハハハハ!」
慶次の高笑いに、グウの音も出ない利家なのでした。計算高いのかバカ正直なのかよくわかりませんね。
祭り好きっぽく言うと?
最後は、「わっしょい!」が口癖の、お祭り大好き足軽・一之助です。
「拙者、一之助がオアシスを武士語変換すると…祭り巣(まつりす)」
こちらも、イントネーションをオアシスに寄せてきました。
「疲れを癒し、心安らぐ場所。わしでしたらそれは祭りだと。そして、巣というのは鳥や獣の家でございまするが、他には『人が住みつく所』という意味も。人が住みつくということは、それだけ居心地がええ場所。わしとしては、祭りだけでも居心地がええんですが、更に居心地がええ、人がたくさん集まる場所。ゆえに祭り巣と」
そこに、利家がツッコミを入れます。
「ただ、皆のオアシスではないな。一之助だけじゃな」
一之助が付け足します。
「まだ、ござるんです!祭りというのは、1年に1度しかないものが多いんですが、その1つの祭りで、全ての疲れを癒したり、苦悩を発散させて、また明日へと頑張ってまいる者が大勢おるんです」
1つのオアシス・祭りでたくさんの心が癒されるということですね。
武士語を流行らせよう
さあ、いよいよ番組エンディング。投票結果の発表です。
「祭り巣」(一之助)…58票
「野面井戸」(慶次)…117票
「御飴湯」(利家)…57票
よって、みごとMBGは「野面井戸」に決定しました。
利家と一之助は、武士語の説明で個人の都合がかなり反映されていましたから。こうなるのも必然でしょう。
皆さんもデートの時など日常でぜひ、武士語を使ってみてはいかがでしょう?
「東京でこんな緑に囲まれたオシャレなカフェがあったなんて。ここはまさに、都会の野面井戸だね♪」
…時と場所は考えた方がいいかもしれません。
(岡戸孝宏)