学ランの「ラン」って何?

丹野みどりのよりどりっ! / カルチャー

今年で中学校を卒業する息子さんを持つAさん。
息子さんの学ラン姿を見る機会が残り少なくなり、少し寂しいと感じているそうなんですが、そんな学ランに対して、前から疑問に思っていたことがありました。

「袖のところに付いているボタンにはどんな意味があるの?」

そこで3月12日の『丹野みどりのよりどりっ!』では、「制服」についてのキニナルを調査しました。

今回の回答者

今回のキニナルに答えていただいたのは、株式会社トンボ事業開発本部事業開発推進部の佐藤望さん。

株式会社トンボは1876年創業の、岡山県岡山市の老舗学生服メーカーです。
制服や体育着・介護ユニフォームの企画から製造・販売まで行っています。

制服の袖にボタンがついている理由

早速Aさんの疑問「袖のところに付いているボタンにはどんな意味があるの?」について伺ってみました。

佐藤さん「袖に小さなボタンが2つ付いているのは、本開き袖の名残です。

昔は、袖口から風、雨や雪が侵入しないよう、袖口は狭く、肩に行くにしたがって太くなっていく如雨露(じょうろ)の筒状態でした。
そのため、腕より断面積の大きい手が通らず、それを通すために、袖口を開いてあり、手が通った後にボタンで留めていました。

現在は、風や雨、雪の侵入を気にしなければいけない時には、専用のウエアを別に着るため、袖口を極端に狭める必要がないので、袖は手が通ることを前提にデザインされます。したがって袖ボタンは必要ないのですが、昔の名残で、装飾要素として今も残っています」

丹野「昔はボタンのところを開けないと手が通らないくらいすぼまっていたわけですね?
ただあのボタン、字を書く時など、少し邪魔になったりもしますよね」

佐藤さん「実は、英国やドイツなどでは学校制服は机で運筆しやすいように、またカチャカチャ鳴って気が散らないよう、合理的に考え、初めから付いていないことが多いようです」

丹野「やっぱりそういう国もあるんですね」

佐藤さん「他にも、ボタンはきらびやかで高価なイメージがあるため、保護者の世話にならなければいけない就学生徒には贅沢だと考え、わざと外している学校もあります」

制服にボタンがついているのは昔の名残なんですね。
そもそもボタンが制服の袖についていない国もあったのです。
 

学ランの「ラン」の意味

制服についていろいろ伺ってみました。

普段「学ラン」とよく呼んでいますが、そもそも「ラン」にはどんな意味があるのでしょうか?

佐藤さん「明治初期、学帽に詰襟を着用していた学生たちが蘭学を学んでおり、着るものを半ば揶揄し、蘭と学をひっくりかえして『学蘭』と称するようになったと思われます。」

学ランの「ラン」は蘭学の「蘭」だったのです。そもそも言葉をひっくり返す文化が、明治初期にあったとは意外でした。

最近ではブレザーを制服として採用する学校も多いですが、以前は学ランやセーラー服がほとんどでした。
これらの服が制服として用いられるようになった理由を伺ってみました。

佐藤さん「まずは学ランですが、明治時代に学制が公布され、学習院が設立されました。そこでヨーロッパのエリート養成学校の理念に沿い、制服を定めることとなり、洋装文化が普及とともに海軍士官の制服が高く評価されました。それをお手本に詰襟の制服が導入されました。
ちなみに現在は、中学校ですと学ランが多く、高校ですとブレザーの着用率が多くなります」

セーラー服が普及した理由

丹野「セーラー服はどうなんですか?」

佐藤さん「セーラー服は、1857年にイギリスの皇太子エドワード王子が着用していた油絵が高く評価され、日本では最初は水兵の制服として採用されました。また、当時の日本の女性の服装は、着物の上に袴を着用する『葡萄茶式部(えびちゃしきぶ)』と呼ばれる服装が人気でした。

ですが、着物が高価だった、手入れの手間がかかる、着脱に時間もかかるなど不便な点が多くあり、女子体操教育の普及や洋装制服が誕生したことで、セーラー服の着用が主流となりました」

まさに卒業シーズンですが、制服姿の学生さんを見たら、制服には長い歴史があることを思い出してみてください。
(おきな)
 
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2019年03月12日16時32分~抜粋

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