丹野みどりのよりどりっ!

木魚が魚の形をしている理由

お坊さんがお寺で木魚を叩いている姿を見かけたAさん。そこでこんな疑問が浮かんだそうです。

「どうして木魚は魚の形をしているんだろう?」「どうして木魚を叩くの?」

2月26日の『丹野みどりのよりどりっ!』では、「木魚」についてのキニナルを調査しました。

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今回の回答者

今回のキニナルに答えていただいたのは、株式会社愛知屋仏壇本舗代表取締役社長の太田 智子さん。

株式会社愛知屋仏壇本舗は仏壇・仏具の製造販売だけに限らず、新築時、移動、預かり、買い替え、修復、修理、神祭具、仏事の相談なども行っている会社です。
全日本宗教用具協同組合、三河仏壇振興協同組合加盟店でもあります。

 

木魚が魚の形をしている理由

まずは、木魚がどんなものを指すのか伺いました。

太田さん「木魚は寺院やお仏壇の前で主に使われる丸い仏具のことです。お経を読むときに叩いて使われます」

丹野「その木魚ですが、どうして魚の形をしているのでしょうか?」

太田さん「魚は目を閉じて眠らないことから、修行僧に『寝る間も惜しんで修行せよ』と戒めの意味も含め、魚の形をしていると言われています」

修行僧に対する「頑張れよ!」というメッセージが込められていたわけですね。
 

木魚の形

今は球状の木魚ですが、形の変化はなかったのか伺ってみました。

太田さん「最初は"魚板"というものでした。魚板は口に珠を加え、鯉や鯱をかたどった、魚の形をした平たい板のことです。
寺院の食堂や寺院の台所である庫裡(くり)という場所に魚が泳いでいるように吊ってあることが多いです。木槌でたたき時刻や諸事の報知をするもの、または楽器としても用いられています。この平たい魚板から形が変わって、今の丸い木魚になりました」

丹野「木魚自体はいつ頃からあるんですか?」

太田さん「中国の明の時代からあったといわれています。日本では室町時代からあり、一般的には江戸時代に、インゲン豆を持ち込んだ隠元和尚というお坊さまが、中国から木魚をたたく習慣を伝えたと言われています」
 

木魚をたたく理由

木魚はたたいて使うものですが、どうしてたたく必要があるのでしょうか?その理由についても伺ってみました。

太田さん「まずは木魚が叩かれるようになった経緯からお話しますね。
昔、和尚様の言うことを聞かない、出来の悪いやんちゃな小坊主さんがいました。
しかしある日、その小坊主さんが亡くなってしまいます。

和尚さんはたいそう悲しみましたが、その小坊主さんは魚となって、和尚さんの前に現れ『修行が足りないので、天に行けません』と伝えます。
それはかわいそうと思い、小坊主さんが亡くなった時に供養で植えた木であったり、その時寺院で折れた木などを用いて、和尚は木魚を作りました。これを叩いてお経を唱えることで魚となった小坊主さんを供養しました。

すると、小坊主さんは魚から龍になり、天に昇ることができました。これが木魚の始まり話ですね。これによって木魚は寺院や仏壇の前で、和尚様がお経を唱える時に叩いて使われるようになったのです。」

やんちゃの小坊主がいたからこそ、木魚がたたかれるようになったんですね。

 

木魚の生産地

国内だと木魚はどの辺りで作られているのか伺ってみました。

太田さん「実は現在、生産しているのは愛知県の一部地域のみです。戦前は京都と名古屋の職人が木魚を作っていましたが、京都の職人がいなくなり、愛知県の愛西市、一宮市、名古屋市の職人が残ったと言われています」

法事の際やお寺に行かれた際には、木魚を一度じっくりと見てみてください。
ひょっとすると、木魚と目が合うかもしれません。
(おきな)

 
丹野みどりのよりどりっ!
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2019年02月26日16時31分~抜粋

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