丹野みどりのよりどりっ!

簡単に作れる和食の縁起物「かぶと福袋の煮びたし」

木曜日の「オトナのいろどりっ!」は、関富子先生のお料理レシピ。
毎月のテーマに沿ったレシピを1品ずつご紹介いたします。

1月のテーマは「冬のほっこり幸せレシピ」。
今回は「かぶと福袋の煮びたし」です。

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新年に食べたい開運和食

福袋というと、新春初売りで買う、いろんな商品が入ったお得なセットが頭に浮かびますが、食べ物の“福袋”とは?

「おあげの中にいろんなものを詰めて作るのが、福袋と言ってね、別名、宝袋とか延命袋とも言うんです」

なんと縁起のよいお料理でしょうか。

この福袋の相棒に選ぶのは、カブ。
大根の煮物ももちろんおいしいですが、カブ独特の柔らかさがこのお料理には合います。
4人分で、小さめのものを2個用意します。

おあげさんは4枚。
そこに鶏の挽肉と、戻した干しシイタケ、戻したひじき、ニンジンのみじん切りを全部混ぜ混ぜしたものをおあげさんに詰めていくだけというとても簡単なお料理です。

まずはかぶの下拵えから。
茎を切り落とすのはもちろんですが、葉っぱと球根の部分は硬くておいしくないので切り落としてしまいましょう。上下スパンスパンと落とす感じです。
4つに切ったら、皮は厚めに剥きましょう。味がよく染みておいしいです。
葉っぱのほうは下茹でしておきましょう。あとの添え物に使うと、きれいなお料理になります。

そのほかの具材です。
干しシイタケは戻してみじん切り。
ひじきも戻してざく切り。
ニンジンはみじん切り。
鶏肉は80g。おあげ1個に対して挽肉20gくらいがベストに入る量です。
80gをしっかり混ぜましょう。味付けは全然要りません。
 

油揚げを無駄なく使う方法

「おあげさんを切るときに、よく一辺をスポーンと切る人がいるんですよ」

このやり方の何が問題かというと、切った分だけ油揚げの長さが短くなるので、袋が小さくなるのです。
そこで、切り開くといいますか、包丁の刃先で一辺に切り込みを入れるようにしましょう。

「そっかそっか。切り落としちゃうと、落とした分もったいないですもんね」
「もったいないから、それを詰めてやればいいんですけど、大きく作ったほうが詰めやすいので」

切り落とした油揚げを具材にまわすより、切り落とさずに大きな油揚げの袋になるようにしましょう。
刃先でスッと切れ目を入れて、ギュッギュッギュッと油揚げを開いたら、そこにさきほど混ぜ混ぜしたものを詰め込んでいきます。

「なんとなくいい感じがするので、ギンナンを1個入れ込みます」

福袋ができたら、その口を閉じましょう。
塩揉みをした干ぴょうで、ぐるぐるっと口を縛ってください。

「なければ爪楊枝でキュッキュッキュッでも良いわ」
「お願いします。干ぴょうなんてものは私、買ったこともないですし」

そもそもどこの売り場に行けばいいんだっけ?と丹野みどり。
乾物コーナーか、とひとり思い出して納得します。
昆布などを売っているところですね。

「爪楊枝でいいですか?」
「ま、いいでしょう」
「でも袋になりにくいね」
「イメージ的に、やっぱし干ぴょう」

せっかくの縁起物ですから、ちょっとがんばって干ぴょうを使って巾着にしましょうね。
 

油抜きのタイミングで料理上手

福袋が出来上がったら、ここに熱湯をかけます。

「おあげは油抜きしないと、味が染みない」
「そうかそうか!先に油揚げは油抜きするのではなくて、具を詰めてから!」

なぜかというと、先に油抜きをしてしまうと、油揚げがくたくたになって、具材を詰めにくいから。
乾いた袋の状態で具を詰めてから、口を縛ってお湯をジャーとかけて、ひっくり返してまたお湯をジャーとたっぷりかける。
しばらく置いて、油分を捨ててしまいましょう。

「絶対みなさんこんな風にやってみてください」
「それがコツですね」

ここまでできたら、あとはひたすら煮ていくだけ。

お鍋にだし汁を2カップ。
うすくち醤油を大さじ2杯。
みりんも大さじ2杯。

「煮立ったら、最初に入るのは、巾着の福袋」

落し蓋をして、中火で10分ことこと煮ます。

「ずーっとカブと一緒にやってると、カブが煮崩れちゃう」

確かに、カブは案外すぐに火が通りますよね。
だから、油揚げの福袋を10分ほど先行させるということです。

上下をひっくり返したり、全体に味が行き渡るようにして10分経ちましたら、そこにカブを入れて、あとはコトコトコトコト5,6分煮ていけば、いい色に仕上がってくるはずです。
下茹でした葉っぱを入れて、味を含ませるように1分ほど煮たら出来上がり。
器に盛って、お汁も入れて、ちょっと贅沢に柚子の皮の千切りを散らせば、今日の一品の完成です。
 

作りやすい、食べやすい

「先生。割烹か料亭のお料理ですよ。お上品」

時間をかけて煮るものの時は、うすくち醤油を使ってじっくり味を含ませることがポイント。
色もきれいに中まで染みたカブを、丹野みどりがいただきます。

「うーわ。おいしーこれ」
「丹野さん、どっちかというとそういう系大好きですもんね」
「こういう和食大好き。完璧なお味です」

お次は福袋。
「巾着が。干ぴょうで口が閉じてありますけど、中がもう贅沢に、カンカンに入っています」

いっきに口に運びます。
まるで大きな稲荷寿司。
お味がしっかり染みていて、油抜きしてあるからまったくしつこくないお味。

「先生、これ、とても食べやすいと思いました」

というのも、この巾着の中身は鶏挽肉のお団子。
具材全体を包んでいるので、全然ポロポロしないし、ぱらつかない。
お料理をしやすいのはもちろん、食べるときに変な意味でむせたりしないので、非常にやさしいお料理といえます。

「これ、最初にまとめたとき、味付けしませんでしたよね」
「付けませんでした」

巾着越しに染みていく、そして、頂くときに一緒に味わう煮汁で、十分にお味が付いています。
むしろ、鶏挽肉に味を付けてしまうと、味が辛くなってしまいます。

「まわりから攻め込む感じがね、一番おいしいです」
「最初のときに味を付けなくて正解ですね」
「はい」

縁起物ですが、複雑な味付けはナッシング。
カブを切って、油揚げに挽肉を詰めて、煮汁で煮込むだけ。
とっても簡単なのに贅沢でお上品な和食。
ぜひぜひお試しあれ。
 

材料とレシピ

【材料】4人分
・カブ(小)2個
・油あげ 4枚
・鶏ひき肉 80g
・干しシイタケ(戻す)5g
・ひじき(戻す)1枚
・ニンジン(みじん切り)大さじ2
・ゴンナン 4個
・干ぴょう 適量
・(塩)

 A・だし汁 2カップ
 ・淡口醤油 大さじ2~
  ・みりん 大さじ2~

・柚子 適量

【作り方】
①小さめのカブ2個の茎の部分を切り落とし、4つに切りわける。皮は厚めに剥く。切り落とした葉や茎は硬目に塩茹でし、3cmの長さに切る。
②戻した干しシイタケはみじん切り、戻したひじきはざく切りに。切った具材とニンジンのみじん切り、挽き肉をよく混ぜる。
③油揚げの中にいろんなものを詰めるのが福袋。包丁の刃先で油あげ1辺に切れ込みを入れ、切り開く。混ぜた挽肉を油揚げの中に詰め、ギンナンを1つずつ入れる。塩揉みした干ぴょうで、口を縛るようにして閉じ、熱湯をかけて油抜きをする。
④鍋に削り節でとっただし汁2カップ、淡口醤油大さじ2、みりん大さじ2を入れ、煮立ったところに福袋を入れる。落し蓋をして中火で10分煮る。味が全体に染みるように時折上下を返す。カブを加え5、6分煮たら、下茹でした葉や茎を入れ1分煮たらできあがり。器に盛り(汁も入れる)、柚子の皮の千切りを散らして完成。

(榊原)
 
丹野みどりのよりどりっ!
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2019年01月10日16時36分~抜粋

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