渡辺の「辺」、斉藤の「斉」の漢字が多い理由

丹野みどりのよりどりっ! / カルチャー

名字が「渡辺」さんのリスナーさんからおたよりが寄せられました。

昔から、「なべ」の漢字にいろんな種類があることがずっと気になっていたんだそうです。
また同様に斉藤さんの「さい」の字も多いのが気になっているので、どうしてなのか調べてほしいとのことでした。

ということで1/8の『丹野みどりのよりどりっ!』では、「名字」についてのキニナルを調査しました。

今回の回答者

「どうして名字の漢字はこんなに多いの?」というキニナルについて、名字由来netの向井さんにお答えいただきました。

名字由来netは、日本の系譜や姓氏・家系・苗字・家系図の普及と復興に向け、様々な活動をされています。
現在は郵便局の年賀状サイトなどでも使用されています。
 

名字の歴史

まずは、名字がいつ頃生まれたのか伺ってみました。

向井さん「まず、『名字』というものが生まれる前は、爵位名であったり、同族の名前として今で言う名字のようなものはありました。
例えば、中臣鎌足の『中臣』などであれば、中臣(氏)+朝臣(姓)+鎌足(名前)です。ただこれはあくまで、官職名や一族の名前であって名字という概念ではありません。

『名字』というものができたのは平安時代後期です。
『藤原』などを名乗るものが増えたので公家は京都の地名から、武士は所領の地を『名字の地』として、その地名を名字として名乗り、鎌倉時代初期には広まっていきました。

イメージしやすくすると、例えば、それまでは藤原さんだった人が『田中』という地名の領地に赴任して、その『田中』という地名を名字につけることで、『田中』という名字が誕生するということです。

このように地名が名字になったパターンは、現在の名字の約8割といわれています。ちなみに、逆に名字が地名になったパターンもありました」

そもそも名字は地名から来ているパターンが多かったんですね。自分の名字の由来を調べてみると面白いかもしれません。
 

渡辺の「辺」や、斉藤の「斉」の種類が多い理由

本題の、渡辺の「辺」、斉藤の「斉」問題について伺いました。

向井さん「まず、本家から分家した時、同音異字、つまり同じ音の違う漢字を使って、本支関係を明確にしたことがあげられます。
例えば同じ『わたなべ』でも『なべ』の漢字を簡単なものや難しいものに変えることで、本家と分家の関係をはっきりさせました。

また、明治初期の戸籍登録の時、誤字を書いてしまった人もいるため増えた、と言われています。
戸籍制度は明治に入ってから始まったのですが、当時は文字が書ける庄屋の人間が戸籍を管理していたケースもあり、間違った漢字で登録されてしまったことも多くあったようです。当時は筆で書いていたこともあり、戸籍を管理する側が読み間違えたりするなど、そんなに珍しいことではありませんでした」

丹野「実際のところ、それぞれ何種類くらいあるんですか?」

向井さん「名字の調査を政府が行っていないため、正確な数は不明ですが、『わたなべ』の『なべ』表記は38通り、『さいとう』の『さい』は実に80通りはあるといわれています。

丹野「え、そんなにたくさんあるんですか!?」
 
向井さん「そうなんです。ちなみに『渡辺』の起源は、昔船着場が『わたなべ』と呼ばれていたことにちなんだもので、地名から名字に転じたパターンです。一方で『斉藤』は、『さい』が官職の名前、『とう』は藤原氏を表しています。」

誤字が原因というのは意外ですね。手書きではなくデジタルで管理されている今の世の中では、誤字による新しい名字は生まれにくいのかもしれません。
 

「名字」と「苗字」

その「みょうじ」という字も、「名字」と「苗字」の二種類がありますよね。どう違うのか伺ってみました。

向井さん「"名字"は領主が領地の地名を名乗ったもので、中世によく使われました。
近世になると領地を持たない者も名字を使うようになったため、新しく"苗字"という言葉が使われるようになりました。

現在では、どちらの『みょうじ』を用いても同様の意味として使っていただけますが、官庁やマスコミなどではどちらの『みょうじ』の表記を使うかはそれぞれで決められているようです」

昔はちゃんと使い分けがあったわけですね。
普段あまり気にしない自分の名字ですが、これをきっかけに調べてみると愛着がわくかもしれませんね。
(おきな)
 
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2019年01月08日16時33分~抜粋

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