木曜日の「オトナのいろどりっ!」は、関富子先生のお料理レシピ。
毎月のテーマに沿ったレシピを1品ずつご紹介いたします。
11月のテーマは「秋を彩る魚介料理」。
今回は、「鯖の竜田揚げ吹き寄せ風」です。
料理で表す日本の秋
「どうでしょうか?ちょっと料亭感覚」
「タイトルがオシャレ過ぎます」
オシャレでしょ?と自慢げな関先生。
「竜田揚げ、からの『吹き寄せ風』」
丹野みどりと声が重なります。
「竜田揚げ」と「吹き寄せ」のふたつがコラボしているという一品。
「でもね、みなさん、竜田揚げはなんで"竜田揚げ"って思いません?」
竜田、というのは、竜田川のこと。
京都の名所ですね、紅葉の名所。
揚げた感じが、竜田川に落ちたもみじの色に似ていることから、みりんとしょうゆを使って揚げる料理を「竜田揚げ」と呼ぶことにしたのだそうです。
「へぇー!」
毎度先生の豆知識に驚かされてばかりです。
「それで、もう秋だから、サーッと風が吹いたら、イチョウだもみじだ吹き溜まりにたまるじゃないですか。そういうイメージが"吹き寄せ"なんですよ」
「先生、今日はですね、目の前にあるこの器をいじらざるを得ないんですけれども」
丹野が前置きしたくなるのも当然。
盛り付けが素敵すぎる。
サバだけをゴロゴロッと乗せるのも素朴でよいのですが、黒っぽい感じの見た目のサバの上に、今日は色とりどりのイチョウやもみじが舞っています。
まさに、秋。
しかし簡単に作れるのが、関先生の料理です。
早速作り方を伺いましょう!
やさしい気持ちで
まずは生鯖を買いましょう。
3枚に下ろしたものがいいですね。
削ぐように半身を6つから8つに切ったら、下味をつけます。
「その下味に、うすくち醤油を使うと、旨味のついた塩気がつくじゃないですか」
何か思い出しません?と関先生に尋ねられた丹野みどり。
すかさず、鶏の唐揚げ!と答えます。
味も中まで染み込むし、柔らかくなりました。
「だから今回の竜田揚げの下味も、必ず淡口醤油でつける」
色が薄い淡口醤油なら、揚げたときに黒っぽくなるのも防いでくれますね。
さて、その下味。
うすくち醤油が大さじ2。
みりんが大さじ1杯半。
お酒が大さじ1。
ショウガ汁を多めに使います、大さじ1。
これらをバットに入れたら、身を下にして、15分ほど下味を付けます。
「ちょっと優しい気持ちがあれば、1回ひっくり返すくらいで」
「優しい気持ち!あるかどうかわかりませんけれども」
丹野さん、サバをいたわってあげて!
片栗粉に一工夫で揚げ名人
下味が付いたサバは、あとは揚げるだけ。
「みなさん、下味つけてあるところに、パッパッパッと片栗粉を入れて、ペッペッペッと混ぜて揚げるでしょ?」
そうすると、ゴロンと、グジュンと、グチュっとなる。
「そこを、一手間」
片栗粉専用のバットを作りましょう。
サバ1枚1枚に丁寧に片栗粉を付けてあげたら、余分な粉は落とします。
「間違っても、下味を浸け込んでいるところに、粉を入れないということですね」
まるで自分に言い聞かせるように繰り返す、丹野みどり。
「で、つけてすぐではなく、少し落ち着かせる」
片栗粉をはたいたら、1,2分サバをそのままに置きましょう。
ほんのちょっと白っぽいところがあるくらいの状態にします。
そうすることで、粉がサバになじみ、油の中で衣が散ってしまうことを防ぎます。
焦げた片栗粉が揚げているサバにくっついて、汚くなってしまう、なんて失敗とはさようなら。すごくキレイな色に揚げることができます。
「置くんです。これちょっとポイントですね」
型抜き上手が料理上手
揚げる温度は170℃くらい。
ちょっと揚げすぎたかな、と思うくらいでちょうどよいと思います。
今回も揚げ焼きで大丈夫。あまりたくさんの油は必要ありません。
サバの大きさ、鍋の大きさから、適当な油の量を自分で見定めてください。
「そうすると、鯖だけで、竜田揚げなんです」
何が言いたいのかと申しますと、今回は「吹き寄せ」ですから、必要な脇役たちを揃えましょうということです。
「型抜きは3つか4つあるといいと思うんですけれども、そうすると、丹野さんでも料理の腕がパーンと上がるんですよ」
言ったそばから笑い出す関先生。
「包丁で飾り切りをする時間がなかなか無いものですから、クッキーを焼くように型抜きでポコンポコンとすればいいわけですね」
「秋はイチョウともみじがあったら、もう料理上手」
「当然、そんな型抜きがあるわけですね?」
「あるんでございます。私も使いました」
料理上手の関先生が使うのなら、私たちも大手を振って使いましょう!
イチョウの型抜きでサツマイモをくり抜き、モミジの型抜きでニンジンをくり抜きます。
素揚げにするのは、サバを揚げる前がいいかもしれませんね。
あとは、茹で栗を剥いたり、キノコがあれば揚げるか焼くかしたり、ギンナンに松葉を刺してみたり。
「先生、もう今回は何を目指しているのか分からないレベルになってますけど」
結局、そういうものを盛り合わせることが、吹き寄せ風を作ることになるのです。
あとはすだちをちょんちょんと置いて、よかったらちょっと搾って食べてもおいしいですよ。
型抜き様様
竜田揚げがゴロゴロと立体感のある形で盛られ、その間あいだに型抜きで抜いたイチョウやもみじ、サツマイモやニンジンが顔を覗かせます。
これが非常に秋を感じて散らされております。
そこにすだちのグリーンが添えられている。
「非常に美しい、美しいですね」
これは出来過ぎ、ですけれど、全てと言わず、1,2個入れるだけでグッとお料理の印象がアップするでしょう。
じっくり見た目を楽しんだら、まずは本日のメインのサバの竜田揚げからいただきます。
「ん、おいしい」
下味のバランスがとても良い。薄くついてなじませた衣が、サバに粉っぽさを与えません。
「素揚げしたイチョウもいただいちゃお♪」
「フフ。素揚げした、サツマイモよ」
葉っぱではなく、葉っぱの形のサツマイモ、ですね。
「あ、秋を感じる」
「感じますね。ちょっとしたことで秋を感じますよね、日本料理って」
添えたすだちを搾りかけて、パクリ。
「んー!おいしい!」
丹野みどりから思わず拍手が飛び出ます。
今月は魚介料理。
サンマ、サケ、サバと秋を代表するお魚たちをそのままシンプルに焼いても良いですが、切ったり衣をつけたり炒めたり揚げたり煮たり。
焼く、以外の方法が、非常においしいおかずを作るとよくわかります。
ぜひお試しあれ。
材料とレシピ
【材料】4人分
・サバ(三枚おろし)1尾
A・淡口醤油 大さじ2
・みりん 大さじ1と1/2
・酒 大さじ1
・生姜汁 大さじ1
・片栗粉
・揚げ油
吹き寄せ(お好みで)
・さつまいも
・人参
・ぎんなん
・生シイタケ
・栗
・すだち
【作り方】
①3枚に下ろされた生サバの半身を削ぐように6つから8つに切る。
②サバに下味をつける。淡口醤油大さじ2、みりん大さじ1杯半、酒大さじ1、生姜汁大さじ1をバットに入れ、身を下にして15分ほど浸ける。途中で一度ひっくり返す。
③吹き寄せのために、イチョウの型抜きでサツマイモ、もみじの型抜きでニンジンを抜く。油を熱し、サバを揚げる前の油で素揚げにする。ギンナンは塩茹でし、松葉に刺す。生シイタケは4つに切り分け焼く。栗は茹でて皮を剥く。すだちは好みの形に切る。
④バットに片栗粉を取り、サバの汁気をきり、一枚ずつ丁寧に粉をまぶす。余分な粉を落として、1,2分置く。
⑤油の温度を170℃くらいにし、カリッと揚げる。
⑥お皿にサバの竜田揚げと、吹き寄せを一緒に盛り合わせ、すだちを添えて出来あがり!食べるときに少し搾るとおいしい。
(榊原)
丹野みどりのよりどりっ!
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2018年11月15日16時35分~抜粋