丹野みどりのよりどりっ!

テニスボールが黄色い理由

今年は、大坂なおみ選手が全米オープンで優勝するなど、テニスの話題が多いですね。

テレビでテニスを見る機会があったリスナーのAさん、観戦しながらこんな疑問が浮かんだそうです。「どうしてテニスボールは黄色なの?」

ということで10/30の『丹野みどりの よりどりっ!』では、「テニスボール」についてのキニナルを調査しました。

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今回の回答者

「テニスボールはなぜ黄色いの?」というキニナルについて、住友ゴム工業株式会社商品開発部 テニス技術グループ課長の丹羽邦夫さんに尋ねました。

住友ゴム工業株式会社は、大きく分けてタイヤ、スポーツ、産業品という3つの事業を行っており、スポーツ事業ではテニス・ゴルフ・フィットネスの事業を展開しています。

テニスボールは1930年から製造・販売を行っており、発売から57年を迎えたロングセラー商品「ダンロップ・フォート」をはじめ、今なお数多くのプレーヤーの信頼に応え続けている会社です。
 

テニスボールが黄色い理由

早速本題の「テニスボールはなぜ黄色いの?」について聞いてみました。

丹羽さん「黄色なのは、単純に明るく目立つ色だからです。
白いボールは時間帯や天候により見えにくくなりますが、黄色はテニスコートのネット等に多く使われている深緑を背景とした際に最も見えやすい色といえます。
緑の補色は赤ですが、認識しやすさは補色関係だけでなく彩度、明度も関係すると聞いています。

また、ITF=国際テニス連盟でも、ボールの色を白色あるいは黄色と定めています。国際テニス連盟の研究結果により、テレビの視聴者が黄色のボールを見やすいといった説明をしています」
                                         
プレーのしやすさを考慮した結果が黄色だったわけですね。テレビの視聴者がボールを見やすいというのも面白いですね。
 

黄色のボールが使われるようになった時期

テニスの試合を見ていると、黄色以外のボールはあまり見かけませんよね。
いつから黄色いボールを使い始めたのか聞いてみました。

丹羽さん「黄色のボールが使われるようになる前までは、白が主流でしたが、先ほど申し上げたように黄色いボールの視覚認識の容易さと、カラーテレビの普及により、テレビ映りの良い黄色いボールに需要が集まったことで、メーカーの製造量も多くなり、1960年代後半~1970年代前半にかけて世の中で黄色が主流になりました。

また、当時一般レベルではクレーコート(赤土)が主流で、白だと土がついて汚れてしまい、コートとボールが同じ色になってしまい見えにくいということがあり、黄色が受け入れられたようです。

このような経緯もあり、国際テニス連盟が黄色のテニスボールを加えるルールに変更したのが1972年、4大大会のひとつ、ウィンブルドンで黄色のボールが採用されたのは、1986年のことです。
ちなみに弊社では1972年に初めて『フォート』イエロー2個入り缶を発売しました」

野球だと、ピッチャーが投げたボールが汚れたらすぐに拭くことができますが、テニスボールは何回も地面で弾む上に、1つのプレーが終わるまでにある程度時間がかかってしまいます。
テニスボールが白よりも黄色のほうが適しているというのは納得できますね。
 

表面がフェルト地である理由

テニスボールの硬さや大きさにも規定があるのでしょうか?

丹羽さん「あります。国際テニス連盟が硬さだけでなく、重量や大きさなどの範囲を定めています。弊社では、製造の各工程で重量や硬さといった検査をしているので、国際大会にも使用できるバラツキの小さいボールを生産しています」

ちなみに、ボールの表面はフェルト地ですが、これも硬さやボールの特性と関係があるのでしょうか?

丹羽さん「あります。表面がフェルト地なのはボールの飛びを安定化させるためです。フェルトがないと、ボールが飛びすぎたりはずみすぎたりして安定しません。
飛行時にはゴルフボールのディンプルの役目があると考えられ、激しく摩耗するとボールはぶれやすくなります。また、摩耗が進展するとバウンドが高くなります」

フェルトが弾みすぎるのを抑えているわけですね。あのフェルトは縫いつけてあるのでしょうか?

丹羽「糊でくっつけてあります。ボール表面に張られているフェルトは、ボールに張り付ける前は球状に沿うように2枚1ペアのひょうたんのような形になっていて、ボール表面にある白い線は、その2枚をつなぎ合わせボールと一体化させる際の合わせ目となる糊です」

フェルト地がないとどんな感じになるのか興味が湧きます。弾みすぎて試合にならないのかもしれませんね。
 

ボールの寿命

ラケットで打ったり、コートの上を弾んだりと、テニスボールにはかなり消耗しそうなイメージがあります。どれぐらいの間、使えるものなのか聞いてみました。

丹羽さん「使用環境、使用頻度にも影響を受けますが、我々のデータにおいて、快適な状態で使用できるのは、2~3週間程度です」

意外と短いんですね!

丹羽「そうなんです。ボールの中の空気圧が低下することによる物性変化が主な要因です」

表面が擦れること以上に、ボール内部の問題が大きいわけですね。
あれだけ試合中に弾んだり、ラケットで打たれるわけですから、ボールの中の空気圧がテニスボールにとって非常に大事だということが理解できます。

ここ何年、プロテニス界では日本選手の活躍が非常に目立ちます。黄色いテニスボールにはこんな話があったなぁと思いながら、ゲームをお楽しみください。
(おきな)
 
丹野みどりのよりどりっ!
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2018年10月30日16時37分~抜粋

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