丹野みどりのよりどりっ!

医療の現場で白衣を着る理由を尋ねてみたら、最近はそうでもないという話

この春に1週間ケガで入院したというAさん。
その時に、お医者さんや看護師さんが真っ白な白衣を着ているのを見て、ふと「どうして白衣を着ているのだろう?」という疑問が浮かびました。

ということで10月9日の『丹野みどりのよりどりっ!』では、「白衣」についてのキニナルを調査しました。
すると、最近になって「医療現場=白衣」という概念に変化が表れていることがわかってきました。

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今回の回答者

「医療の現場では、どうして白衣を着るの?」

このキニナルについて詳しく答えてくれたのは、フォーク株式会社の下北裕樹さん。

フォーク株式会社は、明治36年創業という豊富な経験をベースに、機能性はもちろん、ユニフォームの役割を見据えたファッション性の高いユニフォームを提供して来た会社です。

海外のユニフォーム事業も視野に入れ、グループ企業においても「オフィスユニフォーム」を始め「介護服」「メディカルウェア」「園児服」など、幅広い分野のユニフォームを展開しています。

白衣を着る理由

では本題です。どうして医療の現場では白衣なのか?

下北さん「大正時代には和装から洋装への変革期があり、特に女性が主役の看護分野では、『女性らしさ』が重んじられ、浅い立ち襟、肩と袖の接合部が膨らんだ長袖、そしてスカートも膨らんだ西洋ドレスが採用されたのが白衣の起源とされています。

この頃は白衣とは呼ばれておらず、色も紺色や黒など濃い色のドレスに、汚れを防ぐ衛生的な印象を重視し、白いエプロンや割烹着を上に着用して仕事に従事しました。白衣の印象形成はこの頃にされています。

そして、1950年代に保健衛生法などの制定を受け、それまで様々だった看護服に清潔な白衣の統一規格(厚生型)が制定されたことで普及したという経緯があります」
                                         
白衣の規格が統一されたことで、どの病院に行っても白衣を見るようになったわけですね。今も昔も白には清潔なイメージがあったと言うのは面白い発見です。

手術では色つきのウェアを着用する理由

ところで医療ドラマなどを見ていると、普段は白衣ですが、手術の時には緑などの色のついたウェアを着ていますよね。
どうして手術の時には白衣ではないのか聞いてみました。
 
下北さん「医療先進国のアメリカでは、1960年台から手術の際の作業服として『スクラブ』と言われる手術着が制定されました。プルオーバーであり、ボタンやポケットなどもない、Tシャツの布地版です。

当時も現在も手術は重労働であり、開腹された鮮血で真っ赤な患部を長時間、凝視していると『補色残像』に悩まされます。赤い色を凝視すると、その補色関係の緑がまぶたを閉じたり、白い壁に目線を移すと現れてきます。
正常の色認識力を維持するため、スクラブに補色関係にある『緑色』を採用した科学的な根拠に基づきます。

目線を意識的に手術着の『緑』に移すことにより、正常な色認識を保つという、手術の現場、医師の科学的な裏付けがあり、緑色が採用されています。加えて、緑色に血液の赤を塗布すると、黒に近い濃色となり、残酷で不衛生なイメージを遠ざける効果も期待できます」

緑色が採用されているのは、科学的な根拠に基づいていたわけですね。

白衣を着ている人は減っている?

最近病院に行くと、昔よりも白色ではなく他の色のウェアを着ているお医者さんや看護師さんを見かけることが増えているように感じます。
それには何か理由があるのか聞いてみました。

下北さん「1950年代から2000年の50年の間は『白衣=衛生的』の全盛期であり、医療施設や各種研究期間、病院、歯科医などのアイデンティティー確立に『白衣』は一翼を担いました。

2000年を境に白衣=『冷たい』『権威的』『怖い』『不安』などの精神的な側面も注目され、特に高齢者やこどもに観られる『白衣シンドローム』『白衣症候群』『白衣高血圧症』など医療従事者の『白衣』に拒絶反応を見せる症状も注目されました。
この頃から、一部の歯科医やクリニックはサービス化の競争にさらされ。その対策の一環で『白衣』以外のユニフォームを採用する医療施設が急増する結果となり、もはや『白衣』とは呼べない『色々衣』『色スクラブ』が皆さんの目につくようになったのです」

今後より一層、白衣よりも色つきのウェアを着ているお医者さんや看護師さんを見かけるようになるかもしれませんね。次回病院に行く際には、どんな服装をしているのか一度見てみてください。
(おきな)
 
丹野みどりのよりどりっ!
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2018年10月09日16時41分~抜粋

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