丹野みどりのよりどりっ!

「はやぶさ2」の目的は画家ゴーギャンの問いに答えること?

9月21日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)は日本の宇宙探査機「はやぶさ2」から分離した探査ロボット「ミネルバII-1」が小惑星リュウグウに到達したと発表しました。

25日の『丹野みどりのよりどりっ!』では、このニュースについてCBC論説室の横地昭仁解説員が解説しました。
2台の探査ロボットを着陸させた「はやぶさ2」ですが、そのミッションは哲学的なものでした。

[この番組の画像一覧を見る]

「はやぶさ2」の壮大な旅

さて、探査ロボットが着陸した小惑星「リュウグウ」とは?

「リュウグウと言う夢のある名前なんですけど、皆さんがイメージする星とは違うかもしれません」と横地解説員。
リュウグウは直径が900メートルぐらいしかありませんが太陽の周りをちゃんと回ってるれっきとした惑星です。

太陽系の惑星は、太陽の方から水星、金星、地球、火星、木星…と並んでいる中でリュウグウは地球と火星の間が基本的な軌道になっています。現在、地球から2億8千万キロぐらい離れた位置にいます。

そもそも「はやぶさ2」のミッションとは…

「リュウグウが何でできてるの?ということを詳しく調べようってことで4年前にロケットで飛ばしました」

「はやぶさ2」はリュウグウの軌道を追いかけるように太陽の周りを回りながら近づいていきました。30億キロを旅して、今年の6月に接近。先週、まず探査ロボットを着陸させました。

「はやぶさ2」のお仕事

今回の小惑星探査は一体何を調べてどんな意味があるんでしょうか?

「哲学的な言い方をすると『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』…これフランスの画家ゴーギャンが描いた絵のタイトルです。

よく物理学者はこの問いを立てるんですよ。この究極の問いに答えようってのがこのプロジェクトなんです」

宇宙空間にある塵やガスがだんだん固まって、46億年前に太陽も地球も出来たと言われています。その成り立ちを調べようと「はやぶさ2」を小惑星リュウグウに飛ばしたわけです。

リュウグウに期待するのは何?

それなら、すでに火星に送った探査機から分かるのでは?と思うかもしれませんが、火星とリュウグウは全く違います。火星や地球のように大きな惑星はいろんなものが衝突して大きくなりました。

そのため表面が溶けて惑星が出来る初期の成分とは変わってしまっています。
しかし、リュウグウぐらいのサイズだと、塵が集まった頃の状況がそのまま残ってるのではないかと考えられているのです。

またリュウグウは炭素を多く含んでいると考えられています。

「人間の身体は有機化合物でできてるでしょ?だから宇宙が太陽系になった時の最初の状態、その炭素ってどうだったのっていうことがわかると、生命の起源期限がわかるかもしれない」

実は危険なリュウグウ

実はリュウグウのように地球に近い小惑星は、潜在的に危険な惑星とされています。軌道が狂って地球に衝突することも考えられるからです。

しっかりと観測しているので、現在はその心配はないとわかっていますが、万が一の時にはちゃんと実物を見ておくに越したことはありません。
そういう意味でも重要なミッションと言えます。

小さな目標を狙う技術

そもそも今回のリュウグウ到達、技術面ではどんな評価なのでしょうか?

「リュウグウまでの距離は月と地球の距離の700倍以上あるわけ。ちゃんと目標まで行かせるには地球スケールで言うと、日本からブラジルにある直径6センチの的に当てるぐらいの精度が必要なわけ」

月と地球の距離は約38万キロ。電波が進むのに片道1秒少々、往復で3秒ほどのタイムラグがあります。これがリュウグウとの距離だと片道で15分以上かかってしまうのだそうです。

やっかいなタイムラグ

つまり「はやぶさ2」で何か問題が発生しても、地球でそれを知るのは約16分後。当然その間、問題は16分進行しています。
それに対応しようとすると往復で30分以上の時間がかかってしまう計算になります。

「だからこそ映画にもなった、先代の『はやぶさ』がいろんなトラブルを解決したのは凄いことなんです。で、今度は『はやぶさ2』が偉業を達成しかけてると、こういう話なんですよ」

今後はどんな調査をしていくんでしょうか?

「探査機は表面だけでなく内部の物質や、中に水があるかないかも調べます。そして2020年に物質を地球に持ってこようとしています。その冒険がまもなく来年にかけ始まります」と期待を込める横地昭仁解説員でした。 
(尾関) 
丹野みどりのよりどりっ!
この記事をで聴く

2018年09月25日16時17分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報