木曜日の「オトナのいろどりっ!」は、関富子先生のお料理レシピ。
毎月のテーマに沿ったレシピを1品ずつご紹介いたします。
9月のテーマは「うすくち醤油についてもっと詳しく知ろう」。
今回は、「きしめん」です。
意外なきしめんの由来
「きしめんだがね」
名古屋弁で紹介する関先生。
「まー名古屋人はね」
「やっぱし"きしめん"ですもんね」
同じ名古屋人の丹野みどりは激しく同意します。
あのひらひらした感じがたまりませんよね。
「あれは、なんでひらひらしているか知ってます?」
ここでいきなり関先生からのクエスチョンです。
「これはね、名古屋人の経済根性でね」
平たいほうが早く火が通るため、丸いうどんより平たいきしめんが流行したのだそうです。
これには思わず、ヒガシマル醤油研究所の古林さんも声を出して驚きます。
そして、"きしめん"という名前にも、由来はあるそうで。
「雉の肉が入っていたから、キジ麺から、きしめんになった」
「勉強になります」
思わず丹野みどりが口にしますが、勉強してほしいことは、もっと別のところにあるんですよ、丹野さん。
今月はヒガシマル醤油研究所所長の古林さんから、うすくち醤油について教わってください!
出汁の違いが、わからない?
気を取り直して、関先生にはおいしいきしめんを作るためのポイントを。
「もう、これは、出汁につきますね」
きしめんやおうどんなど、おつゆを張るものは、煮込む過程がないので、おつゆ自身を味わわなくてはなりません。
となれば当然、おつゆが美味しくなければ、きしめんやおうどんも美味しくならないわけで。
きちっとお出汁を取らなければ美味しく作れないということになるのです。
そんなお出汁が命のきしめんですが、丹野みどりの前には、2種類のきしめん。
さっそく食べ比べてみるのですが……
「先生、両方とも美味しいですけど」
「たぶん丹野さんの口にはそうはいると思うんです」
おっと。手抜き大好き主婦の丹野みどりにはわからない違いですと?
「片方は、削り節と花鰹の2種類だけでとったお出汁なんですよ。もう一つの方は、昆布と煮干しと削り節と花鰹でとったんですよ」
つまり、2種類と4種類。出汁の種類の多さが違います。
出汁の状態で飲むと、その差は歴然。
しかし、今回、2種類の出汁にプラス、淡口醤油とみりんを入れてしまうと、あら不思議。
味がうんとアップして、違いが全然わからなくなってしまいます。
「そうなんですよ、先生。正直なこと言っていいですか。どっちも変わらずおいしいんですよね」
2種類しか出汁を使っていないほうが物足りないなんてことは、まったく思いません。
これって、うすくち醤油の効果なのでしょうか。
出汁×うすくち醤油の効果効能
前回教わったことを踏まえると、うすくち醤油にはグルタミン酸があるので、昆布の旨味成分と同じものがプラスされてうんと味がアップする、という理屈でしょうか。
古林さんによると、うすくち醤油は出汁との相性が非常によく、出汁のおいしさを淡口醤油がより引き立てるそうです。
さらに、出汁そのものには、低い塩分濃度でおいしく感じるという「減塩効果」というものがあるそうですが、出汁に淡口醤油を合わせると、この減塩効果がさらに高まるそうです。
つまり、うすくち醤油と出汁をうまく使えば、健康でおいしい料理ができあがる、ということです。
そこまで聞いていた丹野みどりに、ふと疑問が浮かびます。
「出汁に淡口醤油を合わせると、なぜ減塩効果が高まるのですか?」
古林さんによると、これは、淡口醤油の持つ2つの特性が理由だそうです。
ひとつは、うすくち醤油は出汁の味が良くわかるから。
もうひとつは、うすくち醤油は塩味が良くわかるから。
ヒガシマルの研究によると、うどんつゆの塩分濃度である1.28%にした、食塩水、淡口醤油、濃口醤油の3つを用意して、それらの塩分濃度をちょっとずつ上げていくと、食塩水が一番早く0.03%塩分を濃くしたときに違いが分かるようになり、淡口醤油では0.05%、そして濃口醤油では0.08%塩分濃度を上げたときにやっと違いがわかるようになったそうです。
つまり、塩分濃度1.28%の淡口醤油と1.33%の淡口醤油を飲み比べると「塩辛くなった」と分かるのに対し、濃口醤油では、1.28%から1.36%にした時に飲み比べてやっと「塩辛くなった」とわかるそうです。
ちょっとの塩分量で塩味がわかるのですから、塩分を控えて使ってもおいしい料理が出来上がる。よって減塩につながるということです。
ちなみに、今回先生が使った淡口醤油の量は、700mlの出汁に対して淡口醤油大さじ1杯ちょっと。
いかに塩味がわかりやすいかというところですね。
材料とレシピ
【材料】2人分
だし汁
・水 5カップ
・煮干 10g
・出し昆布 10g
・削り節 30g
・花かつお 20g
かけだし
・だし汁 3カップ半
・淡口醤油 大さじ1・1/2~
・みりん 大さじ1/2
・きしめん(冷凍) 2袋
・かまぼこ 4切れ
・油あげ 1枚
・青菜(茹)
・ねぎ(小口切り)
・花かつお
【作り方】
①かけだしに必要なだし汁をつくる。煮干しの頭と内臓をとり、細かくさいてサッと水洗いする。だし昆布は汚れをふきとり、切れ目をいれる。
②5カップの水を鍋に入れ、煮干しと昆布も入れて2時間くらいおく。
③鍋を火にかけ、沸騰寸前に昆布をとりだし、2分ほど灰汁をとりながら沸騰させる。火をやや強くし、削り節を入れ、さらに2分ほど沸騰させる。この時も灰汁をとる。花かつおを入れ、15秒沸騰させて火からおろし、こす。だし汁の出来上がり。
④きしめんはレンジで解凍し、温めておく。器も温めておく。
⑤鍋に作っただし汁3カップ半(700ml)を入れて温め、淡口醤油大とみりんを入れ、かけだしを作る。きしめんを鍋に入れ温める。
⑥温めておいた器にきしめんを盛る。お好みでかまぼこ、油あげ、青菜、ねぎと花かつおをのせて出来上がり!
(榊原)
丹野みどりのよりどりっ!
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2018年09月20日16時37分~抜粋