8/29放送の『丹野みどりのよりどりっ!』、今月「大人のクリニック」のコーナーで取り上げてきたテーマは「骨や骨粗しょう症」。
今回は「骨粗しょう症」についての重点的なお話を、藤田保健衛生大学医学部 内分泌・代謝内科学講座教授の鈴木敦詞先生に伺いました。
聞き手は丹野みどりです。
意外と痛くない背骨骨折
骨や骨粗しょう症についてのお話を色々と伺ってきましたが、骨粗しょう症による骨折で一番折れやすい部位はどこなのでしょうか。
それは、背骨。
背骨はスポンジのような柔らかい成分が多いので、外から力がかかってきた時に、つぶれやすくなってしまいます。
この背骨の骨折の怖いところは、意外と痛くないということ。
背中が丸くなってしまった方に「いつ骨折をしましたか?」と尋ねても、多くの方が答えられないと鈴木先生。
「さあ、いつの間にか。なぜかだんだんと背中が丸くなって」と答える方が多いんだそう。
じわじわと骨が変形して骨折する、これによって痛みを感じずに骨折が進んでしまうというのです。
背骨の骨折の約6割は痛みを感じないと言われています。
これが、いわゆる「いつの間にか骨折」。
鈴木先生によると、「骨の形が変わっていないかどうか、骨が弱っていないかどうかを、しっかりと骨の検診をしてあらかじめ見つけていかなければ、曲がってしまった骨を完全に戻すのは非常に難しいことなので、予防が大事」とのこと。
自分の骨密度を知る
それでは、骨粗しょう症の検査はどこへ行けばできるのでしょうか。
骨の形がどうかというのは通常のレントゲン写真で見ることができますが、それだけでは骨の中にどれだけカルシウムがたまっているかをチェックすることはできません。
そのため、「骨密度」という骨の中のカルシウムの密度を測る検査が必要となります。
この検査を受けると、今骨の中にどれぐらいカルシウムがたまっているかをチェックすることができるので、骨の強さをしっかりと知ることができます。
骨密度を測るには、背骨や股関節・大腿骨の骨密度を測るのが一番正確だと言われていますが、こういった部分を調べるには、骨密度専門のクリニックや病院で診てもらわなければなりません。
腕や手のひらで簡単に骨の量を測る検査機械であれば、検診施設やクリニックで置いてあるところもあるのでこういったところでチェックをすると良いそうです。
公益財団法人 骨粗鬆症財団のHPでは、全ての施設が掲載されているわけではないものの、骨密度を調べる機械の有無や、骨粗鬆症専門のドクターについてのある程度の情報を調べることができるとのことです。
70歳の4割に骨の変形
女性の骨は、大体50歳ぐらいから急に減り始めます。
骨折をするかしないか、要するに治療が必要かどうかわかるのが大体60歳~70歳。
そのため、60歳ぐらいまでにきちんと骨の量を測っておいて、その後数年おきに骨密度を測定していくのが理想的といえます。
70歳ぐらいになると、大体4割の方に骨の変形が見られるので、「この時点では必ずチェックをする必要がある」と鈴木先生。
それでは、骨粗しょう症になってしまったら、もう治らないのでしょうか。
骨は身体の他の部分と同じように、少しずつ年齢を重ねていきます。
問題は、ホルモンのバランスの関係で身体の他の部分よりも早く骨だけ弱ってしまって骨折をするという方がいるということです。
女性ホルモンとの関係が深いため、女性に骨粗しょう症が多い傾向にあります。
そこで生きているうちには折れない骨、骨が老化するのをストップさせるための治療、つまり「骨の年齢を止める」治療が一般的に10年ぐらい必要となるそうです。
早めの検診と治療を
骨粗しょう症の治療法としては、骨の中にカルシウムを戻す治療、骨を溶けにくくする治療、骨に対して必要なカルシウムの吸収を良くする栄養治療のための様々な薬があります。
こういった薬を使うことによって、骨折を少なくとも半分に減らすことができるので、必要な期間、薬を用いて治療するということも、現在ではどこの施設でもできるようになってきているそうです。
「閉経後から少なくとも60歳~70歳までは検査を受けて、骨粗しょう症がわかれば早めに治療をする、理想を言えばそもそもそういう風にならないように食事や運動で気を付けるということですね」と納得の丹野。
「特にお母さま、おばあさま。ご自分とある程度遺伝的な背景が似てらっしゃる方。ご家族の方で骨折をされた方がいらっしゃる場合は、早めに検診を受けられた方がよろしいと思います」との鈴木先生からのアドバイスでした。
(minto)
丹野みどりのよりどりっ!
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2018年09月12日16時34分~抜粋