先日、スーパーの惣菜コーナーで大学芋が販売されているのを目にしたAさん。
久しく食べていなかったこともあり、思いつきで買って食べたそうなのですが、ふとこんな疑問が浮かんだとのこと。
「『大学芋』と普段呼んでいるけど、どこの大学のことを指しているの?」
ということで今回は、「大学芋」についてのキニナルを調査しました。
今回の回答者
「大学芋の"大学"はどこの大学を指しているの?」というキニナルについて、日本・大学芋愛協会の奥野靖子さんにお答えいただきました。
日本・大学芋愛協会では、日本全国の大学芋専門店を全て自分の足で食べにいき情報を集め、ホームページ上で紹介したり、手作りの大学芋レシピの紹介、大学芋を食べるツアーや、さつま芋イベントへの出展など、大学芋に関するイベントも行っています。
ちなみに、これまで実際に訪れてきた店舗は80店舗以上だそうです。
大学芋の“大学”はどこの大学?
早速ですが、大学芋の"大学"はどこの大学を指しているのか聞いてみました。
奥野さん「様々な説がありますが、その中でも特に有力とされているのは『東京大学』です。東大の赤門の前にあった氷屋さんがさつま芋を素揚げし、甘味を絡めたところ、東大生から大変人気だったことから『大学芋』とついたと言われています」
丹野「そのお店は今もあるんですか?」
奥野さん「当時の氷屋さんの味を継承している大学芋屋さんは、現在でも現存しています」
丹野「そもそも、どうして大学芋を販売するようになったんですか?」
奥野さん「当時はサツマイモ自体がそこまで甘くなく、より甘くしてサツマイモだけで心もおなかも満たしたいという思いから大学芋ができたという話があります」
他には「早稲田大学」「神田にあった大学」が発祥ではないかという説もあるそうです。
大学芋の歴史
大学芋は今ではポピュラーなお菓子ですが、いつから作り始められたものなのでしょうか?この疑問も聞いてみました。
奥野さん「"大学芋"という名称に限ると、大正から昭和初期にはできていたそうです」
丹野「ちなみに大学芋は日本だけのものなんですか?」
奥野さん「中国にも似たお菓子がありますが、"大学芋"は日本だけです」
"大学芋"と呼ばれる前までさかのぼると、大学芋の調理自体は、1912年(明治45年/大正元年)頃にはあったんだとか。
また、奥野さんの話に出た中国のお菓子は「バースー(抜糸)ホンシュ」といい、さつま芋を水飴でコーティングしたお菓子なんだそうです。
地域によって異なる大学芋
東海エリアで大学芋といえば、芋に透明な飴状の砂糖が絡まっている様子が浮かぶのではないでしょうか?
地域によって形などに違いがあるのか聞いてみました。
奥野さん「まず、素揚げしたさつま芋にからまる甘味の部分の違いですが、関東はさらさらした"蜜状"のものが主です。一方で、中部より南の地域では"飴状"のものが多いです」
丹野「私は生まれも育ちも名古屋なので、大学芋には『固い』イメージがあります」
奥野さん「まさに名古屋は固い"飴状"の大学芋が主流なんです」
丹野「形はどうなんですか?」
奥野さん「特徴的なところで言うと、関西ではスティック状のものが多いのが特徴です」
丹野「え!?ポテトみたいな?」
奥野さん「そうです!まさにフライドポテトに近い形をしています」
この他、東北や北海道では、粉ふきした砂糖(結晶化した砂糖)が多いんだとか。また、乱切りのものや、各地の美味しいサツマイモを使用しているものなど、地域によって様々な大学芋が楽しめるそうです。旅行先で、ご当地の大学芋を食べてみると、いろんな大学芋に触れ合えて面白いかもしれませんね。
日本・大学芋愛協会では、大学芋に関する情報をホームページ上でも紹介していますし、様々なイベントも行っています。興味のある方は、一度覗いてみてください。
(おきな)