丹野みどりのよりどりっ!

理容店のポールの色が赤・白・青の理由

先日、自宅近くの古くから続く理容店に髪を切りに行ったAさん。

店に入る前に、赤・白・青色の螺旋状にぐるぐる回るポールが目に入ったAさんは、「理容店といえばこのデザインのポールだよな~」と思う一方で、なぜこのデザインなのか気になったそうです。

ということで今回は、「理容店のポール」についてのキニナルを調査しました。

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今回の回答者

「理容店のポールが赤・白・青なのはなぜ?」というキニナルについて、大阪サイン株式会社の岡部剛さんにお答えいただきました。

大阪サイン株式会社は、理容店、美容店向けの回転看板や各種看板の製造を行っている会社で、今回の質問でも出てきた理容店でよく見かける赤・白・青のデザインのポールも製造しています。

あのポールの名前

まずは本題に行く前に、そもそもあのポールは何という名前なのか聞いてみました。

岡部さん「あの赤・白・青のデザインのポールのことを『サインポール』といいます。これは日本のみでの呼び方で、海外では『バーバーポール』と呼ばれています。
昔は『有平糖(あるへいとう)』という砂糖菓子に似ていたことから、『有平棒(あるへいぼう)』と呼ばれていたこともありますし、『あめんぼう』と呼んでいるのも聞いたことがあります」

あのポールは「サインポール」と呼ぶんですね。
ちなみに「有平糖」は、砂糖を煮詰めて作ったお菓子で、室町時代に日本に伝来しました。サインポールと同様、細長い棒状のもので、螺旋状のデザインになっています。

理容店のポールが赤・白・青のデザインである理由

早速本題である「理容店のポールが赤・白・青なのはなぜ?」という疑問にお答えいただきました。
 
岡部さん「この由来には諸説ありますので、そのうちの一説をお話します。

昔のヨーロッパでは、髪を切る場所と外科的な医療行為をする場所は同じでした。当時は『瀉血(しゃけつ)』といって体内から血液の一部を抜き取る治療法があり、その際に『瀉血棒』という棒状のものを使用していました。

患者さんは痛みに耐えるために瀉血棒を握っており、血を抜く時には腕から流れ出た血液がその棒をつたっていくこともありました。瀉血棒を流れる血液が見た目として悪かったので、ある時からは瀉血棒は赤色になったとされています。
その赤い瀉血棒に白い包帯をかけて干した様子や、干した包帯が風で棒にまとわりついた様子から、赤色と白色の螺旋状のデザインができました。

その後、様々な説がございますので今回は割愛しますが、青色が新たに加わり現在の赤・白・青の三色のデザインになりました」

丹野「結構過激なエピソードなんですね…ちなみに、形も瀉血棒に由来しているんですか?」

岡部「はい。現在のサインポールには先端にグローブと呼ばれる丸い部分があるのですが、当時の瀉血棒の握る部分が丸かったことに由来しています。このように今のサインポールは当時の瀉血棒そのものが変化してできたものと言えます」

丹野「今度からサインポールを見る目が変わりそうですね!」

「瀉血」という治療行為が、サインポールの起源に大きく関わっていたわけです。当時使われていた瀉血棒がどんなものだったのか、非常に興味が湧きます。

海外でのサインポール

海外のサインポールも、日本と同じ赤・白・青の三色のデザインになっているのでしょうか。この疑問も聞いてみました。

岡部さん「海外でも、この赤・白・青のデザインは使われています。
特にアジアではこのデザインのサインポールを使用しているところが多く、その中でも台湾などではよく見かけるそうです。ヨーロッパにおいても現在でも使われていますが、減りつつあります」

ちなみに岡部さんいわく、海外のサインポールは日本のものと比べて、中のらせん状のシートが動くスピードが若干遅いんだそうです。

サインポールの仕組み

こどものとき、理容店の店頭にあるサインポールをじっと見つめたことがある人もいるのではないでしょうか。螺旋状にぐるぐる回るサインポールの仕組みについて聞いてみました。

岡部さん「サインポールの仕組みはいたってシンプルです。白地に赤や青のフィルムを螺旋状に貼り付け、下についているモーターで動かすことでぐるぐると回るように見せています。
ちなみに、フィルムの傾斜がゆるいとゆっくりに、傾斜が急だと早く動いて見えます」

実は結構シンプルな作りだったんですね。
ちなみに、フィルムの傾斜によって速さが変わるように見えるのは、錯覚が影響しているんだそうです。

他の色のサインポール

理容店=赤・白・青のデザインのポールというイメージが強くあると思います。他の色のデザインはないのか、聞いてみました。

岡部さん「昔は赤・白・青のデザインが一般的でしたが、現在では様々な色のサインポールが出てきています。オレンジや緑のものもありますし、10年程前には青と白のデザインが人気でした。最近では白黒のサインポールがおしゃれということで、使われるケースが増えています」

時代の流れとともに、サインポールにも流行があるんですね。
将来、もっと違う色や違うデザインのサインポールが登場するかもしれませんし、いつか赤・白・青のデザインを知らない人なんかも出てきたりして…。
(おきな)
丹野みどりのよりどりっ!
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2018年09月04日16時37分~抜粋

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