R東日本が一部の区間でホームでの列車の発車ベル、発車サイン音を試験的にやめています。これはいったいどういうことでしょうか。
8月7日放送の『丹野みどりのよりどりっ!』では、この話題について、CBC論説室の横地昭仁解説委員に尋ねました。
駆け込み乗車防止のため
丹野「発車ベル、サイン音とは扉が閉まる時の音ですか?」
横地「そうです、昔はジリジリとかブザーとか。今はメロディの電子音です。JR東海だとピポパポパ…とか、あと、注意してください、駆け込みはだめよ、というアナウンスのことです」
丹野「どうしてそれをなくすのですか?」
横地「駆け込み乗車を少なくしようという目的です。サイン音を全部やめるわけではないです。列車のところではちゃんとサイン音と注意呼びかけのアナウンスをします。が、ホームでは流さないということです」
丹野「別に階段で聞こえなくてもいいということですね」
横地「ホームのスピーカーを使うと、階段で『あ、発車しちゃう』と、駆けあがったりしますね。今、試験的にやっているのは、JRの常磐線の亀有~取手間です」
効果あり?
この試みは8月1日に始めたばかりということもあり、横地委員がJR東日本に聞いたところ、「まだまだこれからの検証です」とのこと。
また「問題点や乗客からの不満の声は?」には、「今のところありません」との答えだったそうです。
そこで横地委員は、昨日の夕方のラッシュの時間帯、実際に現場へ足を運んでみたそうです。
「これは各駅停車の列車に限ってやっています。まず亀有に行ってきました。
列車からは音が流れ、電子音も聞こえます。亀有の駅は下が通路で階段を上がる形になっていますが、踊り場だとあまり音は聞こえないです。みんな整然と歩いていました。
ただ踊り場から下りの列車の屋根だけちょっと見えるので、ひとり一瞬駆け上がろうとして、そのまま歩いていく人がいました。あきらめたのか、それとも、音が聞こえてないのでまだ間に合うと思ったか。
松戸の駅にも行きました。亀有は各停しかとまりませんが、松戸は快速がとまるのでその違いを見てみました。
松戸は通路が上になっていて階段を下りていく形です。途中の踊り場で聞くと、各停は列車の横では聞こえるが、踊り場では聞こえない。ところが、快速はホームにサイン音が流れていて、ちゃんと踊り場で聞こえます。そうしたら、高齢の方がお孫さんの手をひいて駆け上がろう、という姿が見られました」
丹野「音が聞こえると走ろうとするのは人間の性みたいなものですが、危ないですね」
横地「危険だし、ダイヤも乱れたりしますから、やめていただきたいですね。
昨日見た限りでは効果があるのかな、という感じはしました」
さらなる安全をめざして
丹野「そもそも列車が発車する時の音やアナウンスは日本はこまやかですね」
横地「ヨーロッパの特派員に聞くと、発車のベルはヨーロッパでは聞いたことがないと。外国の方には新鮮に感じる時もあるそう。
それに高田馬場だと『鉄腕アトム』、恵比寿だと『第三の男』が流れたり、ご当地メロディを工夫をしているところもあります。
視覚障害のある方に音は非常に大事ですから、事故を助長しないようにどうするかだと思います」
最後に横地は「JRの取り組みは始まったばかりですが、検証結果を広く公表してもらって、成果があれば他の鉄道にも広め、さらに安全な鉄道になってくれるといいと思いました」とまとめました。
(みず)
丹野みどりのよりどりっ!
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2018年08月07日16時15分~抜粋