丹野みどりのよりどりっ!

階段の折り返しを「踊り場」と呼ぶ理由

いつものように、旦那さんと家の掃除をしていたというAさん。
階段の掃除に差しかかった時に、旦那さんから「どうして踊り場っていうのかな?」と聞かれたそうです。
「どうしてだろう?」とその場で答えられなかったAさん、疑問を解決したく『丹野みどりのよりどりっ!』にメールを送りました。
8/7は「踊り場」についてのキニナルを調査しました。

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今回の回答者

「どうして階段の折り返しのことを“踊り場”っていうの?」というキニナルについて、株式会社横森製作所 広報担当の工藤寛之さんにお答えいただきました。

株式会社横森製作所は、1951年創業の国内最大の鉄骨階段専門メーカーです。
階段の設計、製造、施工まで一貫して行っており、日本の高さ200m以上のビルトップ50のうち45物件に採用されています。
名古屋ではJRセントラルタワーズや大名古屋ビルヂングなどのビルで採用されています。

階段の折り返しのことを「踊り場」と呼ぶ理由

早速本題の疑問、「どうして階段の折り返しのことを“踊り場”って言うの?」に答えていただきました。
 
工藤さん「踊り場の由来には諸説ありますが、踊り場でくるりと回転する際にまるで踊っているようだから、という説が有力です。日本の西洋化と共に、女性はスカートを着るようになり、着物文化だった日本人にとってスカートが揺らめく様子は新鮮に映ったことと思います。また、舞台で踊り子が踊る場所から由来しているという説もあります」

まさに「踊り」が踊り場の由来となっていたわけですね。

踊り場と階段の歴史

そもそも日本の階段には「踊り場」があったのか。踊り場の歴史について伺ったところ、意外な答えが返ってきました。

工藤さん「踊り場もですが、もともと日本には階段がありませんでした。江戸時代までの古典を読んでも『階段』という言葉は出てきません。
当時は、普通の住居の多くが平屋だったので必要がなかったのです。
宿場や天守閣などには上階がありますが、本格的な階段ではなく『階子(はしご)』『階子段(はしごだん)』などと呼ばれていました。」

丹野「そもそも"階段"という概念がなかったわけですね」

工藤さん「そうなんです。土間から居間に上がる部分などにも段がありますが、階段の『階』と書いて『きざはし』と呼ばれていました。『階』は平安時代の古典にも出てきますが、神社や舞台の段もこれにあたります。

さらに古く、紀元前の高床式倉庫では当然はしごや階段状の設備が必要でした。

また、街角で古い石段を見かけることがありますが、『○○坂」』と呼ばれているところがあります。車社会になるまで、階段と坂を区別する必要がなかったことがわかります」

丹野「確かに京都の『二寧坂(二年坂)』などを見てみると、段があっても坂と呼んでいますもんね」

「踊り場」だけでなく「階段」という言葉そのものが、昔はなかったというのは驚きですね。

ちなみに、一般的な住居にいわゆる「階を連続した段で繋いだもの」が登場したのは明治時代で、文明開化とともに洋風建築が日本にも導入され始めたのがきっかけだそうです。

踊り場の役割

普段何気なく使っている「踊り場」。
そもそも踊り場がどういう役割を担っているのか聞いてみました。

工藤さん「実は皆さんの安全を守るために、踊り場の位置や幅は法規制で決まっています。そもそも踊り場とは、階段の折り返し部分や、長い階段の途中に設けるフラットなスペースのことで、足休めや、最下までの転落を防ぐ役割があります。」

踊り場を設置するのにも、ルールがあるわけですね。
上り下りするのが面倒で、エレベーターやエスカレーターを使ってしまう方も多いと思いますが、歴史や由来を思い出しながら、積極的に階段を使ってみてください。
(おきな)
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