ピアニスト・清塚信也が語る、綾野剛と羽生結弦の素晴らしい演技

丹野みどりのよりどりっ! / エンタメ

ピアニスト・清塚信也さんが7/27放送のCBCラジオ『丹野みどりのよりどりっ!』に出演しました。

清塚さんはTBSテレビ系ドラマ『コウノドリ』の、ピアノ音楽を監修しており、ドラマ本編にもライブハウスのマネージャー役として出演。
この8月~9月にかけては、ドラマの世界観を再現するコンサートも行います。

表現力豊かにできる

『コウノドリ』とはどんなドラマか、改めて清塚さんに説明してもらいました。

「命の誕生を祝福しつつ、しかし全て美談にせず、本当にありのままの命の誕生を描いた、男女問わず今みんなに観てほしいドラマでした」

『コウノドリ』は2015年にファーストシーズン、2017年にセカンドシーズンが放送されました。
綾野剛さん演じる主人公・鴻鳥(こうのとり)サクラは、産婦人科医であり、また謎の天才ピアニスト“BABY”という裏の顔も持っています。
産科医療の現場で起こる様々なトラブルや葛藤を描くことにより、「出産は100%安全ではない。出産は奇跡だ」というメッセージを発信するヒューマンドラマです。テレビではなかなか難しいところまで切り込んで表現した作品で、好評を博しました。

ファーストシーズンとセカンドシーズンとでは、音楽のテーマを作る時に変えた部分というのはあったんでしょうか

清塚さん「ドラマの中の劇伴もやってたんですけれども、劇中でBABYが演奏するピアノをメインに作っていました。BABYが弾くことに関しては、セリフと同じようにドラマの中で鳴っている音なので、結構表現力豊かにできるんですよ」

劇中曲はBGMなので、あまり表現力豊かにし過ぎると邪魔になってしまいます。が、BABY自身が弾いているのは彼の思いをぶつけたような音楽だということです。

清塚さん「ファーストシーズンは、どっちかと言うとまだ自分の人生にも精算ができていなくて、患者さんを通して命の誕生に関して、鴻鳥先生は倫理的なことも含めいろんなことを考えていたんだと思うんです。
けど、セカンドシーズンの時はもう精算が済んで、本当の意味で医師として患者さんの背中を押してあげるというか。医師として、1人の男として、倫理的なジレンマに対峙していくというような心境の違いを、各シーズンのテーマで表してみました」

ファーストシーズンのテーマは「Baby, God Bless You」、セカンドシーズンのテーマは「For Tomorrow」という曲で、主人公の成長が表現されているということです。

何でこんな難しくしたの?

役者が劇中で演奏するシーンは、技術的に難しいこともあり、“吹き替え”と言って代わりに清塚さんのような専門家が演奏することが多いです。が、それだと手元だけしか映せません。

「それを当たり前にしたくない。役者たるもの、そこもできる限り芝居をしたい」という綾野さんのたっての希望で、自分でピアノを弾く場面もあったんだそう。時間のない中、朝方までみっちり清塚さんが綾野さんの特訓に付き合ったんだとか

先ほど、「主人公の成長をテーマの中で表現した」と書きましたが、セカンドシーズンの『For Tomorrow』は音楽的にかなり成長させたと清塚さんは語ります。つまり、圧倒的に演奏の難易度が上がったのです。

セカンドシーズン制作発表の際、今回のテーマ曲として御披露目すると、スタッフからは「うわあ、良い曲じゃん!良かった良かったー!」と大好評でしたが、綾野さんだけはうつむいていました。

「ちょっと、キヨちゃん」と清塚さんに呼びかけ、2人きりになる綾野さん。

綾野さん「何でこんな難しくしたの?わかってるよね?ファーストシーズンで自分で弾くって頑張ったじゃん?セカンドシーズンでもこれ、やらせるってことだよね。その辺、考慮は無いの?」

清塚さん「いや、やっぱり『良いものを作る、妥協しない』って言ってたから。俺も妥協しないようにしたんだよねー」

まさに、考慮を取っ払った「コウリョドリ」と言ったところでしょうか。
しかしそう言いながらも綾野さん、また努力して弾けるようになったそうです。役者魂ここにあり、ですね。

ライブ演奏はリスキー

「清塚信也 presents TBS系ドラマ『コウノドリ』コンサート」は、東海エリアでは9月27日(木)、名古屋国際会議場センチュリーホールにて、19時開演予定となっています。

劇中曲としておとなしめだった曲もライブバージョンにアレンジしたり、ピアノソロだけでなくバイオリンやチェロ、ドラムなどのサポートも取り入れたりして、しっかりした音楽ライブとして構成されているそうです。
ドラマを観ていない人でも楽しめるようになっているということで、ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。

ライブと言えば、この話題も外せません。今年5月から全国各地で、フィギュアスケートの羽生結弦選手とコラボしたアイスショー『ファンタジー・オン・アイス2018』が行われていました。

これは音楽をかなりフィーチャーしたアイスショーで、実はなかなかないと清塚さんは言います。
フィギュアスケーターは普通、録音されている音楽を再生したものに合わせて演技します。しかし、ファンタジー・オン・アイスではアーティストとのコラボで、音楽は生演奏。まさにライブです。

生演奏は毎回同じ演奏をするのはハードだし、ちょっと演奏がズレるとジャンプのタイミングが狂うしで、演奏側もスケーター側もリスクをはらむイベントのため、清塚さんは不安だったそうです。

ところが、羽生選手のあまりのスキルの高さに舌を巻いたのでした。

羽生結弦恐るべし!

音楽的な知識も豊富で、音楽に寄ってきてくれたという羽生選手。

清塚さん「ライブとしてショーを楽しんで、そしてブラッシュアップして突き詰めてくれたので、本当に考えてることが2つも3つも先を行ってるなという感じがしました。人間的にも国民栄誉賞というのがふさわしい方だなと思いました」

メチャメチャべた褒めです。具体的な例を語ってくれました。

清塚さん「僕らはもちろん移動しないで弾いているんですが、アイスリンクは広いので、羽生選手がずっと向こうまで行くと結構な距離なんですよ。音響機器を使ってるので音は会場中に聞こえてはいるんですけど、すごい離れていてもちゃんと生演奏を聴いてくれて滑ってるのが分かるんです」

距離があれば音が遅れてくるし、音響機器からの音もズレるし、そんな中でも生演奏のオリジナルの音に合わせようとしてくれるそうです。

清塚さん「毎回僕らの演奏も少しずつタイミングが変わってきちゃうんですよね。更に言えば、音楽っていうのはセリフの言い方と一緒で、前後の流れで全然変わるんです。『フォルテ』の部分が『ピアノ』になったりもするんですよ。音楽はナマモノなんです。羽生選手はそういう違いにすら応えてくれる」

例えば、前回の会場では強く演奏したフレーズを、今回は弱く演奏したとしましょう。羽生選手はその変化を受けて、咄嗟に滑りを変えてしまえるんだとか

才能は才能を育てる

他の選手はジャンプを成功させたり、良い演技をしたりすることで精一杯だと、見ていて分かるという清塚さん。だからこそ音楽で邪魔をしちゃいけないという思いだったそうです

ところが羽生選手はその驚異的なアドリブ力と、芸術性の高さと、「ライブでやるからには、こういうところが面白くなくちゃ」というエンターテイメント精神によって、人より先のステージに行ってしまっているということなのです。

こういった、綾野剛さんや羽生結弦選手など様々な才能と触れ合うことで、自らの音楽活動にもフィードバックさせられていると喜ぶ、清塚さんでした。
(岡戸孝宏)
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2018年07月27日16時32分~抜粋

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