丹野みどりのよりどりっ!

名刺が「紙」ではなく「刺」である理由

今年の4月から社会人として働き始めたAさんは、入社後の研修で、名刺交換の仕方を学ぶ機会があったそうです。

その時、Aさんはふと「名刺にはなんで"刺"という漢字が使われているのだろう?」と疑問に思いました。
名刺は紙でできているのだから、"名紙"でもいいのでは?
ということで、今回は「名刺」についてのキニナルを調査しました。

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今回の回答者

「名刺はなぜ、『紙』ではなく『刺』なの?」というキニナルについて、株式会社山櫻の岡田さんにお答えいただきました。

株式会社山櫻は、今年で創業87年になる名刺や封筒などを扱う紙製品メーカー。
現在は、名刺や封筒の製造・販売はもちろん、印刷に欠かせないプリンターや、ウェブ上で名刺の受発注を行えるシステムなども取り扱っています。

名刺が「刺」である理由

早速本題である、「名刺はなぜ、『紙』ではなく『刺』なの?」という疑問にお答えいただきました。
 
岡田さん「2200年前の中国で、訪問相手が不在のときに竹の札に自分の名前や情報を書いて玄関等に刺していたものを、『刺』あるいは『名刺』と呼んだことが起源だとされています。
また『刺』という漢字の右側は『りっとう』とよばれており、『りっとう』には『傷つける』という意味があります。また、漢字の左側は先のとがった兵器を表しており、文字全体として『つきさす』ということを表しています」
 
自分の名前を書いた竹の札を訪問先に刺しておいたから、「名刺」。
名刺のそもそもの起源に、「刺」という漢字になった理由が隠されていたわけですね。

日本における名刺文化の起源

では、いつから日本でも名刺の文化が広まっていったのか。この疑問も聞いてみました。
 
岡田さん「日本で「名刺」が使われるようになったのは、19世紀初頭だとされています。中国と同様、訪問相手が不在の際に、名前だけを書き記し、置いて帰るという使い方がされていました。当時は、竹ではなく和紙に名前を書いていたようです。
そして明治時代になると、木版印刷した名刺が使われるようになりました。また明治に入って、外国の方が多く日本を訪れたこともあり、外国の方との名刺のやり取りが盛んにされるようになったことで、名刺文化が定着しました」

和紙を使っていたというのが、とても日本らしい。
もし日本が開国せずに外国の文化や人に触れていなかったら、今でも和紙に名前を書いた名刺が残っていたのかもしれませんね。

世界での名刺文化

日本では、特にビジネスの場面で使われます。初対面の人と会う際には、お互いが名刺を出し、交換するのが一般的です。では、海外ではどうなのでしょうか?

岡田さん「海外での名刺の使い方は日本とは少し異なっています。日本では初対面の方に会った際に名刺を渡しますが、海外では初対面はまず握手を交わすことが多いです。話をしていく中で、今後付き合っていきたいと思ったり、相手の連絡先を知りたくなった時にはじめて名刺を渡すのが一般的のようです」

日本での名刺の使用量は、世界的に見ても多いとされています。初対面の人に必ず渡すという文化があるからこそ、日本ではたくさんの名刺が使われている。納得ですね。
逆に海外では、名刺がもらえるかどうかが、ビジネスにおける第一関門だと言えそうです。

名刺の専門家が薦める、名刺の渡し方

仕事で名刺を交換する機会は非常に多いと思います。名刺を交換する際の注意点も聞いてみました。

岡田さん「汚れた名刺を渡さない、お相手の名刺は丁寧に扱うなど、基本的なマナーはもちろん気をつけたほうがいいですが、ぜひ注目していただきたいのが、お相手の名刺に書かれた情報やデザイン、名刺用紙です。
ご本人の肩書きやお名前とともに、企業で取り組まれている活動のマークが入っていたり、環境にやさしい紙を使っていたりすると、お相手とともに、その方がどのような会社に勤めているのかが垣間見えます。

また、個性的な用紙や色づかい、デザインの名刺をいただいた際には、
『こういった紙のお名刺は今までいただいたことがございません』
『素敵なデザインのお名刺ですね』
などの一言を添えると、そこから一気に会話が弾むこともあります。

名刺交換は小さな紙のやり取りですが、その紙の中には意外にもたくさんの情報が詰まっています。これから名刺交換をされる際は、ぜひそんなところも見ていただければと思います」

名刺のデザインや用紙を話のきっかけにできれば、商談にもスムーズに入れるかもしれませんね。自分の名刺になにが書かれているのか、どんなデザインなのか改めてじっくりと見てみると面白いかもしれません。
(編集部)
丹野みどりのよりどりっ!
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2018年07月17日16時33分~抜粋

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