丹野みどりのよりどりっ!

DNAと指紋、双子でも異なるのはどっち?

昨年携帯電話を買い換えたリスナーのAさんは、新しい携帯電話に指紋認証の機能がついていることに驚いたそうです。
そしてふと、こんなことを考えたそうです。

「指紋の形って変化することはないの?」

「手相は変わる」という話はありますが、指紋は果たして…
ということで、7/10の『丹野みどりのよりどりっ!』では「指紋」についてのキニナルを調査しました。

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今回の回答者

「指紋の形って変化することはないの?」というキニナルについて、法科学鑑定研究所株式会社の櫻井さんにお話を伺いました。

法科学鑑定研究所は、刑事事案や民事事案で必要とされる科学鑑定を取り扱う民間の総合鑑定専門機関で、「民間科捜研」とも呼ばれている会社です。
DNA鑑定や指紋鑑定、筆跡鑑定なども扱っている一方で、映画やTVドラマ、小説などの監修も行っています。

指紋って、変化することはないの?

早速本題の「指紋って、変化することはないの?」という疑問にお答えいただきました。
 
櫻井さん「生まれてから死ぬまで、絶対に変わることはありません。お母さんのおなかの中にいるときから、指紋は既に決まっています。指紋の形はそのままに、成長するにともなって指紋の幅が広がっていくイメージです。
ある学者が、自身のこどもで成長の過程と指紋の変化を研究したところ、指紋の形自体は変化せず、幅が大きくなっていることが実証されました」
 
おなかの中にいる時から、指紋の形が決まっているというのは驚きですね。こどもの成長とともに、指紋の幅の変化を観察していくのも面白いかもしれません。

全く同じ指紋の人は、存在しないの?

刑事ドラマでは現場から指紋が出てくると、犯人を特定する決定的証拠として扱われます。
そこで疑問となるのは、「全く同じ指紋を持っている人はいないのか?」という点。
 
櫻井さん「全く同じ指紋の人が地球上に存在することはありません。DNAの場合は、双子だとほぼ一致することがあるが、指紋の場合は双子であっても指紋は異なります。だからこそ依然として、指紋による鑑定は決定的な証拠となるのです」

DNAがほぼ一致しても、指紋だけは異なるということなら、指紋が証拠として最も大きなものになるわけですね。

指紋が残る仕組み

そもそもどうして、指紋は「残る」のか。
このメカニズムについてもお話しいただきました。

櫻井さん「まず、手のひらと足の裏は、人間の身体の中で唯一毛が生えていない部分です。毛が生えていない分、その人の油成分が残りやすく、結果として手の指紋として残るという仕組みです。
人間が成長していく過程で、手を使うようになり、ものをつかみやすくするためには摩擦力がいるので、油成分が残るような仕組みになったのではないかと考えられています。」

付着した指紋はどのくらいの期間残るのでしょうか?

櫻井さん「指紋が付着した素材にもよりますが、もって半年くらいです。紙だと10年ほど残る場合もあります。しかし、他の物質と一緒に指紋が残った場合には、長期間残るケースもあります。
例えば、有名な画家であるピカソやダヴィンチの指紋は、絵の裏側に絵の具などと一緒に付着したことで現在でも残っています。」

偉人の指紋も、条件が合えば残っているということで、何だか歴史好きの人にはロマンのある話かもしれません。

指紋の悪用

指紋認証などセキュリティの手段として広く使われるようになってきましたが、悪用されないかが心配。ということでこんな質問もしてみました。

丹野「指紋自体を悪用されるようなことはないのですか?」

櫻井さん「指紋をコピーして悪用されたケースは実際にあります。そもそも、調査や鑑定での指紋判別と、スマートフォンをはじめとしたコンピュータによる指紋判別には、大学生と小学生ぐらいの差があります。
スマートフォンなどで採用されている指紋認識は、指紋全体の情報のうち、ほんの一部しか扱っていません。これは、セキュリティとスムーズな使用を両立するためにこういった仕様になっています」

少し前に「カメラに向かってピースした写真から指紋が流出する」というニュースが話題になったことがありました。現代社会では指紋が非常に重用されています。自分の指紋と一度見つめ合ってみるのもいいかもしれませんね。
(編集部)
丹野みどりのよりどりっ!
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2018年07月10日16時33分~抜粋

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