丹野みどりのよりどりっ!

おそろしい催眠負債。眠りが足りない人には「心当たり」がある!?

5月30日の『丹野みどりのよりどりっ!』「大人のクリニック」では、「睡眠」を取り上げました。

最近「睡眠負債」という言葉をよく聞きますが、どういう意味でしょう。また、不眠治療と薬の問題、眠りにつく前にはどうしたらいいか、などについて。

丹野みどりが眠りの専門家である名古屋市立大学病院 睡眠医療センター長の中山明峰先生に伺いました。

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睡眠負債は借金と同じ?

まず、「睡眠負債」とはどういうものでしょうか。

中山先生「負債の言葉の通り、借金と同じです。例えば、私のお財布にはお金が足りない、で済む話ではなくて、足りない部分は借金しているんですという自覚を持ってくださいということです」

丹野「その日足りなかったで終わり、ではなく、雪だるま式に借金がたまっていく。
そういう睡眠負債がたまっていくと身体にどういう負荷がかかっていきますか」

中山先生「最大に問題になっているのは、年配の方々には認知機能を悪くさせていく。こどもたちには学習機能を落としていくということがわかってきました」

「寝だめ」はだめよ

また、よく「寝だめ」という言葉を使いますね。「土日に寝だめするから大丈夫」とか。

実は「寝だめ」は間違っていて、ためることはできないそう。土日にたくさん寝たら次の一週間が元気になるというのは大きな間違い。
どうして土日にたくさん寝るかというと、あなたの身体が借金しているからだそう。借金の解消をしているのです。

丹野「そう考えると認識が、がらっと変わりますね」

中山先生「借金返済ですから、借金している方はそれを返済してください。大事なことは、もし借金を返済し終えたら、今度は借金を作らない生活をしてくださいということです」

寝ても疲れがとれない人

「もうひとつは寝ても疲れがとれないという人がいます。これは深刻な問題です」と中山先生。

こういう人は睡眠時間の借金がかなり膨大な額になっています。
6時間睡眠で寝だめしないといけない方は、7時間睡眠に延ばすこと。
毎日延ばすことで、借金返済していって、やがて土日に眠くない体を作ることが大事だそうです。

薬よりまずは生活を見直す

不眠の治療はどのように行われるのでしょう?

中山先生「不眠治療で、私たちが注意を促していることがあります。眠れないからすぐ薬を使うということは好ましいことではないです。睡眠障害があった時、まず大事なことは診断」

中山先生が眠気の強い学生さんに必ず尋ねることは、「心当たり」があるかということ。
心当たりがあり、眠気もあって寝られないならそれは正常です。
しかしその原因さえ聞かず、すぐに投薬することは危険と警告する中山先生。

中山先生「睡眠不足の最大の原因は、昼間動いてないとか、昼間変な寝方をしているとかです。年配の方が夕方に寝る。すると深夜1時2時になっても眠れない。ところが先生のところへ行って『深夜1時2時になっても眠れないから薬をください』。この悪循環がいつまで経っても変わらないです」

丹野「まずは原因究明ですね」

中山先生「これは医療者にも要求されていることです。すぐに薬物にいくのではなくて、昼間の生活のパターン、月曜から日曜までどのような時間帯に寝ているか。何回くらい目が覚めるか。それを見てから必要ならば2回目の診察から薬を出すようにしています」

どこから睡眠障害か

中山先生「もう一つ大事なのは、どの段階から『睡眠障害』と呼ぶかです。5時間寝て、それで済む方もいます。何も困らなければ障害とは呼ばないです。
ところが5時間寝て、翌日眠気がとれなければ、それは睡眠時間を増やせばいい。安易に薬をスタートするのはいいことではないです」

丹野「まずはどういう生活を送っているかが大事ですね。安易に薬を始めるのではなくて、行動改善をアドバイスしていくというところですね」

眠りやすい習慣は?

眠れない時、これをすれば眠りやすくなる、というものはあるんでしょうか?

中山先生「日本の生活習慣の中で睡眠を邪魔するものがあります。日本の家は蛍光灯が多いです。レストランとかは必ず間接照明とかろうそくとかダウンライトです。ああいう光は心をやすらぎに誘ってくれる光です。蛍光灯は攻撃的な光です。できたら夕方になったら、家の光を変えてみる。さぁ、眠りに入るぞという儀式を作ることが大事です」

丹野「私、最近安眠なんです。なぜかと思ったら、布団を毎日干しています。ふかふかの布団をかけるとその瞬間にふっと寝られます」

中山先生「素晴らしいです。布団を干して、気持ちのいい眠りに入るんだ、という心づもりがあるからです。それがすごく大事です」

そして中山先生は、避けてもらいたいことが二つあると言います。

ひとつは寝酒。これを儀式に使わないこと。寝酒は睡眠の妨害をします。
もうひとつ、絶対にやってはならないのは、スマホの光を目に入れる、テレビを見ながら寝る。これらも睡眠の質を下げます。

丹野「いい儀式と睡眠の質を下げる儀式があるわけですね。お話、ありがとうございました」

寝る前のスマホは禁物

インタビューの後、丹野は「私の場合は、スマホを見ながら、干したお布団をかけてふぁ~と寝るんです」と、照れながら白状しました。

リスナーからも睡眠前の儀式についてメールが届きました。

「私も寝る前にスマホを見てしまい。翌日頭がぼーっとします。ちなみに高3の娘、スマホの見すぎで眼精疲労になりました」(Aさん)

「私はラジオが流れていないと眠れないんです。中学時代、深夜放送に目覚めて以来、40年間ずっとラジオつけっぱです。夜中に目が覚めたときにも淋しくないです」(Bさん)

「寝る前についスマホを見てしまう」というのは、まさに中山先生の言うところの「心当たり」かもしれません。ご注意を。
(みず)
丹野みどりのよりどりっ!
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2018年05月30日16時32分~抜粋

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