丹野みどりのよりどりっ!

塩分さえ控えれば、カレーは万能食になる

今や「国民食」とまで呼ばれるカレー。
しかし、カレーにはいわゆる和食が持っていない様々な特長があるため、なんとなく「身体によい」と思いつつも、具体的にどんな栄養成分が含まれているか、案外知られていないようです。

今回はカレーの栄養について、愛知学院大学心身科学部健康栄養学科客員教授の大澤俊彦先生に伺いました。
先生は農学博士で様々な病気の予防や健康の増進に効果がある食品、機能性食品について長年研究されています。聞き手は丹野みどりです。

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スパイスが足りない日本食

大澤先生「日本料理はとてもいいですが、使うハーブ・スパイスはとても少ないです。わさび、山椒…、ほとんどの味は塩、砂糖です。もっとハーブ・スパイスを使えば塩分を使わなくてすみます」

大澤先生のグループは"クルクミン"というインド料理の大事な色素に注目し、30年近く研究しているそうです。

例えばタンドリーチキンと焼き鳥で塩分を調べたところ、焼き鳥はタンドリーチキンの4倍近く塩分を含んでいたそう。タンドリーチキンにも辛みはありますが、ターメリックが使われていて、スパイスが効いています。
塩分を抑えてスパイスを使う食生活も大切という大澤先生。

カレーの黄色の成分が大事

丹野「カレーに入っている中で一番いい成分は何でしょうか」

大澤先生「いろいろありますが、ターメリック。味はあまりないですが、カレーの黄色い色をつけます」

実はこのターメリックに非常に重要な栄養素が含まれているのだそうです。

大澤先生の研究によれば、ネズミに与えたターメリックがみるみる無色になっていったそうです。これはクルクミンという黄色い色素がテトラヒドロクルクミンという物質に変わった証で、世界初の発見だったとのこと。
このテトラヒドロクルクミンは強力な抗酸化物質です。

もともとクルクミンには肝機能を守る効果があると言われていましたが、その背景にテトラヒドロクルクミンの抗酸化性が重要な役割を果たしているのでは?と研究したのが25年ほど前のこと。

丹野「ターメリックとクルクミンの関係は?」

大澤先生「ターメリックはスパイスの名前です。ウコンという芋みたいなものを乾燥して粉末にしたものがターメリックです。クルクミンはその中の黄色い色素です。
それが身体に大事で、ポリフェノールだろうと注目して抗酸化性物質に身体の中で変わっていくという研究を進めました」

基本的には食事で摂る

カレーの色を付けているターメリック、具体的にどんないい点があるのでしょうか。

大澤先生によると、血管で抗酸化性を示すことで動脈硬化を抑える効果があるとのこと。また最近では神経細胞に働き、脳の酸化側に傾く変化を抑える効果に注目が集まっているようです。

「魚もカレーと一緒に調理したりすれば、脳機能の活性化にいいのではないかと考えています。
基本的には食生活を中心に天然の素材で摂っておいて、それでもなおかつ足らないのを、サプリメントや飲料も消費者の自分の意志で摂っていただく」

確かに「ウコン」を使った市販のドリンクやサプリメントなど数多く販売されていますね。

大澤先生「基本的には食事が一番大事です。カレーでもいろいろな種類の野菜を入れれば、必要な食品群をほとんどカレーで摂ることができます。そういうメニューを考えることが基本的なことだと思います」

食卓にも人生にもスパイスを

まさに万能食なカレー。
その作り方ですが、気をつけるべき点があるという大澤先生。

大澤先生「日本のカレー料理は塩分を入れる場合がありますが、スパイスの組み合わせのおいしさを利用して、なるべく塩分を避ける。『日本食は世界で最高だ、ただし塩分をのぞいて』に行きつくと思います」

前回のコーナーでも紹介しましたが、魚、大豆、野菜を使う日本食は理想的だが塩分が多すぎる、ということがアメリカの『マクガバンレポート』(1997年)に書かれていたそうです。

丹野「『そして時々スパイスを』ですね。これ、人生に通じますね」
大澤先生「活性化のために必要ですね」

最後は人生について語る「大人の会話」になったようです。

今日はカレー!

リスナーからのリアクションを紹介します。

「丹野さん、自分が情けないです。カレーライスのカレーだったのですね、なぜか“加齢”だと思い込んでいました」(Aさん)

丹野「加齢も『大人のクリニック』のテーマになりがちですからね。今回はカレーライスのことでした」

「ラジオあるある」ですね。最近は「就活」と「終活」も間違われがちです。

「カレーの栄養って想像以上にあることを知りました。たまたま今日の晩御飯がカレーライスです。最低でも2日、3日続くと思いますが…。底知れない栄養とカレーライスを作ってくれた嫁さんに感謝しながら、いただきたいです」(Bさん)

「そういえば、私のかあちゃんのカレーは塩辛かったです。スパイスが切れた時、代わりに塩を入れていたと言っていました」(Cさん)

丹野は「今回のお話は、減塩効果でカレーを使ってくださいねというお話でしたね」と念を押しました。
もともとカレールウやスパイス自体に含まれた辛みを生かし、塩分を控えながらヘルシーなカレーレシピをお試しください。
(みず)

※4月のCBCラジオ『丹野みどりのよりどりっ!』水曜日の「大人のクリニック」では、様々な食べ物の栄養について取り上げています。
丹野みどりのよりどりっ!
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2018年04月25日16時30分~抜粋

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