丹野みどりのよりどりっ!

色鉛筆に円形が多い理由

色鉛筆で絵を描くことが好きだというリスナーからこんなおたよりが寄せられました。

「普通の鉛筆って6角形のものが多いなという印象なんですが、色鉛筆って円形のものが多いですよね。何か理由があるのでしょうか?」

今回の『丹野みどりのよりどりっ!』では「色鉛筆に円形が多いのはなぜ?」というキニナルを解決すべく、三菱鉛筆株式会社の小笠原さんに丹野みどりがお話を伺いました。

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色鉛筆が円形の理由

色鉛筆のお話を伺う前に、一般的な鉛筆は確かに6角形のものが多いなという印象ですが、何か意味があるのでしょうか?
 
小笠原さん「転がらないためと、持ちやすいためと言われています。鉛筆を握った場合、親指、人差し指、中指の3面で押さえるので、3の倍数である必要があります」
 
丹野「持ちやすくするためということですね。それではなぜ、色鉛筆は円形のものが多いのでしょうか?」
 
小笠原さん「諸説ありますが、色鉛筆は文字を書くだけでなく、色付けの用途にも使われるため、いろいろな持ち方に対応できるように多角形よりも、指あたりが良い丸軸になっています。
また、色鉛筆は墨芯に比べて芯がやわらかく、均等に力が加わらないと折れやすいなどの現象が起こるために、丸軸が適当ということも言われることがあります。これは、多角形だと芯までの距離が長い面と短い面ができ、芯にかかる力のバランスが変わりますが、丸軸だとどの面からも距離が等しくなるためです」
 
ただし、色鉛筆の芯が改良されてきたことで、六角形の色鉛筆もあり、外国製のものでは日本製品よりも比較的六角軸の色鉛筆が多くなっていて、三菱鉛筆さんの『ユニ ウォーターカラー』という水彩色鉛筆は、六角軸を使用しているそうです。

鉛筆と色鉛筆の違い

小笠原さんのお話の中で「色鉛筆のほうが鉛筆に比べて芯が柔らかい」というお話がありました。そもそも鉛筆と色鉛筆はどこがどう違うのでしょうか?小笠原さんに伺いました。
 
小笠原さん「鉛筆と色鉛筆の大きな違いとしては、芯の原料、作り方が大きく違います。鉛筆の芯は黒鉛と粘土を混ぜて焼き固めますが、色鉛筆の芯は、色を出す『顔料』と、書き味をよくするタルクを、ロウやのりといった材料で固めています」
 
丹野「鉛筆は黒ですが、色鉛筆はそこに顔料を混ぜるだけなのかなと思っていたのですが、全然固め方から何から違うんですね」
 
小笠原さん「そうですね。このようにそもそも、鉛筆の芯と色鉛筆の芯は、成分が全く異なります。そして、鉛筆の芯は黒鉛と粘土を高温で焼き固めるので、いわば焼き物のようなイメージです。一方で色鉛筆の芯は焼いてしまうと全て墨になり真っ黒になってしまうという理由から、ロウやのりで固めて作りますので、鉛筆の芯と比べて柔らかい芯になっています」
 
丹野「色鉛筆で書いた字って消しゴムで消しにくいと思うんですが、それも鉛筆と成分が違うからですか?」
 
小笠原さん「鉛筆の場合は、書いた時に芯の粉が紙の上に乗った状態になりますので、消しゴムで消すときに粉が消しゴムにつき、取り去ることができます。一方で、色鉛筆の場合は、色鉛筆の芯を固めているロウやのりが、書いた時の摩擦で溶けて、それが紙の繊維にくっついて、固まります。そのため、消しゴムで消そうとしてもなかなか消すことができません」
 
ちなみに三菱鉛筆では、特殊なロウを使った『ユニ アーテレーズカラー』という、消しゴムで消せるタイプの色鉛筆もラインアップしているそうですよ。
最近では、さまざまな種類の色鉛筆が開発されているようです。
(ふで)
丹野みどりのよりどりっ!
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2018年04月24日16時39分~抜粋

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