丹野みどりのよりどりっ!

痛む場所がころころ変わる厄介な病気・口腔顔面痛

3月21日『丹野みどりのよりどりっ!』大人のクリニックのコーナーでは、名古屋市北区にある「きむらクリニック」院長 木村智政先生に「痛み」について伺いました。

先生のクリニックを訪れる患者さんの中でも多いという帯状疱疹後の神経痛、そしてストレスからくる口腔顔面痛とは?
いろんな「痛み」があるものです。

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帯状疱疹後神経痛とは?


「帯状疱疹はこどもの時にかかった水疱瘡のウイルスが、疲れやストレスで身体の免疫が低下した時に再び暴れ出して、神経を通って皮膚に水ぶくれができる病気です」

帯状疱疹の場合は発疹だけですが、時間を経って激しい痛みを伴う神経痛を合併することが多いそうです。ビリビリ刺すような痛みが特徴で、発疹が治っても半年から数年以上、痛みが続くことがあるそうです。

「これは帯状疱疹後神経痛と呼ばれる後遺症のひとつです。だいたい帯状疱疹の2割ぐらいの方に起こると言われてます」

脊髄に潜む水疱瘡のウイルス


「帯状疱疹の原因は水疱瘡のウイルスということがわかっています。水疱瘡が治った後も、水疱瘡のウイルスが身体の奥深くの”神経節”というところに遺伝子の形で潜んでいるんです」

つまり、水疱瘡にかかったことがある人は誰でも帯状疱疹を発症する可能性があるということです。
このウィルスは加齢現象あるいは疲労、病気などで免疫が低下した時に、再び活性化して暴れ出します。これが痛みを伴う発疹となって現れたのが帯状疱疹です。

「高齢者や体力が落ちている人は、皮膚症状が激しく、痛みの後遺症である帯状疱疹後神経痛が起こりやすいと言われています」

帯状疱疹の対策


この帯状疱疹、予防方法はあるのでしょうか?

「大人になってからの水疱瘡ワクチンが免疫を高めるのに役立つと言われています。現在、大人のワクチン接種は、残念ながら全額自己負担となっています。費用の目安は、およそ1万円程度で、効果は10年程度続くと言われてます」

実際になってしまった場合の治療はどのように行われるのでしょう。

「帯状疱疹は、非常に身体が疲労している時に発症するので、まず身体を休めることが大切です。それからウイルスを抑える特効薬を使います」

最近は1日1回の内服で効果を示す副作用の少ない新薬が出ているそうです。
さらに、痛みを長引かせないために、痛みの神経の伝達を抑えるてんかんの薬、あるいは神経痛を和らげるうつ病の薬、この2種類のどちらかを神経痛の治療として併用することが多いということです。

帯状疱疹後の慢性痛にならないためにも、そもそもの帯状疱疹の治療を早めにしなければいけません。
「できるだけ早く治療始めることが一番大切です」と木村先生。

原因不明の口腔顔面痛


木村先生が診察された中で、どんな痛みを伴う病気が多いのでしょうか?

「最近、多いのは口腔顔面痛という病気です。これは歯や舌など、口の中のいろいろな痛み、それから顔や顎、こういった痛み全般を指します」

この病気は原因不明だそうです。特に多いのは、だいたい30代から50代の女性。

「歯の治療、あるいはストレスによって痛みが誘発されると言われています。心理的なストレスが引き金となって、脳の中で”変調”という現象が起きて、口や顔面の痛みが起こると言われているんです」

不思議な痛み


具体的にはどんな痛みなんでしょうか?

「特徴としては口の中がヒリヒリした痛み、灼熱感です。それから痛み自体は非常に変動しますし、部位も変動します」

昨日は歯茎の奥が痛かったけど、今日は違う場所が痛む、という厄介な症状です。

「不思議な痛みなんですが、例えば、ご飯を食べる時には痛みはないんです。自分が好きなことをしてる時も痛みはなくなります。逆に痛みのことを考え出しますと、どんどん痛みが増幅されて悪循環が生じます」

不思議な痛みの対処法は?


「大事なことは痛みを考える時間、これをできるだけ減らすのが大切です」

まるで禅の修行のようです。脳の中のことなので、なかなか意識的にコントロールはできません。そのため、治療は脳内の働きを正常化させるうつ病の薬を処方することが多いそうです。

「心理的なサポートも大切になってきます。一番大事なのはの治療のゴール。ゴールは痛みの消失ではなくて、痛みが苦にならない生活に、徐々に戻していくことなんです。大変時間がかかりますけども、気長に病気と付き合っていくことが大切です」

よくわからない痛みが出て調子が悪い。そんな時、自分がそういう病気だとわかれば治療も可能です。

「ご自身で診断をつけることはなかなか難しいので、専門医を受診することが大事ですね」
(尾関)
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