劇場などで使われる「こけら落とし」ってどういう意味?

丹野みどりのよりどりっ! / カルチャー

名古屋市伏見の老舗劇場・御園座がいよいよ新装開場し、4月にはこけら落とし公演が行われます。
この「こけら落とし」という言葉、どういう意味なのでしょうか?そもそも「こけら」とは?

3/20の「これってキニナル」では、「こけら落とし」について取り上げました。

お話を伺ったのは明治大学国際日本学部の田中先生です。
田中先生は日本語の歴史の研究をしており、古典から現代までの文献をたどって、日本語がどのように移り変わってきたかを研究しています。
以前「頭取」に関するキニナルでもご出演いただきました。聞き手は丹野みどりです。

こけらとは?


田中先生によると「こけら」とは、材木を削った時に出る"削りくず"のことだそうです。



昔は、表面を覆っているものを削ぎ落とすことを「こく」と言い、薄く削ぎ落とされた木のくずを「こけら」と言いました。現在は「こけら落とし」「こけら葺き」など、ある言葉の一部としてだけ生き残っているそうです。

普段は「こけら落とし」といった言葉でしか聞く機会のない言葉ですが、そもそも「こけら」とは木のくずのことだったんですね。

こけら落とし公演の由来


新しく出来た劇場などで最初に行われる公演を「こけら落とし公演」といいますが、これも「こけら」という言葉が関係しているのでしょうか?

田中先生「新しい劇場を建築した時に、最後に手を入れた屋根などの『こけら』を払い落としてから、公演を始めたことが言葉の由来です。『こけら落とし』という言葉は、昭和初期から文献に用例が確認できますから、演劇界ではそれより前、例えば明治・大正期ごろには使われ始めていたのではないかと思います。最近では、2013年に新しくなった東京銀座の歌舞伎座の『こけら落とし公演』が話題になりました」



丹野「地元名古屋で言いますと、御園座が4月にオープンするということで、こちらも『こけら落とし』となるわけですね」

しかし「こけら落とし」という言葉は、歌舞伎に限らず、野球場など今やさまざまな場所で使われています。これは誤用ではないのでしょうか?田中先生に伺いました。

田中先生「もともとは演劇界で生まれて使われてきた言葉と、その風習ですが、劇場以外でも新築したり改築したりすれば"こけら"は出るので、その建物を使って初めて行う公演を、『こけら落とし』というのはよくわかります」

丹野「それが木造建築ではなく鉄筋であっても、意味的に新しい建造物には木くずができているという発想なんですね」

田中先生「ですから、他の分野で使っても誤用とは言えないと思います。実際にスタジアムやイベントホールなどで『こけら落とし試合』『こけら落としコンサート』などと使われることがあります」

今回は『こけら落とし』について詳しく教えていただきました。

ちなみに「こけら」には漢字もあります。



一見果物の「柿」という字に似ていますが、旁の部分は微妙に異なっています。注意してくださいね。
(ふで)
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2018年03月20日16時38分~抜粋

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