丹野みどりのよりどりっ!

なぜ点字ブロックは黄色なのか?

いつも電車を使って通学している高校生のリスナーさんから、「なぜ点字ブロックは黄色なのか」というおたよりが寄せられました。
なんでも、電車を待っている時に「黄色い線の内側でお待ちください」というアナウンスを毎日聞いていて、ふと疑問に思ったそうですが、確かになぜ点字ブロックは黄色なのでしょうか?

そこで3/13の「これってキニナル」は、「点字ブロックが黄色の理由」を調査しました。お話は、成蹊大学理工学部の大倉先生に伺いました。聞き手は丹野みどりです。

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点字ブロックが黄色の理由


大倉先生は、視覚情報の得にくい歩行の特性や、視覚障がい者の安全移動支援にかかわる研究を行っていて、これまでの成果には、視覚障がい者用道路横断帯の実用化をしたり、駅ホームからの転落事例データベースの公開をしたりしていらっしゃいます。

早速、点字ブロックが黄色の理由を伺いました。

大倉先生「最初の点字ブロックは1965年に、岡山市で自営業を営む三宅精一と、社会福祉施設である日本ライトハウス理事長の岩橋英行らによって開発されました。この『点字ブロック』というのは固有名詞で、一般名詞では『視覚障害者誘導用ブロック』と言います」

当時のブロックには着色がなく、コンクリートの色そのもので、点状突起がありました。ほとんど目の見えない人が使うことを想定しており、色は関係ないだろうという考えだったそうです。

丹野「最初はコンクリート色で突起だけ出ていたという訳ですね。それがなぜ黄色になったのでしょうか?」

大倉先生「それは、ロービジョン、つまり、行動する時に多少目の見える弱視の方にも使いやすいようにするためです。路面が暗い色なので、それとの対比を考えて明度の高い色として黄色を選定したと思われます」

点字ブロックが黄色なのは、ロービジョンの方も考えてのことだったわけですね。

ロービジョンとは?


それではロービジョンの方にとって、周りはどのように見えているのでしょうか?

大倉先生「千差万別ですね。目の前にすりガラスがあるような状態や、中心の狭い範囲のみ見える状態、逆に中心に暗点がある状態、周辺の一部のみ見える状態などです。さらに、黄色が明るい白っぽい色にみえるなど、色に対する感度もいろいろあります」

丹野「対象の方は全国にどのくらいいらっしゃるのでしょうか?」

大倉先生「厚生労働省の身体障害者実態調査によると、法定の視覚障がい者の方(18歳以上で在宅、身体障害者手帳を所持)は約31万人います。そのうち重度の視覚障害者の方は約19万人で、残り12万人がロービジョンの方です。手帳不所持者のなかにも見えにくい人は大勢いるはずで、日本眼科医会ではロービジョンの方は約145万人と推計しています」

点字ブロックの色について意味を知ると、そのおかげで大いに助かっている方が大勢いるはずだということに気づきますね。

海外の点字ブロック


点字ブロックは岡山で発明されたということですが、海外の点字ブロックはどうなのでしょうか?

大倉先生「日本製のものを輸入している国では日本と同じものが使われています。外国独自のものもありますが、おおむね点状のものと線状のものが多いと思います」

丹野「例えば、点字ブロックの記号が何を示すのか、ということは海外ではどのように統一されるのでしょうか?」

大倉先生「日本の場合、点は特定の位置を示し、横断歩道の前や駅のプラットフォームに敷かれることが多いです。一方、線状のものは、あるところからあるところまでの進路を表します。これらについては、ほぼ日本のものが国際基準になりつつあるので、海外でもそういう使い分けがされてくると思います」

日本で作られた点字ブロックや、その記号の意味まで、国際基準になっていくわけですね。その点字ブロックですが、いま日本全国でどのくらいあるのでしょうか?

大倉先生によれば、点字ブロックの正確な数は不明ですが、音響信号機のある交差点には必ずあるそうです。音響信号樹は29年3月現在で約2万機あります。点字ブロックは駅のホーム上にも敷設されているので、2万よりははるかに多い数になるそうです。

「不用意に点字ブロックの上を歩いたり、荷物を置いたりしないようにするのが、大切ですよね」と丹野。
点字ブロックの意味について理解することで、改めてその大切さを学ぶことができました。
(ふで)
丹野みどりのよりどりっ!
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2018年03月13日16時37分~抜粋

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