1月19日『丹野みどりのよりどりっ!』内の「大人のたしなみ講座」コーナーでは、今回から「民謡のたしなみ」と題し、あまり民謡を知らない方でもわかる特集を放送しました。
音楽のジャンルはJ-POPやクラシック、演歌など数々あれど、「民謡」については名前を聞いたことがあるだけで、曲はあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこでパーソナリティーの丹野みどりが、公益財団法人日本民謡協会理事の榎本秀水先生に、民謡の基礎の基礎について伺いました。
実は一番身近な歌!意外と知らない"民謡"の成り立ち
民謡はいつ、どこで生まれた?
そもそも、民謡の発祥はどのようなものだったのか、まずはそこから聞いてみましょう。
丹野「民謡は、いつ頃からどんなふうに生まれたのでしょうか?」
榎本先生「全国各地で自然発生的に生まれた曲が多いですから、正確にいつ頃、歌がまとまったどうかは調べる手立てがないですね」
昔話のように口伝えで伝わったものだと、いつとはわからないということですね。
榎本先生「はっきりしていることは、曲名など今の形にまとまり始めたのがいつ頃かはだいたいわかってきていまして、だいたい250~300年前の江戸中期の頃、民謡を含めた演芸のまとまりが始まっただろう、という研究結果になっています」
当時は歌のジャンルが今ほど細かく区切られておらず、「○○歌」や「○○節」とざっくり認識されていたそうです。
榎本先生「"民謡"というジャンルが正式に付いたのは昭和25年です。これは日本民謡協会が設立された年で、公的な文章の中に"民謡"という言葉が正式に記されました。その前に大正時代の頃から、民謡という言い方は実際はしておりました」
"民謡"というくくりは意外と最近のようです。
榎本先生「その前に研究者の間では、にんべんに里で「り」という字に「謡」で「りよう」と呼ばれており、田舎の歌だという言い方をされていたそうです」
文化の中心であった武士が嗜む謡曲などは、権力者に守られて地位を保っていましたが、農民や漁民が歌うのは音楽や文化ではないという発想の中で、田舎の歌だと扱われていたそうです。
民謡でもいろんなタイプがある
民謡という括りの中でも、さらに細かくジャンル分けされるようなことがあるのでしょうか。
榎本先生「いくつかの分け方はあります。発生の仕方、地域、音階やリズムの3つで分類されます」
発生の仕方で最も多いケースには、具体的にどんなものがあるのでしょうか。
榎本先生「発生の仕方で割合が大きいのは仕事関係の歌で、電力がない頃に人々が力を合わせて一つの仕事をしなけらばならない、かつ単調な仕事であるが故に、自分たちが楽に楽しくやりたいために、歌を編み出しました。多くの仕事に付随して、多くの民謡が生まれたということになります」
丹野「先程のお話で農民・漁民の歌だということから行きますと、仕事をしながら単調にならないようにというのは、納得ですね!」
民謡は歌い方に特徴がありますが、あらためて歌詞に着目してみると、当時の生活が垣間見えるかもしれませんね。
(岡本)
関連記事