1月12日の『丹野みどりの よりどりっ!』の「ニュースよりどりっ」では新しい年を迎え、いろいろ変わったものについての話題を取り上げました。
ひとつは野球のルール。目立ったところでは、敬遠とタイブレークが変わります。
もうひとつは『広辞苑』。新しく第七版が発行されました。これらについてCBC論説室の石塚元章特別解説委員に伺いました。
「敬遠」が敬遠される?
今年変わったところとしては、野球については、敬遠のルール変更とタイブレーク制の導入があります。
丹野「敬遠とは、ここで打たれたらまずいという時に、わざとフォアボールを投げてバッターを一塁に歩かせるというものですね」
石塚「真正面から勝負をしないということで敬遠といわれます」。
これまで日本ではわざとボールになる球を4回投げてフォアボールにしていました。
実はアメリカのメジャーリーグでは去年から守備側のチームの監督が「この選手敬遠」と申告したら、投手が球を一球も投げなくても、自動的に一塁にいけるというルールに変更しているそうです。
そこで、日本のプロ野球もこれを採用することになりました。大リーグでの、主な理由は時間の短縮。実際には、ほんの1分くらいだそうですが。
日本は国際的な流れに合わせた方がいいということで、大リーグでルールが変わると、少し遅れて日本で変わるというのが最近のパターンだそうです。
タイブレーク制とは?
丹野「そしてもうひとつが高校野球でのタイブレーク制の導入です。タイブレークとは、同点でなかなか試合が終わらない時に試合を早く終わらせるルールをあらかじめ決めよう、ということですね」
石塚「タイとは均衡がとれているということです。ブレークはそれを破るということ。つまり、勝負を無理やりつけようということです」
高校野球で、春の選抜では導入が決まっていましたが、夏の甲子園大会や地方大会でも実施することに決まりました。
具体的には、延長戦13回になったら、無死1塁と2塁でスタートする。勝負が早くつきそうな舞台設定をあらかじめ作るということです。
理由は球児は若いですから、試合が続いたときの体調の管理、それから日程の調整に余裕を持たせたいということのようです。
賛否両論!
ルール変更には反対の声もあるようです。
石塚「敬遠などはドラマが生まれましたね。新庄やクロマティみたいに無理やり打って、サヨナラで勝ったとか。長嶋選手はどうせ敬遠ならバットを持たないでいいじゃないかと、バットを持たずにバッターボックスに立ったとか」
高校野球ではタイブレークに対して、ギリギリまで勝負するのが野球の醍醐味だろうという人もいます。結果、決勝だけは15回延長まで行い、引き分けの場合は再試合ということが決まったようです。
『広辞苑』は世につれ
丹野「変わるといえば、日本の国語辞典の代名詞である『広辞苑』(岩波書店)が新しくなりましたね」
石塚「今日、広辞苑の第七版が発売になりました。初版は1955年ですから、もう60年がたっています。だいたい10年ごとに時代に合わせて中身が変わっているようです」
今回、新たに収録された項目が1万語くらい、全体で25万語くらいになっているそうです。
追加、変更になった語を調べてみました。
〇増えた語の例
・安全神話…根拠なく絶対に安全だと信じられていること
・ブラック企業…違法または劣悪な条件で従業員を酷使する企業
・がっつり…十二分にということを表す副詞。使用例:がっつり食べる
・ごち…ご馳走の略。使用例:ごちになる
前から載っているけど、解説が変わったもの、追加されたものもあります。
〇意味が追加されてものの例
・やばい…のめり込みそうな時。使用例:この曲はくせになりやばい
・気になる…興味をそそられる。使用例:クラスに気になる異性がいる
・盛る…大袈裟にする
広辞苑は改訂にあたって、10万語くらいを新しく掲載するかどうか検討したそうです。たとえば、ググる、ディスる、ほぼほぼ、などは相当検討したが見送られたそう。岩波書店によると、きちんと定着したことを見極めてから載せたいとのことです。
石塚は、今回の出版にあたっての出版社のコメントを引用しました。
「『言葉を獲得していくことで人は自由にもなります』…例えばDV、不登校、パワハラ、自分だけが苦しんでいると思ってきたことが、新しい言葉ができてそれを獲得することで、社会的普遍的な問題であることがわかる。人は言葉によって生きる勇気と誇りを手にすることができる。だから辞典はそういう意味でもいいんだ、ということです」と、石塚は力強く結びました。
(みず)
丹野みどりのよりどりっ!
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2018年01月12日16時17分~抜粋