さっそくいただく丹野みどり。
「私、あの、なますって甘酢漬けですから、酢の物のポジションなんですね。これは、ゴマ酢和えですけど、酢というのは前面に出てこずに、ゴマやいろんなお野菜の風味が出てきます」
一口食べれば、関先生がゴマにこだわっていた理由がよくわかります。
今は便利な世の中で、甘酢とか、すりゴマとか、いろんなものが売っています。
もちろん、そのようなものを手軽に使うのも良いのですが、何か1品外してもいいから、ゴマ酢だけには愛情を込めるように、と言っていたのは、このおいしさが待っているからだったのですね。
このゴマすり。関先生のお料理教室では、先生の許可が下りないと作れないとか。
「みんな見せに来るんですよ、すり鉢を持って。はいOKって言ったら、じゃあいいですかって」
この「七福なます」は、いわばゴマ酢がメイン。
そこをサボってしまうと、お料理の柱がわからなくなってしまいます。
お正月料理ですから、これくらい愛情を注ぐべきかもしれませんね。
そして、お正月ですから、「する」は縁起が悪いので、「あたる」と言うそうです。
「するめ」を「あたりめ」と言う、あれですね。
炒りゴマを炒ってから、
ゴリゴリゴリゴリとあたってください。
お正月料理なので、日持ちはある程度します。
ですが、大晦日に作り、三が日のうちに食べきるというのが良いのではないでしょうか、と関先生。
田作りなんかは、とても日持ちがしますから。
「ま、食べたら無くなるから、問題外ですけど」
すっかり先週の田作りがお気に入りの丹野みどりです。
さて、田作りも作って、なますも作ったら、お重に詰めたくなりますよね。
おせち料理ですから。
ところで、お重に詰めるとしたらどこに?
「お重があったら2番目のお重に詰めてください。田作りは、1番上のお重に」
やはりルールがあるようですが、どんな規則があるのでしょうか。
なんでも、4段重が普通で、春夏秋冬を一つのお重で表していたそうです。
1番上の一の重は、縁起の良い、春物的なものを詰めます。
ですから、田作りや数の子、昆布巻きなど、松竹梅系のものを入れます。
2番目が夏のイメージ。
なます系統のものや、菊花かぶなど、酸味系のものです。
3段重の場合、一番下のお重に、煮物や焼き物。色の濃い秋冬用のものを詰めます。
おせち料理の約束事は複雑で覚えにくいと思っていましたが、この説明はとてもよくわかります。
春夏秋冬をイメージするのは、覚えやすいですね。
そして、最近お重は9マスに仕切られたものが流行っています。
このように、日本料理は、奇数の品目ずつお料理を詰めるのが良いそうです。
3品はちょっと少ないので、5、7、9品目ほど、一段のお重に詰めていくと良いそうです。
物知りな関先生。
最後にそんな素敵なことまで教えてくださりありがとうございます。
これでみなさんも良い新年を迎えることができますね。
また来年もおいしいお料理でお会いしましょう。それでは、よいお年を!