木曜日の「オトナのいろどりっ!」は、関富子先生のお料理レシピ。
毎月のテーマに沿ったレシピを1品ずつご紹介いたします。
12月のテーマは「人が集まる!おもてなし料理!」。
今回は「田作り(たつくり)」です。
塊にしないフライパンの使い方
お正月料理には欠かせない、田作り。
ですが、「上手にできない」という声をよく聞くという関先生。
「カチンカチンになっちゃって離れないっていうね」
「家でフライパンで作っても、絡めた瞬間にガチッとホールドしてしまって、このオブジェは何?みたいな感じに」
丹野みどりも思い当たる節がある様子。
そして、リスナーからも「田作りは固まるものだと思っていた」というおたよりが何通も届く始末。
ですが、関先生の田作りは「そうじゃない」とのこと。
早速"そうならない"作り方を教えてもらいましょう。
用意する調理器具は、フライパンとお鍋。
この2つを使うことが、塊にならない、田作り作りの第一歩です。
それから、田作りを作るために、田作りを買ってきましょう。
田作り、というのはカタクチイワシの稚魚のこと。ゴマメとも言いますね。
売られている袋には、そのまま「田作り」と書かれていることも多いです。
1袋にはだいたい60~70g入っているので、今回はこれを使い切る分量でご紹介します。
ところで、このカタクチイワシの稚魚、どうして"田作り"と言うのでしょうか?
昔、たくさん獲れ過ぎてしまった時、田に撒いたら豊作になったことから、この魚を"田作り"と言おうか、となったそうです。
物知りな関先生のお話に、へぇー!へぇー!へぇー!と何かのボタンを押す丹野みどり。
五穀豊穣と縁起がよいので、お正月料理になっているのだとか。
そんな田作りをまずはフライパンで炒るのですが、直接フライパンの上に入れてはいけません。
「障子紙を敷くんですよ」
「え!先生、ない!障子紙なんてものはないです」
速攻で言葉を返す丹野みどり。和室のない家、増えていますからね。
それに、障子紙は良いお値段がするイメージ。最近では100均でも見かけますけれども。
障子紙がないと言われて困った関先生。
「わら半紙とか…」
「わら半紙もない」
間髪を入れずに打ち消す丹野みどり。
「でも、できたらね、そういうものがいいの」
関先生はそう返すのがやっとです。
困った末に出した妥協案は…
「どうしてもない時には、クックシートとか、デパートの包装紙の無地のほうを使うとか」
「要は紙ですね」
若干取り違えたような、身も蓋もないまとめ方をする丹野みどり。
とにかく、田作りをフライパンに直接入れることは控えます。
できれば障子紙、なければクッキングペーパーのような紙を敷いて、その上に田作りを入れて炒ります。
炒る火加減は、弱火も弱火。
手でかき混ぜて、空気を入れながら炒ります。
「絶対ヤケドしないから、大丈夫だから」
逆に言えば、火傷をするような火加減では強すぎるということですね。
だんだんだんだん感触的に、あ、何か水分が飛んでいって前よりもだんだん軽くなっていくわ、触っているとじわーっと熱くなってきたわ、というのがわかるようになってきます。
ここまで、時間にして10分ほど。
今年もおいしいの出来るかな、良いお正月が来るかなと思いながら、引っ付いている田作りを離してバラバラにしていきます。
「カタクチイワシさんをこねくり回すわけですね」
丹野みどり的まとめが冴え渡ります。
塊にしない鍋の使い方
10分フライパンでカタクチイワシを炒る間に、お鍋でタレを作ります。
水、砂糖、みりん、醤油を入れて、くっつくっつくっつくっつくっつくっつ煮詰めます。
カタクチイワシから味が出るので、出汁ではなく水で十分です。
醤油の色が濃くなって、つやが出てきたらいったん火を止めます。
カタクチイワシと混ぜる前に、タレのトロミが足りないと感じたらもう一度火をつけて煮直します。煮詰めすぎたら、お酒やお水で薄めます。
カタクチイワシが炒りあがったら、いよいよタレと絡めます。
しかし、このまま鍋のタレの中に投入してはいけません。粉っぽくなってしまいます。
いったんザルにカタクチイワシを入れて、振って粉を落とします。
それからタレと絡めると、一味も二味も変わります。
タレがうまく全体に絡んだら、器に盛って完成です。
つやつやになって、いろんな方向を向いているイワシちゃんたちに箸を入れる丹野みどり。
「ほろほろっと全部がほぐれますよ」
お箸がブスッと刺さることもなく、数尾まとめて掬い上げることができます。
口に運ぶと、
「何これ、固くない!」
コツは、ちょっとした気配り。
フライパンでパッパッと炒めて、お砂糖をダバッと入れて、お醤油もダバッといれて、チャッチャッチャッとやると、カチンカチンに固まってしまいます。
難しいことは特になくて、どれだけ愛おしく作れるかということなのですね。
どれだけでも食べられてしまうと、箸が止まらない丹野みどり。
田作りは、探せば年中売っているので、カルシウムが摂れる常備菜にぴったりです。
冷蔵庫で5日ほどは平気で日持ちするので、倍量や三倍量作るのもおススメです。
ところが…
「倍量作っても、すぐになくなって常備菜にならない気がする」
おいしく食べて、丈夫な身体を作りましょう、丹野さん。
材料とレシピ
【 材料 】
・田作り 60~70g
・A 水 1/3カップ
砂糖 40g
みりん 大さじ1
醤油 大さじ3
・七味唐辛子
・和紙(障子紙)
【 作り方 】
①フライパンに和紙を敷き、弱火で空気を入れながら気長に丁寧に炒める。くっ付いているものは、一つずつ離す。
②別のコンロに鍋を用意。Aの材料、水・砂糖・みりん・醤油を合わせトロミが付くまで煮詰める。醤油の色が濃くなり、つやが出てきたらいったん火を止める。
③炒ったカタクチイワシをザルにあけて、振って粉を落とし、タレと絡める。
④お好みで仕上げに七味唐辛子をふりかけても美味しい。
(榊原)
丹野みどりのよりどりっ!
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2017年12月21日16時36分~抜粋