木曜日の「オトナのいろどりっ!」は、関富子先生のお料理レシピ。
毎月のテーマに沿ったレシピを1品ずつご紹介いたします。
11月のテーマは「肩肘張らない!世界の料理」。
今回は、トルコ料理「ドルマ」です。
簡単に作れる世界の料理:ドルマ(トルコ)
日本の雰囲気を感じる
“ドルマ”と聞いてもピンとこない様子の丹野みどり。
どこの料理ですか?という丹野からの問いかけに、なぜか囁く関先生。
「トルコ」
驚く丹野を尻目に、トルコってやっぱしお料理おいしいじゃないですか、と関先生は続けます。
「世界三大料理とか、いろいろ言われていて、いろんなものがあって、トルコはとってもおいしいの」
さて、今回作る“ドルマ”というのは、関先生によると、“詰め物”という意味です。
日本の“ピーマンの肉詰め”の元祖のようなものが、“ピーマンのドルマ”。
ロールキャベツのように、詰め物をグルグルッと巻けば、“キャベツのドルマ”という具合です。
ですから、その“詰め物”さえ覚えておけば、料理のレパートリーが一気に広がるというわけです。
丹野と一緒に言いましょう、「勉強になります」
いろんなドルマがある中で、関先生が作ってきてくださったのは、ピーマンのドルマ。
「きれいでしょ、グリーンと赤がね」
ピーマンの緑と、トマトの赤が食欲をそそります。
早速作りましょう!
まず、ピーマンさんは、形がこもっとした丸っぽいのを選びます。
「なんかシュッと細長いのもありますけど、中にいっぱい詰められそうだわ、という形のものを買うわけですね」と主婦・丹野みどり。
ピーマンを買ってきたら、魔法の呪文と一手間をかけます。
「ピーマンの皮にね、爪楊枝でね、おいしくなーれ、おいしくなーれって、プチーップチーップチーップチーッって穴を空けるわけ」
こうすることで、皮から味が染み込みやすくなります。
そしたら、ピーマンのヘタの部分に、ペティナイフをグルッと入れて、ヘタと中の種を取り出します。
手を丸めてポンポンとお手本の音を出す関先生。
しかし、面倒だったら、スポッと上の部分を切り落として、ヘタと種を出しても大丈夫。
見てくれがきれいになるよって感じだけですから。
メインの詰め物を作ります。
ここもやっぱり牛の挽肉。あるいは合挽きのどちらかを使います。
タマネギのみじん切り、塩胡椒、パセリのみじん切り、あればちょっとミントを入れます。
ミントはなくてもいいのですが、スッとした感じがたまりません。
そして、ここに、ごはんが入ります。
「お米じゃなくて?」
丹野みどりの疑問ももっともですが、炊き上がったご飯です。
炊き立てでも、冷蔵庫に入っているものでも、冷凍庫のご飯をチンしても何でもいいのですが、とにかくご飯を入れます。
これらをすべて混ぜたものを、ピーマンに詰めます。
「斬新」
感嘆の声を上げる丹野みどり。
食材に特別なものはありません。スーパーで簡単に手に入るものばかり。
米なんて、日本人なら誰もがお世話になるような食材です。
しかし、それを肉と混ぜてピーマンに詰めるという発想は、日本人にはありませんでした。
世界の料理、知れば知るほど奥が深いです。
立って並んで
ピーマンに具材を詰めたら、ざくざくざくと切ったトマトを蓋代わりに上に詰めます。
そしたら、そのトマトが上から見えるように、鍋の中にグルーッとピーマンを縦に並べます。
「お行儀よく、それぞれが支えあう押しくらまんじゅうのような形で?」
丹野みどりの絶妙な喩えに、思わず顔がほころぶ関先生。
あんまり大きいお鍋だと、たくさんのピーマンを並べなきゃいけないので、直径15~18cmの小さめのお鍋を用意すると良いですね。
あとはその鍋に、お水をジャバジャバッと入れて、コンソメスープを刻んでパラパラッと入れて、ケチャップも入れて、塩胡椒、あればローリエの葉っぱ、バターもちょこっと入れて、さきほど蓋にしたときに詰めきれなかったトマトも全部入れてしまいます。
そしたら、もうとにかく、30分かそこらコトコトコトコトコト落し蓋をして煮込みます。
「そうすると、すんごくやわらかいピーマンのドルマが出来上がるわけです」
味付けのポイントは、スープに少しお砂糖を入れること。
スープには、トマトとケチャップを入れましたが、
「日本の人ってちょっと酸っぱいもの、キライじゃないですか?」と関先生。
その酸味に隠し味でお砂糖を入れるとおいしくなります。
「いつものコツですね」
かれこれ半年近く関先生に教わり、着実に腕を上げていますね、丹野さん。
どうぞ崩してください
出来上がったピーマンのドルマを目の前にした丹野みどり。
「もうかぶりついちゃってください」
関先生の言葉そのままに、上からガブッといきます。
「わっ、なんだこれ」
初めて食べる食材はないのに、初めて食べる味、食感。
よく肉のつなぎにはパン粉を使いますが、それがご飯になっているので、ねっちょりした部分もありますが、お米のぶちぶちした感じも残っています。
そして、ご飯のおかげか、肉臭さもありません。
「いろんなところにね、相乗効果が働いておいしくなる」
ピーマンの肉詰めをスープで煮たのだろう、という予想を大きく裏切るおいしさ。
「日本人好みですね」
「トルコ料理って日本の方お好きだと思いますよ、サバサンドとか」
日本とトルコには、歴史的な友好だけでなく、食も合うのですね。
驚くのは、見た目の素晴らしさ、かわいさだけでなく、長時間煮たわりにしっかりと残っているピーマンの形。
「ピーマンが一所懸命がんばって、形をね。私は崩さない、このお肉やご飯ちゃんたちを崩さないように出さないように一所懸命耐えて耐えて、食べる瞬間に、どうぞ崩して、という感じ」
あまりのおいしさにピーマンに感情移入した丹野劇場が始まります。
お米の食感だけでなく、トロトロになるまで煮込まれたピーマンの食感も初めて食べる領域です。
煮込んでスープにしますが、これはおなかの膨れるおかずです。
「寒くなったときにね、一所懸命勉強するお子さんに作ってあげて」
これから本格化する受験シーズンに、関先生の優しいおかずはいかがでしょうか?
材料とレシピ
【 材料 】
・ピーマン 8個
詰め物 ・牛挽き肉 150g
・玉葱 1/2個
・塩 小さじ1
・胡椒 少々
・パセリ 少々
・ミント 少々
・ご飯 3/4カップ
・トマト 2個
・スープ(水3カップ・コンソメスープの素1個)
・トマトケチャップ 大さじ2
・塩 小さじ1
・胡椒 少々
・ローリエ 1枚 ←あれば
・バター 20g
・パセリ
【 作り方 】
①ピーマンの皮に爪楊枝で穴をあける。ヘタの周りを切り、ヘタと種を取り除く。
②トマトは大きめに角切りにする。
③牛の挽き肉(又は合びき肉)、玉ねぎのみじん切り、塩、胡椒、パセリのみじん切り、ミント、炊いてあるご飯を入れ、よく混ぜピーマンに詰める。
④最後にトマトを詰め、トマトでふたをする。残ったトマトは刻んでおく。
⑤なるべく小さな鍋にピーマンのヘタの方を上に縦に並べる。煮汁の材料、水・コンソメ・ケチャップ・塩胡椒・ローリエの葉・バターと、残ったトマトを入れ煮立てる。煮立ってきたら落とし蓋をして30分ほど煮込む。
⑥皿に盛り、パセリを添える。
(榊原)
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