10/18放送の『丹野みどりのよりどりっ!』では、22日(日)の衆議院議員選挙と一緒に行われる、最高裁判所裁判官の国民審査について取りあげました。
台風が近づいているため、投票日当日の天候が気になるところですが、もし当日行けなさそうでしたら期日前投票もありますので、大事な一票を投じに行きましょう。
さて、この国民審査ですが、選挙に行ったことはあっても、いったい何を決めているのかよくわからないと思っている方も意外と多いのではないでしょうか。
今回はCBC論説室の石塚元章特別解説委員が、その制度の中身について解説します。
衆院選だけじゃない!知っておきたい最高裁裁判官の「国民審査」
裁判官が審査されるのは10年に一度
今回の選挙では、投票所に行くと3回投票することになり、衆議院議員で人を選ぶ小選挙区、政党を選ぶ比例代表、そして国民審査です。
「国民審査とは、最高裁判所裁判官で辞めさせたい人はいますか?と確認するもの」と概要を説明し、辞めさせたいという意見が過半数になるとクビになるルールです。
これは日本国憲法の第79上で決まっていて、「最高裁判所裁判官に任命されてから最初にやってきた総選挙で審査を受けること、後はさらに10年経った後の最初の総選挙のタイミングでまた審査を受けること」(石塚)となっています。
最高裁判所裁判官は全員で15人ですが、就任するタイミングはまちまちですので、今回は7名だけが審査の対象になります。
では、2回目を受ける人がどれだけいるかというと、実はほとんどいません。これは、最高裁判所裁判官の定年は70歳なのですが、60歳を過ぎて選ばれるケースがほとんどのため、2回目を受ける前に定年を迎えてしまうというわけです。
ちなみに今まで2回審査を受けたのは、6人ほどしかいないそうです。
この制度でよく指摘される問題点は、「就任してすぐに国民審査人は、まだ最高裁判所で判断を下したことがないため、審査のしようがない」というものです。
一部の専門家からは「総選挙の度に全員チェックすれば良い」とう意見もありますが、その場合は憲法の改正が必要となります。
投票ルールをあらためて確認
ここで丹野が「国民審査は具体的にはどういう形の投票になりますか?」と質問します。
石塚解説委員は「全員の名前が投票用紙に印刷されているので、辞めさせたい人の名前の上に×印を付けます」と説明しました。
たいていの人は判断のしようがないとして、特に何も印を付けずに箱に入れることが多いようですが、「辞めさせたい場合のみ×印を付ける」というルールでは、積極的に支持したのか、特に選ばなかったのかがわからないことになります。ちなみに○を付けると無効になります、
なお、実際に辞めさせられた人はゼロで、かつて一部の団体や野党がある特定の裁判官を落とそうと運動したことがあるそうですが、それでも15%程度でした。
また、投票券の一覧表に載っている一番最初の人が×が付きやすいという統計結果もあるそうで、並び順はクジで決めています。
最高裁判所で決めていることは大事なものが多く、私たちの生活に関わるものも多くあります。判決結果をよく調べると、裁判官による意見の違いも見えてきます。
最後に石塚解説委員は、「国民審査の前は、新聞社が裁判官にアンケートをして、その結果を載せていたりするため、審査の際の参考にして欲しい」とまとめました。
(岡本)
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