「10月に入り、デパートなどを訪れるとハロウィンのイベントをよく見かけますよね。今月末には派手な仮装をした人たちが街中を歩くのでしょう。
でも昔からハロウィンってこんな派手なイベントでしたっけ?そもそもハロウィンってどんなことをするお祭りだったのでしょうか?」
確かに、ここ最近でハロウィンは異様なほどの盛り上がりを見せていますよね。
そこで10/17の「これってキニナル」では、「ハロウィンって元はどんな行事だったのか?」を取り上げました。
アメリカでは、ハロウィンにカボチャは食べない。
ハロウィンの起源
同志社女子大学の関口英里先生にお話を伺いました。
関口先生は「文化の仕掛けを読み解く」というテーマで、日米の消費文化や文化の比較研究が専門。ハロウィンも重要な研究トピックの一つとして、長く注目してきたとのこと。
もともとハロウィンはヨーロッパのケルト民族の土着宗教、ドルイド教の「サムヘイン祭」というものに起源を持っています。
「サムヘイン祭」とは、先祖の霊が異界からやってくるのを迎えたり、悪霊を静めたりする行事で、日本でいうお盆のようなものです。
こどもたちがお化けや魔女などに仮装して、異界の存在の代わりにお供え物を集めて回っており、これが現在でいう「トリック・オア・トリート」の行事の原型というわけです。
18世紀から19世紀にかけて、同じヨーロッパのアイルランド人がアメリカに移住したことをきっかけに、ハロウィンの文化が海外へと伝えられ、祝祭イベントとして商業化されたことで、アメリカで大きく発展していきました。
日本のハロウィン
日本では当初ハロウィンは"アメリカの祝祭イベント"として紹介されました。
またその名が知られたのは、1970年代に横浜のアメリカ軍ベースのコミュニティで小さなパレードが行われたのが始まり、とも言われています。
1980年代には、日本でも徐々に商業ベースに乗ったハロウィン。
秋のプロモーションイベントを探していたお菓子業界やデパートなどが取り上げ始めたり、当時のホラーブームに乗ってコミックが出版されたりして、だんだん認識されるようになりました。
1990年代には一時期、様々な社会問題や得体の知れなさなどのマイナスイメージもあって低迷期を迎えましたが、2000年代になると、日本の消費文化の成熟やエンターテイメント、アミューズメントの発達、またコスプレ文化など日本独特の娯楽文化とも相まって、「何でもあり」で「みんなで楽しめる」ハロウィンが再び注目されるようになりました。
特に注目すべき傾向としては、ハロウィンがテーマパーク・イベントに活発に利用され始め、イベントのイメージやあり方を方向付けてきたとも言えるそうです。
こうした背景もあり、近年のハロウィンは爆発的に拡散し、市場規模も急速に拡大しました。
独自な進化を遂げた日本
関口先生によれば、日本のハロウィンはテーマパークでのイベントをはじめとして、様々な側面で、いわば輸入元の「本家」であったアメリカのハロウィンとは大きく異なっているとのこと。
ハロウィンに「カワイイ」要素を取り入れたり、大人がキャラクターの仮装をしたり、というのは実は日本独特のもの。
ちなみに、アメリカではカボチャをハロウィンに食べる習慣はないそうです。
これには丹野もビックリした様子。
日本のハロウィンは、私たちの親しみやすい消費文化に合わせてアレンジされ、今やアメリカからも「世界最大のハロウィン文化を誇るのは日本」と言われるほど、大変ユニークなイベントとして注目されているのです。
(ふで)
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