10月6日放送の『丹野みどりのよりどりっ!』では、今週のニュースで気になるキーワードとして、「スペインのカタルーニャ自治州」を取り上げました。
1日にスペインから独立するかどうかを問う住民投票が行われ、開票の結果、9割が独立に賛成との結論が出ました。
このニュースで「カタルーニャ」という名前を初めて聞いたという人も多いと思いますが、実は以前からよく知られている場所でもあるんです。
なぜ今、スペインから独立しようと思ったのでしょうか?CBC論説室の石塚元章解説委員が解説します。
バルセロナの方が有名
カタルーニャ自治州は知らないという方も、州都の「バルセロナ」という地名だったら知っている、という方も多いのではないでしょうか。
バルセロナは1992年にオリンピックが開催された年であり、著名な教会であるサグラダ・ファミリアや、メッシがいるサッカークラブ「FCバルセロナ」でも知られています。
カタルーニャ自治州の場所はスペインの北東部で地中海側にあり、フランスと接しています。
面積は関東地方とほぼ同じで、人口は750万人と愛知県よりやや多い程度です。
独自の文化を持つカタルーニャ
いま改めて、カタルーニャ自治州が独立したいと考えた理由は何でしょうか。
石塚解説委員は、「1つに歴史的な背景として独自の文化を持っている」ことを挙げ、カタルーニャ語という言葉もあり、スペイン語よりもイタリア語に近いそうです。
かつては地中海で一大勢力を誇りましたが、15世紀にはスペインの国家が統一され、大航海時代を経て商業の中心が地中海から大西洋に移り、次第に勢いが弱まっていきました。
それでも独自の文化を持っているという自負からか、スペイン政府に抵抗したり、逆に政府から弾圧を受けることもありました。
20世紀にはフランコ総統の独裁政権だった時代に、カタルーニャ語を公の場で使用することを禁じていました。
独立したいもう一つの理由は、スペインの経済事情にあります。
スペインの中でもカタルーニャは自動車産業などで栄えている地域であるため、税金を国に多く納めています。
その税金が貧しい地域に多く分配されているという住民の不満が、独立につながるのではないかという見方があります。
独立へのハードルはまだ高く
では、今回の投票の結果を受けてすぐに独立が成立するかというと、すぐに事が運ぶわけではないようです。
石塚解説委員は、「今回の住民投票の投票率は40%程度と少なく、独立に反対している人は投票していないため、カタルーニャ自治区全体で見ると、独立したい住民はさほど多くないのではないかという指摘もある」と言います。
スペイン政府は今回の投票は憲法違反であるという姿勢を崩しておらず、投票日に警官隊が住民を殴る映像が世界中に流れ、スペイン政府のイメージは悪くなっています。
最後に石塚解説委員は、「カタルーニャ自治州とスペイン政府はお互いに一歩も引けないガチンコ対決の状態で、解決にむけては現在、第三者の調停役を求めている状態だ」とまとめました。
週明けにはカタルーニャ州議会が独立宣言をするとも言われていますが、もし独立が成立すればスコットランドなど他の国へ影響を与えることは必至で、翌週以降どうなるのか、注目されます。
(岡本)
丹野みどりのよりどりっ!
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2017年10月06日17時12分~抜粋