オトナの気になる健康・身体の不思議を取り上げる「オトナのクリニック」。
9/13の放送は「大腸がん」について。
最近患者が急増していると言われる大腸がん。特に女性のがん死亡率で第1位だそうです。内視鏡の検診が大事とわかっていても、特に女性の場合はなかなか踏み切れない人も多いのではないでしょうか。
丹野みどりが名古屋内科、内視鏡クリニック理事長の林勝男先生に、大腸がん検診の重要性などを伺いました。
大腸がん発見の切り札・内視鏡検査は思ったより楽?
がん死亡率、女性の1位は大腸がん
―最近、大腸がんになる人が多いと聞きますが?
がんの死亡率では、女性で1位、男性では3位です。罹患率では男女ともに2位と言われています。
―なぜそんなに多いのですか?
増加の理由は、やはり最近の日本人の生活習慣が影響していると言われています。
食生活の欧米化、過度の飲酒、肥満、運動不足、そして遺伝的素因などが大腸がんの危険因子といわれています。
検便の結果ではわからないこと
―大腸の検査というと、健康診断や人間ドックで便検査をします。それで潜血反応が陽性でなければそのまま、ということが多いように思います。大腸カメラには痛い、怖いというイメージがありますが。
検診では便潜血反応が行われています。しかし、この結果が陰性でも病気がある場合があります。
ちなみに早期大腸がんの約半分は便潜血反応が陰性です。さらに進行がんでも、病変が腸の奥にあると陰性になることがあります。
―便検査が陰性だからといって安心してはいけないんですね。
そうです。あれは進行したがんを見落とさないという検査です。1cmがん、ポリープなどではほとんど陰性の場合が多いです。
逆に、陽性の場合でも必ずしも腫瘍があるわけではありません。中には痔や炎症でも陽性になることがあります。
楽になった内視鏡検査
―では、便潜血検査の結果に関わらず、大腸カメラが重要ということですね。
身内に大腸がんや大腸ポリープのある方、40歳を超えた方は、ぜひ大腸内視鏡検査を受けた方がいいと思います。
―まず下剤をたくさん飲んで、お腹を空っぽにする。その後、大腸カメラを入れないといけない、つらい検査というイメージがありますが。
施設によっても違いますが、最近の大腸カメラはかなり楽になっています。
検査前に飲むお薬の量も、かなり少なくなっていますし、性別、体形、既往歴に応じて、使うカメラの種類を変えることで、かなり楽に検査ができるようになっています。
―きめ細やかになっているんですね。後々大腸がんで苦しむことを考えると、検査の怖さは技術の進化で乗り越えられるということですね。
検査とともに治療ができる
―大腸がんの場合、どのようにがん化していくんですか?
大腸がんには、ポリープになってこれが長年経ってがん化するタイプと、いきなりがんになってしまうタイプ、この二つがあります。
内視鏡検査を受けると将来がん化する可能性があるポリープは、内視鏡でその場で治療ができ、がんへの進展を防ぐことができます。
―大腸カメラでポリープが見つかっても、その場でがんになるかもというものは切るんですね。
検査のついでに治療もできるということですね。
特に検査をした方がいい人は?
―先ほど、身内に大腸がんや大腸ポリープがある場合は検査をした方がいいというお話でしたね。
大腸がんには遺伝的素因のかなり強いものがあります。
特に身内に、大腸がんはもちろん、子宮体がんや卵巣がん、胃がん、胆道がんなどの家族歴のある方は、大腸を含めたがんの検査を積極的に受けて欲しいです。
最近は、女性の社会進出に伴って、食生活の欧米化やストレス、喫煙も加わり、遺伝的素因の強い方に、がんがかなり増えています。リスクの高い方はぜひ検査を受けていただきたいです。
大腸がんは治りやすいがん
―お母さんが、おばあちゃんが大腸がんだったら、どんなに若くてもということですか。
ちなみにうちでも、20代前半の大腸がんを経験しています。
頻度は非常に少ないですが、最近は「若いから検査を受けなくていい」とは、なかなか言えない時代ですので。
―逆にいうと、それだけ見つかるということですからね。
大腸がんは治るがんなので、検査を積極的に受けて、早く見つけて治療して欲しいです。
―ありがとうございました。
丹野みどりもこの後、内視鏡検査の予約を入れたそうです。
私も今年初めて大腸の内視鏡検査をしましたが、自分のリアル腸内を見ることができて、とても興味深い経験でした。
(みず)
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