水曜日は「オトナのクリニック」、大人の気になる健康・体の不思議を取り上げます。
今月は歯の病気について5回にわたって特集していますが、初回は「夏に多いケガ」について。
名古屋市南区にある榊原デンタルクリニックの医院長、榊原功二先生にお話を伺います。
聞き手はパーソナリティの丹野みどりです。
必読!こどもの歯が折れたらやっておくべきこと
夏はこどものケガが多い
夏にはどんな患者さんが多いのでしょうか。
「こどもさんのケガです。口の周り、首から上のケガが多いです。夏はこどもは外で遊ぶ機会が増えます。転んだりつまずいたりすると、小さなこどもは手でブロックできずに、そのまま顔から落ちるときがあります。それで口のまわりを切ったり、歯が折れたり、欠けたり、抜けてしまったりします」
ケガをしたらまず止血
「保護者の方が一番ビックリすることは、結構出血が多いことです。唇や歯茎が赤いのは毛細血管が多いから。それだけ、出血しやすいということです。ビックリするくらい血が出ますが、そこは慌てずに、まず止血をしてあげてください。
とりあえず、ハンカチやタオルでケガした部位、患部を押さえます。5分くらいで人間の血は止まるので、その間はこどもを落ち着かせて、自分も驚かないようにして待ちます」
例えハンカチが真っ赤になるくらい血が出ても大丈夫だそうです。
「5分くらい押さえていて落ち着いたかなと思ったら、そっと見てあげてください。まだ、ドクドクと血が出てくるようなら、止血は無理ですから、縫合など外科の処置が必要になります。救急車を呼ぶとか、大きな病院に駆け付けるなどしてください」
止血ができれば、それほど心配することはないそうです。
折れた歯は乾燥させない!
もし歯が欠けたり折れたりした時、具体的にどうすればいいのでしょう。
「欠片があれば、なるべくそれを歯医者に持ってきてください。どんなに小さな欠片でもいいですから。見つからなければ仕方ないですが、可能な限り探してください」
その際の注意点は?
「乾燥させないことが一番大事です。乾くと元に戻せるものも戻せなくなる場合が多いです。今はペットボトルの水が簡単に手に入りますから、そういったものに入れて持ってきてください。最悪の場合は、濡れたハンカチに包んでもいいですけど」
乾くとくっつかないのです。抜けた歯は結構くっついて、もう一度その場所に戻すことができますよ」
折れたり、欠けたりしたものも湿らせた状態で持ってくるとくっつきやすいのですか?
「いま接着技術もだいぶ進歩してます。きれいに欠片同士が合わされば、元に戻すことも可能なんです」
折れた歯は洗わない!
外で遊んでいると、欠けたりした歯が、土に紛れることもあると思いますが。
「転ぶ時は汚い場所が多いですが、あまり丁寧に洗わない方がいいです。泥とかゴミは落としてもいいですが、根っこの部分の組織を下手に洗うと再生しにくくなりますから」
折れたりした歯の表面には、大切なものがいっぱいくっついているんですね。そういう組織を洗い落としてしまわないためにも、拾ったら、汚れていてもいいからそのまま持ってくる方がいいんですね。
「はい、それくらいでも構わないです」
折れた歯は乾燥させず、洗わないなどで元に戻る可能性が高くなるとは意外でした。
こどもたちの歯のトラブルが急増するこのシーズン、周りの大人の冷静な判断と対応が重要ですよ。
(みず)
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