水曜日の『丹野みどりのよりどりっ!』では、「オトナのクリニック」と題し、健康や身体について学んでいます。
6月は「更年期障害」について、4週に渡って取り上げてきました。
最終回の6/28は、「更年期障害の症状を重くしないために」や、「女性ホルモンを使った治療法」についてお送りしました。

咲江レディスクリニック院長の丹羽咲江先生に伺いました。
更年期(一般的に45~55歳)前後の女性に、先生がまず一番伝えたい、気をつけてほしいことは何でしょうか?
「全ての女性の方に、年を重ねていっても、いつまでも元気で綺麗で生き生きとしてほしいです。それには、自分がどんどん老いていくことを、ちゃんと認識していくのが必要なんです」
現実を直視する。なかなか勇気がいる話です。
「突然、女性ホルモンが減ってしまい、心や身体に変調を来たす更年期。今までできたこともできなくなっちゃうんですね。そこで『やればできるはず』と思って頑張りすぎると、かえって更年期症状がひどくなりやすいんです。なので、その年齢にきたら少しセーブしたり調整したりして、ムリをしない事を心がけ、重症化させないようにしてほしいですね」
どうしても「過去の自分が一番、過去の自分に戻りたい」と思ってしまうのが人間の性(さが)。
しかし、不調になった時に過去の自分を目標にしてしまっては、ハードルがぐんと上がって、よりツラくなってしまうでしょう。
「それから、この年代の女性は、ちょうどお子さんが受験だったり、親の介護が入ったり、夫婦の間に距離できてきたりとかして、孤立しやすいんですよね。なので、ツラいなと思った時に、自分の話を聞いてくれる相手が必要なんです。家族や親、友達や仕事仲間など誰でもいい。自分の調子が悪いのを理解して『そうだね』って同調してくれる味方をつけてもらうと良いです」
自分でそういう人を見つけられればいいですが、周りの人たちが気づいてあげることも重要になりますね。
「それでですね。更年期症状が出やすい人って、2つのタイプに分かれると私は思っているんです。まずひとつは、“うつ”傾向が酷くなって、すごく元気がなくなっちゃうタイプ。もうひとつは、すごくイライラして周りに当たり散らすタイプ。
前者の抑うつの酷いタイプは、更年期症状の自覚があって、割と病院に来てくれるんです。が、後者の当たり散らすタイプは、自分の症状を認めず、周りに迷惑をかけるばかりになってしまいます」
だから、周りが本人に更年期障害であることを気づかせてあげることが大切だとか。
「ただ、いきなり人から『ちょっと更年期症状、酷くない?』って言われたら、カチンときますよね。なので、いつもの関係性を保ちながら、『ちょっと調子が悪そうだね。更年期症状じゃないの?』と優しい感じでアドバイスした方が良いです」
更年期障害とは、女性なら必ず通る道。誰にでも起こり得るのを、本人も周りもしっかり受け止めることが必要なのですね。
これは、女性だけでなく、周りの男性もぜひ意識してほしいことです。
では実際、病院に行ったとして、治療期間はどれくらいかかるのか。そして、ちゃんと治るものなんでしょうか?
「多くの人は、女性ホルモンを使うとかなり回復します。ただ、身体があまりにも弱り切ってしまうと、治療の時に不安感も強くなるし、副作用が出やすいんですよ。気持ち悪くなるとか、お腹が張っちゃうとか。だから、症状が酷くなる前に病院(婦人科や心療内科)に来て頂きたいです」
なるほど。それで、治療期間は?
「かなり個人差はありますが、これも2つのタイプに分かれるんですね。まずひとつは、更年期症状の治療だけに女性ホルモンを使うタイプ。こちらはだいたい1、2年くらいで“卒業”していきます。ちなみに、この『ホルモン補充療法』は5年以上使うと、乳がんの発症リスクが若干上がってしまうので、今のところは一応5年くらいまでが目安とされています」
「でも中には、10年でも15年でも使う人がいます。それがもうひとつのタイプです。女性ホルモンを使うと、とても元気になって生き生きとして、外見上もすごく若々しくなるんですよ。そういう生活をしていきたいという人は長期使用になります。もちろん、きちんと年に1回乳がん検診を受けながら、気をつけて使っていく必要があります」
高レベルを求めるには、それなりのリスクを背負う訳ですね。
それから、ホルモン補充療法について、もうひとつ注意事項があるそうです。
「閉経してから10年以上空いてしまうと、女性ホルモンは使えません。日本人女性で一番多い閉経年齢は50歳なので、例えば60代後半や70歳の人はこの治療は受けられないんです」
年齢が上がっていくと更年期障害が治せない?これはツラいのでは…いいえ、そんなこともなさそうです。
「更年期症状というのは、急激に女性ホルモンが減ってしまうのが原因ですから、もうなくなり切ってしまって、体が慣れてくると、元気になるんですよ。もちろん個人差はあるし、他にストレスがあったり、忙しすぎたりしたら別ですが」
何かと気が滅入りそうな更年期障害ですが、どうせ必ずやってくるもの。
周りの協力を得て、専門家の先生と相談し、うまく付き合っていくことが、一番の良薬ということですね。
(岡戸孝宏)
6月は「更年期障害」について、4週に渡って取り上げてきました。
最終回の6/28は、「更年期障害の症状を重くしないために」や、「女性ホルモンを使った治療法」についてお送りしました。

咲江レディスクリニック院長の丹羽咲江先生に伺いました。
まずは現実を受け止めて
更年期(一般的に45~55歳)前後の女性に、先生がまず一番伝えたい、気をつけてほしいことは何でしょうか?
「全ての女性の方に、年を重ねていっても、いつまでも元気で綺麗で生き生きとしてほしいです。それには、自分がどんどん老いていくことを、ちゃんと認識していくのが必要なんです」
現実を直視する。なかなか勇気がいる話です。
「突然、女性ホルモンが減ってしまい、心や身体に変調を来たす更年期。今までできたこともできなくなっちゃうんですね。そこで『やればできるはず』と思って頑張りすぎると、かえって更年期症状がひどくなりやすいんです。なので、その年齢にきたら少しセーブしたり調整したりして、ムリをしない事を心がけ、重症化させないようにしてほしいですね」
どうしても「過去の自分が一番、過去の自分に戻りたい」と思ってしまうのが人間の性(さが)。
しかし、不調になった時に過去の自分を目標にしてしまっては、ハードルがぐんと上がって、よりツラくなってしまうでしょう。
本人の自覚と周囲の気遣い
「それから、この年代の女性は、ちょうどお子さんが受験だったり、親の介護が入ったり、夫婦の間に距離できてきたりとかして、孤立しやすいんですよね。なので、ツラいなと思った時に、自分の話を聞いてくれる相手が必要なんです。家族や親、友達や仕事仲間など誰でもいい。自分の調子が悪いのを理解して『そうだね』って同調してくれる味方をつけてもらうと良いです」
自分でそういう人を見つけられればいいですが、周りの人たちが気づいてあげることも重要になりますね。
「それでですね。更年期症状が出やすい人って、2つのタイプに分かれると私は思っているんです。まずひとつは、“うつ”傾向が酷くなって、すごく元気がなくなっちゃうタイプ。もうひとつは、すごくイライラして周りに当たり散らすタイプ。
前者の抑うつの酷いタイプは、更年期症状の自覚があって、割と病院に来てくれるんです。が、後者の当たり散らすタイプは、自分の症状を認めず、周りに迷惑をかけるばかりになってしまいます」
だから、周りが本人に更年期障害であることを気づかせてあげることが大切だとか。
「ただ、いきなり人から『ちょっと更年期症状、酷くない?』って言われたら、カチンときますよね。なので、いつもの関係性を保ちながら、『ちょっと調子が悪そうだね。更年期症状じゃないの?』と優しい感じでアドバイスした方が良いです」
更年期障害とは、女性なら必ず通る道。誰にでも起こり得るのを、本人も周りもしっかり受け止めることが必要なのですね。
これは、女性だけでなく、周りの男性もぜひ意識してほしいことです。
女性ホルモン、長く使うか短く使うか
では実際、病院に行ったとして、治療期間はどれくらいかかるのか。そして、ちゃんと治るものなんでしょうか?
「多くの人は、女性ホルモンを使うとかなり回復します。ただ、身体があまりにも弱り切ってしまうと、治療の時に不安感も強くなるし、副作用が出やすいんですよ。気持ち悪くなるとか、お腹が張っちゃうとか。だから、症状が酷くなる前に病院(婦人科や心療内科)に来て頂きたいです」
なるほど。それで、治療期間は?
「かなり個人差はありますが、これも2つのタイプに分かれるんですね。まずひとつは、更年期症状の治療だけに女性ホルモンを使うタイプ。こちらはだいたい1、2年くらいで“卒業”していきます。ちなみに、この『ホルモン補充療法』は5年以上使うと、乳がんの発症リスクが若干上がってしまうので、今のところは一応5年くらいまでが目安とされています」
「でも中には、10年でも15年でも使う人がいます。それがもうひとつのタイプです。女性ホルモンを使うと、とても元気になって生き生きとして、外見上もすごく若々しくなるんですよ。そういう生活をしていきたいという人は長期使用になります。もちろん、きちんと年に1回乳がん検診を受けながら、気をつけて使っていく必要があります」
高レベルを求めるには、それなりのリスクを背負う訳ですね。
それから、ホルモン補充療法について、もうひとつ注意事項があるそうです。
「閉経してから10年以上空いてしまうと、女性ホルモンは使えません。日本人女性で一番多い閉経年齢は50歳なので、例えば60代後半や70歳の人はこの治療は受けられないんです」
上手に付き合っていこう
年齢が上がっていくと更年期障害が治せない?これはツラいのでは…いいえ、そんなこともなさそうです。
「更年期症状というのは、急激に女性ホルモンが減ってしまうのが原因ですから、もうなくなり切ってしまって、体が慣れてくると、元気になるんですよ。もちろん個人差はあるし、他にストレスがあったり、忙しすぎたりしたら別ですが」
何かと気が滅入りそうな更年期障害ですが、どうせ必ずやってくるもの。
周りの協力を得て、専門家の先生と相談し、うまく付き合っていくことが、一番の良薬ということですね。
(岡戸孝宏)