シャープペンシル、通称シャーペン。
今回紹介するのはお値段が一本3,000円のシャーペン。パッと見、スリムで色は黒。シャーペンには珍しく紙のパッケージに入っていて、高級感があります。
この高額なシャープペンシルが、いま爆発的に売れているということです。
ノックは不要!勝手に芯が出るシャープペンシル
ノック不要のシャープペンシル
シャーペンというと、カチカチとノックして芯を出すのが常識です。
しかしこの3,000円のシャープペンシルでは、芯を出すためのノックが必要ないんです。
ぺんてる株式会社マーケティング推進部の飯塚愛美さんにお話を伺いました。
「普通、例えば"あ"と書くとしたら、まず横棒一画、縦に二画、ぐるっと三画。画数が三画あると思うんですけど、一画書いたら、パイプ(ペン本体)を紙面から離しますよね。その時に、芯を勝手に送り出しているんです」
シャーペンといえば、カチカチカチ。このカチカチカチ動作込みでシャーペンだと思っていましたが、この商品は何もしなくていい。すごいシステムです。実際に使ってみると、自動的に中で芯を送り出していて、その時にカチッという音も何もしないんです。
シャーペンの中には27の部品が
そもそもこのノック不要のシャープペンですが、0.5mmのシャープペンでは、すでにありました。
前からあったのなら、今回の商品も簡単に作れたと思いますよね。いえいえいえ、そんな甘くはありません。
今回の商品というのはシャーペンの芯が0.2mm。この0.2mmという 細い芯を、掴んだり離したり自動的にしなくてはいけません。その部品のバランス調整がとても難しく、ミクロン単位の部品が必要なんだそうです。
普通のシャーペンは、ペンの中に10種類ぐらいのパーツがあればいいそうなんですが、0.2mmという細い芯でノック不要という今回の商品では、なんと27種類の部品が中に入っているそうです。
細い中に、そんな技術が詰め込まれているなんて感動的です。
技術は凄いが売れるのか?
とはいっても、世の中デジタル時代。物を書くことが減っている昨今、こんな苦労と技術の粋を集めて商品開発をして大丈夫なのかな?そんな技術を詰め込んでも、売れないんじゃないか?と思いますよね。
ところが、今年2月に発売すると大ヒット。現在も店頭に並ぶとあっという間に売れてしまうという状況なんだそうです。いったい、どうしてなんでしょうか?
売れているなら、大量生産して店頭に置けばいいのに、と思ってさらに調べてみると。大量生産できない理由は、0.5㎜のシャーペンの3倍近い部品点数の多さ。さらに、それをシャーペンの中で組み込むバランスの調整が難しいそうです。
大人な理由で売れています
「手書きをする機会が減ってきているので、せっかく書くなら良いものを使いたいみたいな、需要があるのではないかと考えています。
特に大人の方は、会社から支給される文房具がなくなってたりして、自分で買わなきゃいけないというのもあるので、自分で買うんだったら良いものを、ということが最近の流れとしてあります」
なかなか大人の理由ですね。
シャーペンって、いつの間にか、こんな風に進化していたんですね。素晴らしい技術です。ぜひ芯が自動で送られる感触、いや、送られる感触がない感触を、確かめてみてください。
(尾関)
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