丹野みどりのよりどりっ!

プールの水温って誰が決めているの?

様々な教養をプロの視点から学ぶコーナー『大人のいろどり』。
火曜日は『これってキニナル』をお送りしています。
日常にある素朴な疑問、気になって仕方がないアレって何で?といった“キニナル”を、リスナーの皆さんから送って頂き、番組で調査。更に詳しい方々に教えてもらおうという企画です。

今回のテーマは「プールの水温って誰が決めてるの?」
この疑問を解決して下さる方と、電話をつなぎました。
公益社団法人 日本プールアメニティ協会の専務理事、中村克彦さんです。

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一般のプールは“オープン水温”


まず、日本プールアメニティ協会とは、どういった活動をしている団体なのでしょう?

「水泳プールの安全・衛生・快適性の向上や、また、プール施設運営指導のために、いろいろな調査をしたり講習会を開催したりしています。それと、プール水を綺麗にする設備・機械の認定や、運営団体の認定。また、それらに関係する情報提供を中心とした事業を行なっています」

では本題に入りましょう。プールの水温は誰が決めているのでしょうか?協会で決めている水温があるのでしょうか?

「通常の施設では、プールの水温は明確に規定されている訳ではありません。協会でも水温は決めていないんです。それぞれの施設ごとに、従来から習慣的に設定された温度を運用しているということです」

一律に決まっていないと。メーカー希望小売価格じゃない、オープン価格みたいなものですね。
ちなみに、室内プールと屋外プールとでは、水温は違ってくるのでしょうか?

「そうですね。特に屋外プールの場合は外気温や直射日光の影響が強いので、数字を基準化するのはより難しいと思います」

確かに。外でエアコンを使うようなものですからね。

競技用プールは“メーカー希望水温”


「ただ、学校の屋外プールの場合、水泳の授業に関しては、水温が22°C以上と一応決められてはいるんです。これは、22°Cを下回ると、人間の体温が急激に低下するからです。それに加えて、水温と外気温の合計が50°C以上という基準も採用されています」

水温が高めでも、寒い日のプールはイヤですもんね。極端な話、氷点下で温泉につかっても、湯冷めがとんでもない事になりますから。

「それから、室内のプールの場合、一般的に使われている施設では大体28~31°Cくらいという所が多いです。ただこれがオリンピックなどの公式競技になると別です。日本水泳連盟では、競泳の場合25~28°Cという基準が決められています。これは、スイスにある世界水泳連盟に準じた規定です」

激しい運動をするので、一般より低めなんでしょうね。
ちなみに、競泳以外のシンクロナイズドスイミングや水球などでも、それぞれ独自の基準を連盟が設けています。
日本水泳連盟ホームページの「プール公認規則」によりますと、飛び込み競技は26°C以上。水球は25~27°C。シンクロは27°C±1°Cということです。

プールは水面下と水面上で動いてる


では、夏と冬では、プールの水温に違いはあるのでしょうか?屋外プールは冬は使わないので、室内について伺います。

「室内の温水プールは、基本的に年間通して水温に違いはありません。ただ、直射日光が入りやすい施設ですと、どうしても自然に水温が上がってくることがあります。なので現実的には季節による水温の差はあるかもしれません」

なるほど。室内プールと言えば、立ち入った瞬間「うわっ、蒸し暑いな」というむせ返るような感じがしますが、あれはなぜですか?

「プールの水温が30°C前後なので、どうしても室内の『湿度』がとても高くなってしまうんです。しかしこれには対処法がいくつかあります。例えば、プールの水温よりも室内の温度を1、2°C高くして、できるだけ水の蒸発、つまり水蒸気の発生を抑えること。それから、室内の換気を適切に実施すること」

ただし、換気を強くすると、水から上がった時に体から気化熱が奪われて寒く感じてしまうので、調整が難しいのだとか。

「通常の対策として、夜間は換気を止めます。そして、プールの水面全部をカバーで覆って、蒸発と水温の低下を抑えるようにしています」

使用時間以外でも、ずっと管理は続いているのですね。
水面下だけでなく水面上でも活動しているという、プールのお話でした。
(岡戸孝宏)
(榊原)
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2017年06月06日16時35分~抜粋

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