丹野みどりのよりどりっ!

注意!気温が低くても熱中症になる?

様々な教養をプロの視点から学ぶコーナー『おとなのいろどり』。
今回のテーマは「東海地方の梅雨入りの時期、その後の夏の暑さ」などについて。

気象予報士の澤朋宏アナウンサーがその道のプロとして詳しく解説します。

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まずは梅雨入りについて


沖縄・奄美地方はすでに梅雨入りしています。では、東海地方の今年の梅雨入りはいつ頃になりそうでしょうか。

「平年ですと6月8日、9日辺り。そこから約40日間が梅雨の期間となります。今のところそれより早まるという兆しはなく、おそらく平年並み。6月8日、9日、遅くとも10日くらいまでには梅雨入りしそうという見立てになっています」

雨の量はどのくらいになりそう?

「これはちょっと注意が必要です。6、7、8月の3ヶ月予報が発表されたんですが、どうやら7月は、東海地方を含む太平洋側では降水量が多くなりそう」

「3ヶ月予報」というのは、3ヶ月間の大まかな平均気温や降水量などに関する、ざっくりとした予報のこと。でも、もともと雨が多いのが梅雨なのに、7月に多いことに何か特別な問題があるんでしょうか。

「梅雨の例年のパターンとして、6月の降り方は『しとしとしとしと』という感じ。梅雨の終わりかけの7月になると、『カラッと晴れたりザーッと降ったり』という感じ。つまり7月に降水量が多いということは、集中豪雨になりやすい恐れがあるんです」

なるほど。単純に雨量が多くなるのが問題じゃなく、危険な降り方になるのが問題なわけですね。

世界で一番キツイ夏?


梅雨が明けると夏本番。東海地方の夏、今年はどんな感じになるのでしょう?

「『暑い。』その一言です」

こりゃまたシンプルな。では、どれくらい暑い?

「どれくらい暑いのかは特定できませんが、いろんな可能性が考えられます。例えば、最高気温が40度近くまでいってしまう日があるかもしれません。もしくは、そこまでいかないにしても、35度超えのいわゆる“猛暑日”が、何日も続いてしまう恐れもあります」

どぎついのがドーン!とくるのか、きっつーいのが何度もくるのか。

「もう一つ可能性があるのが、8月下旬になっても暑さが収まらないパターン。残暑が厳しいというより、夏が長い」

きついのがダラダラ続くと。まあいずれにせよ、今年の夏のキーワードは「キツイ」ということだそうです。
(精神的負担を少しでも和らげようと、ファッションのトレンド風に表現してみました)

フィリピンの海から日本の空へ


“今年の夏は暑くなりそうだ”というのは、どういう理由で分かるものなんでしょう?

「暑くなるか寒くなるかを占う上で一番見るのが、海の温度なんです。例えばエルニーニョ現象なんかは、日本からかなり離れた南アフリカ大陸の太平洋沖合。そこの海水温を見ることで分かります。一方、日本の夏を占うのはフィリピンの辺りの海なんですよ」

エルニーニョ現象とは、ふだんの海水域の温度が上昇すること。世界中に異常気象をもたらします。ちなみに海水温が低下するのはラニーニャ現象です。

「フィリピン近辺の海水温が高いと、その辺りの空気が温められて上方に持ち上げられていく。そして、上がった空気が冷えて下りていく場所が、太平洋高気圧の辺り。それで太平洋高気圧が強められて、日本の夏が暑くなるんです」

つまり、フィリピン辺りの海水温が、日本の気象に直結するんですね。なので、まずフィリピン近海の水温の変化を予測して、そこから改めて日本の夏がどうなるかを予想する。

近所で行われるイベントの客入りを予測して、コンビニが仕入れる商品の量を計算するようなものですね。ちょっと違いますね。

涼しい夏などない!


丹野みどりが尋ねます。
「最近暑い夏ばかりで、涼しかった夏の記憶があまりないんです。フィリピン沖の海水温が上がると暑くなるってことは、逆に、あまり上がらない時は暑くならない。最近は海水温が上がらないって事がないんですね?」

「いえ、そもそも涼しい夏というのはありません。フィリピン沖の海水温があまり上がらない時は、ジトジトとした蒸し暑い夏になっちゃうんです。気温が31、2度くらいまでは上がり、やたら曇りの日が多くて、ジメジメした夏。気温が高くはならなくても、何だかんだ言って結局夏は暑いんです」

“真夏日”“猛暑日”という言葉が毎年メディアで踊っているので、気温が高い=暑いという図式になりがちですが、暑さにも種類があるということです。
冷夏という言葉がありますが、別に寒い訳ではないですしね。

熱中症の意外な原因「湿度」


さて、夏の暑さに向けて注意しなければならないのが、熱中症。実は3つのタイプがあるそうです。

【1】真夏の熱中症。極端な暑さによるもの。

【2】5月の熱中症。体が暑さに慣れてないところに、季節外れの30度超えの暑さでやられるもの。

【3】6月の熱中症。それほど気温は暑くないが、“湿度”でやられるもの。

意外に【3】が盲点だという沢アナ。湿度が高いと汗が蒸発しにくい。体内の熱を逃がせられない。熱中症になる。
このパターンが結構あるそうなんです。昨年、この熱中症で毎週1,000人ほど救急搬送されたというデータもあるとか。

ジメジメしがちな6~7月は、油断せず、室内の湿度を40~60%に保つように心がけましょう。

エアコン動かすなら今のうち


最後に。暑さ対策として、エアコン業界が呼びかけている事があります。それは、「今のうちにエアコンを動かして下さい」。

エアコンの修理依頼は、7月上旬のある時期だけにギュウッと集中するんだそうです。みんなこの時期に稼働させ始めて、ここで一斉に異変に気付くので。そうすると、修理待ちにとんでもない日数がかかってしまい、地獄の夏を迎えることになるのです。

エアコンをまだ使わなくてもいいこの時期は、最高気温が25度くらいには上がるので、試運転するにはちょうどいい時期です。
お昼の2時~3時の時間帯に、温度設定を16度とかにして、10分くらい動かします。ちゃんと冷たい風が出てくればOK。ダメなら余裕を持って修理に出せます。

皆さんもぜひ、梅雨や暑さの対策を施して、楽しい夏を迎えましょう。
(岡戸孝宏)
丹野みどりのよりどりっ!
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2017年05月25日16時32分~抜粋

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