毎週水曜日「みどりのさきどりっ!」は、話題となっている商品やサービスに焦点を当てて今を読み取る「モノコレ」。
4/26は「尾道デニムプロジェクト」という古着デニムの話題を取り上げました。
広島県尾道市は繊維業が盛んで、日本有数のデニム生地の生産地。その魅力を伝えようと始まった企画が、この「尾道デニムプロジェクト」です。
このプロジェクトのマネージャー、和田幹洋さんにお話を伺いました。
職人もシェフも住職もジーンズ穿いて町おこし!尾道デニムが熱い
街で育てる「リアルユーズドデニム」
「尾道デニム」とは、尾道の街で働く色々な職業の人に、1年間仕事着として同じ型のデニム2本を交互に穿いてもらって作りあげる「リアルユーズドデニム」のことです。
思わず「興味深いんですけれども!」と、声を挙げてしまう丹野みどり。
通常は新品のデニムを薬品で洗って色を落としたり、砂を吹き付けたり、型を入れてこすったりして中古風の加工をするのが一般的。
しかしこの尾道デニムプロジェクトは、実際に使い込まれて初めて出てくる味や色落ち、ダメージを含めて、1年間使い込むことでストーリーのある、個性豊かな一点もののデニムを作っていこうというものだそうです。
住職が育てるデニム?!
大工・漁師・シェフ・住職・保育士・トリマーなどデニムを育ててもらう人の職業は多岐にわたります。
職業によってこすれる部分の違い、日光の照射時間、体の動かし方など全てが違うため、百人いれば百通りの古着デニムができあがるというわけです。
住職さんがお寺で穿き込んだデニムは、一体どのような味わいを生み出すのでしょうか。
住職は正座をしていることが多いイメージがあるので、やはりひざの色落ちが激しいのかな?などと考えるだけでもワクワクしますね。
「仕事中に穿くだけ」のボランティア
尾道在住の様々な職業の人、これまでに述べ500人がボランティア参加でこの尾道デニムを育てているとのこと。
2本支給されているうち1本のデニムを1週間穿いたところでプロジェクトのスタッフが回収し、専門工場で洗濯と乾燥をしてから傷や落ち具合をチェックします。
その間にもう1本を穿いて、1週間後に交換という繰り返しです。仕事中に穿くだけのボランティアなのです。
ちなみにこのデニム、もともと新品の状態で22,000円~26,000円のデニムですが、1年間穿いた後に9段階の価格帯に分けられます。
一番安くて24,800円、最も高くなるとなんと48,000円まで価値があがります。つまりプレミアがつくわけですね。
多い価格帯としては32,000円~42,000円だそうです。
ストーリーごと買ってもらう
尾道のユーズドデニムは通信販売では購入できません。その理由を和田さんが語ります。
「街の仲間と1年かけて作りあげた想い入れのある一本一本なので、尾道の店まで実際に来てもらって、見て触ってストーリーを理解した上で買っていただきたい」
尾道という土地の独特な空気感も感じてもらいながら買ってもらいたい、オンラインでの販売をしない理由はそこにもあるそうです。
値札にはそのデニムを育てた人の職業も書かれているので、そのデニムをストーリーごと手に入れるわけですね。
デニムを育てたいあなたに朗報!
尾道在住以外の方でも、このデニムを育てるプロジェクトに参加可能です。
新品の尾道デニムと1,000円の参加権を購入すれば、1年以上穿き込んだ後に店に委託販売ができるそうです。
1年後からであれば、売るのはいつでも構わないとのことで、もちろんそのまま売らずに穿き続けていてもOKです。
現時点で700名ほどの人が、それぞれ尾道以外の別の地域でデニムを育てているそうです。
なんともユニークな町おこし企画ですね。
あなたも自分のストーリーを刻みつけながら、デニムを育てるプロジェクトに参加してみませんか?
(minto)
関連記事