お風呂では使わないのに「風呂敷」と呼ばれる理由

丹野みどりのよりどりっ! / カルチャー

ずっと「風呂敷」の名前の由来が気になっていたというAさん。
確かに浴室で風呂敷を使う用途を見たこともなく、どうしてこの名前になったのか不思議です。

そこで2月12日(火)放送の『丹野みどりのよりどりっ!』では、「風呂敷」についてのキニナルを調査しました。

今回の回答者

「お風呂では使わないのに『風呂敷』と呼ばれるのはなぜ?」というキニナルに答えていただいたのは、宮井株式会社の小山祥明さん。

宮井株式会社は、京都にある1901年(明治34年)創業の袱紗・ふろしきのメーカー問屋です。
ものづくりと卸売りの会社ですが、作って売るだけでなく、代々布の文化を研究したり、文化発信にも力を入れています。

社内にあるギャラリーでは、企画展を開催して所蔵する染織コレクションを公開しています。2005年に名古屋市博物館で開催された「世界大風呂敷」では、展示物の7割を同社のコレクションが使われました。
風呂敷の現代的な使い方を考案し、包み方の教室を開いたのもこちらの会社が初めてとのこと。
 

お風呂では使わないのに「風呂敷」と呼ばれる理由

早速、お風呂では使わないのに『風呂敷』と呼ばれている理由について聞いてみました。

小山さん「まず、ものを包む布が『風呂敷』と呼ばれ始めたのは、江戸時代からです。それまでは『つつみ』や『平包み』と呼ばれていました。

銭湯が普及するようになると風呂の道具を包んで持参し、入浴後に下に敷いて座るものだったから風呂敷になったという説や、お風呂に入る際にそれまで着ていた服を包むものだったから風呂敷になったといった説があります。

また室町時代に、3代目将軍足利義満が大湯殿(大きなお風呂)を作り、全国各地の大名をそのお風呂に招待してもてなした際に、それぞれの大名の脱いだ服がまぎれないように家紋入りの絹の布で包んだ、という記録が風呂敷の名の由来ではないかという説もあります。

江戸時代に出された辞書を紐解いても様々な説明が載せられていて、その頃から既に定説がなかったことが窺えます。
ですが、井原西鶴の『好色五人女』を始めとする作品群には『風呂敷包み』や『風呂敷』という言葉がたくさん見られますので、江戸時代中期頃には風呂敷がものを包む布の名称として使われていたことがわかります。

個人的には木綿栽培の成功と共に大きい布が作られるようになり、『風呂に敷いてあるような大きい包み布』というところから、風呂敷という名称が使われるようになったのではないかなと思っています」

今ではお風呂で使うことはありませんが、昔はお風呂で下に敷いたり服を包む用途で使われていたんですね。
 

物を包む文化の変化

では、風呂敷をはじめとして、布で物を包む文化はいつごろから行われていたのか伺ってみました。

小山さん「現在残っている一番古い『包み布』は奈良時代のものです。東大寺正倉院は聖武天皇の愛用の品などを収めた倉庫ですが、大切なものを保護するために包んだ布が、最も古いと言われている風呂敷です。

例えば迦楼羅舞という伎楽の装束を包んだ『迦楼羅つつみ』や獅子舞の装束を包んだ『獅子づつみ』、お袈裟を包んだ『袈裟つつみ』などがあり、薬や香木を包んだものを含めると、数百種類のふろしき、包み布があると言われています。

確実に遡れるのは奈良時代ですが、風呂敷といっても要するに一枚の布ですから、布があればものを包むことに使用するのは自然なことなので、実際はもっと前、布が織られ始めたころと始まりは同じといっても良いのではないかと考えています。

ちなみに、文献に『風呂敷』という言葉が初めて出てきたのは、江戸時代初期のことです。徳川家康の遺品を御三家で分け合った際の目録『駿府御分物御道具帳』に『小倉木綿風呂敷 一』とあるのが最も早い資料のひとつとされています。

ただ、この『風呂敷』は目録の分類から考えて、文字通りの敷きもの、今で言うバスマットの方を指すと思われます。江戸時代初期には木綿の栽培が成功していないため、将軍家の目録に記載されるくらい、木綿はとても貴重であったことがわかります」
 

風呂敷は正方形ではない?

風呂敷は広げると四角い形をしています。形に特徴はあるのか伺ってみました。

小山さん「風呂敷は基本的に正方形ではありません。昔から、横幅に対して5%から7%くらい少し縦長の長方形になっています。

理由としては、これも諸説あったりするのですが、昔は今のように風呂敷専用の生地を使うわけではなく、布を切り売りで買ってきて、裁断面を家で三巻という縫製で仕立てていました。布を巻き込んで縫うのでそれだけの間隔をとる必要があったわけです。

また使用して傷んできた場合は端を切り落として縫製する、ということを繰り返したので、縦長にしておく方が長く使用できたのです。

他には、これは私が会社に入った時に先輩から教わったのですが、縦長にしておくと描かれた文様がきれいに見える、というものです。確かに丈が短いと圧縮して模様が見えるので、なるほどと思ったものでした。
現代の実用的な面から考えると、縦が長いと対角線がそれだけ長くなるので、包みやすいということもあるのではと考えています」

今後風呂敷で物を包む時には、ルーツや形の秘密を知った上で、改めて風呂敷を見てみると面白いかもしれません。
(おきな)
 
この記事をradikoで聴く

2019年02月12日16時35分~抜粋

この記事をシェアする

あなたにオススメ

アーカイブ

同じカテゴリー

×