レポドラ日記

江戸時代から続く三重県亀山市の老舗和菓子店「深川屋」 まさに”掟破り”の新作が登場!

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CBCラジオレポートドライバーの石坂窓花です。
三重県亀山市に行ってきました。

亀山市関宿には、国の伝統的建造物群保存地区に選定されている場所がありまして、昔ながらの木造の建物が軒を並べています。
その中に江戸時代から続く老舗の和菓子屋「深川屋」があります。



歴史あるお店に注目の新作が出たそうなんです。



詳しいお話を「深川屋」14代目店主の服部吉右衛門亜樹さんにお聞きしました。



「深川屋」は、旧東海道の関宿で江戸時代からの和菓子「関の戸」を製造販売している老舗の和菓子屋さんです。
「関の戸」は創業当時の370年程前から作られているんですよ!
1780年に書かれた書物に沿って現在も作っていて、味も作り方も一切変わっていません。



こしあんをお餅菓子で包んであり、その上から粉雪のような和三盆糖をまぶしたひと口大のお菓子。

口に入れた瞬間に和三盆糖の甘みがふわっと広がって、口当たりがとても滑らか。
お抹茶をこくっと飲みたくなるような美味しさです。

そして今回、その「関の戸」に新しい味が出たんです!
その新作とは、ヤマトタチバナ味。



「ヤマトタチバナ」とは、三重県の指定天然記念物で和歌にも出てくる植物。唯一の日本原産の柑橘で小さなみかんのような実なんだそうですよ。
まだ砂糖のなかった時代には、お菓子の代わりとして重宝されていたそうです。

服部さんは常々、三重県の食材を「関の戸」に利用したいと考えていました。

服部さんがヤマトタチバナと出会ったのは、今年春に行われた「お伊勢さん菓子博」。深川屋もそこに出店していて、その近くに鳥羽市の商工会議所がブースを構えていたそうです。
そこで「県の特産品」としてPRしていたヤマトタチバナの豊かな香りの虜になったそうです。

このヤマトタチバナの皮を粉末にして、和三盆糖と合わせてまぶします。

このヤマトタチバナの粉末が入った袋を開けさせて頂きましたが、袋を開けた瞬間に柑橘のさわやかな香りがふわっ。と広がって、部屋中が良い香りに包まれていました。
とても心地良い香りなんですよ。"香りを食す"んだそうです!



ところどころ黄色いヤマトタチバナが見えますね。
口に入れるとふわっとヤマトタチバナの香りがして、少し柑橘の苦みがあって…。

それがまたこしあんの甘みと良く合うんです。
口の中になくなっても香りが残っていましたよ。
「和菓子は余韻を楽しむもの」と服部さんが仰っていた意味がわかりました。

服部さんは14代目なのですが、実は「深川屋」には「関の戸の味 変えるべからず」という掟があるんです!
その文書に代々の店主は"血判"を押していまして、服部さんも17歳の頃に押したそうです。

なので「新しい味を出すというのはすごい挑戦だったんじゃないですか?」とお聞きしたところ、実は2014年に三重県の食材として「伊勢茶味」も販売し始めたんだそうです。



血判の重みは知っていましたが、三重県の食材も使いたいですし「関の戸」が生き残っていくには新しい挑戦が必要!と考えた結果だそうです。
この時13代目のお父さんは3ヶ月間、口を聞いてくれなかったそうです…

今では「伊勢茶味」も人気商品となっており、今回の「ヤマトタチバナ味」も「三重県を代表するお菓子になってほしい」と話してくださいました。



ステキなお話、愛情が詰まった「関の戸」。
ありがとうございました。
(石坂窓花)
 


深川屋
三重県亀山市関町中町387
0595-96-0008
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