北野誠のズバリ

バッティングセンターのイメージを変えたあの名選手!

昔は全国にバッティングセンターが立ち並び、特に男性やこどもの娯楽として人気を博していましたが、野球人口が減っている中、一部で今も根強く残っています。

4月9日放送『北野誠のズバリサタデー』では、『日本バッティングセンター考』(双葉社)の著者でライターのカルロス矢吹さんに、意外と知らないバッティングセンターの歴史や現在の問題点などについて伺いました。

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本を執筆したきっかけ

矢吹さんは北は北海道の網走から南はタイのバンコクまで、バッティングセンターを訪ね歩いた経験の持ち主ですが、なぜバッティングセンターをテーマにした本を執筆しようと思われたのでしょうか。

矢吹さん「僕自身が中学まで野球をやってたし、今も草野球をやってるんで、よくバッティングセンターには行っていたんですけど、メディアに取り上げられる時って、ホームランを打っているおじいちゃんとか、お客さんにフォーカスされることばっかりだったんですね。

バッティングセンターって個人経営が多いんですけど、1軒作るのに1億円かかるって言われてるんですよ。

でもオーナーさんの声っていうのが全然メディアに出てこないので、それだったら自分で聞いてみようと思って、聞いて回ったのが最初ですね」
 

バッティングセンターの歴史

日本初のバッティングセンターは、1965年(昭和40年)に東京の錦糸町駅前にあった楽天地ビルの屋上にできたものとされています。

神戸のホーマー産業という会社がピッチングマシンを製造した際、最初は東山動物園など娯楽施設に売り込んでいたそうですが、話を聞いてくれたのが楽天地ビルのオーナーで、そこで人気が出たためにバッティングセンターが全国各地にできたのだそうです。

バッティングセンターの全盛期は1970年半ばといわれているそうですが、これはボウリングブームで一気に増えたボウリング場が、オイルショックにより経営が立ち行かなくなり、なんとか維持するため、駐車場や空き地だった場所にバッティングセンターを併設したため。

ボウリングブームの際に、プレイ待ちの人向けに喫茶店や簡単なゲーム機なども併設していたため、70年代半ばにはさらにバッティングセンターが加わり、矢吹さんいわく、ここに「日本の黄金の複合型娯楽施設」が完成しました。

今もボウリング場だけではなく、ゲームセンターやインラインスケート場、カラオケボックスなどを集めた複合型娯楽施設がありますが、その原型といえますね。
 

バッティングセンターを変えた選手

全盛期を過ぎてもなおバッティングセンターは残り続けますが、矢吹さんは90年代、あるプロ野球選手をきっかけに変革期が訪れたと語ります。

矢吹さん「イチロー選手がブレイクした時に、『父親にこどもの頃連れて行かれて、そのおかげでヒットがいっぱい打てるようになったんです』ってよく言われてた話だったんです。

それまでは、ただのエンターテイメント施設だったバッティングセンターが、ここでちゃんと練習したらプロ野球、もっといえばメジャーリーグにも通じるという担保みたいにイチローがなってくれてるんですね」

イチロー選手も恩義を感じているからか、ブレイク時に多くの取材やイベントは断っていた中で、バッティングセンターに関する協会からの特別表彰には出席されたそうです。

矢吹さん「それからバッティングセンターは硬式球が打てたり、打席を貸し切れたり、打撃練習場みたいな方に少しシフトしていってるんですね。

ちゃんと練習になるところが、実際に黒字を出して生き残ってる感じですね」
 

今後はどうなる?

全盛期から40年以上経ちましたが、矢吹さんは現在のバッティングセンターは斜陽産業と語り、大きな原因はオーナーの後継者不足だといいます。

矢吹さん「オーナーさんが70代どころか80代のところもあるので、継ぐ人がいないんですよ。

マシンの調整とか結構力がいるので、若い人がやらないとマシンのコントロールが乱れちゃうんですよ」

それならば、新規参入というわけにはいかないのでしょうか。

矢吹さん「非常にハードルが高いと思いますね。
まず1億円かかるっていうこともそうですし、あとは人口がそれなりにないといけないじゃないですか。

そういうところにバッティングセンターが建てられるような空き地がそもそもないんですよ。

もし新規参入しようとしたら、後継者を探してる既存のバッティングセンターさんのオーナーさんに頼んで、店ごと譲ってもらうしか方法はないかなと思いますね。

ただ、実際そうやって受け継いだ若いオーナーさんも本の中で取材してますので、もしどうしても経営したいっていう若い方がいらっしゃいましたら、いろんなオーナーさんに声をかけてみるのもいいんじゃないかなと思いますね」

このままだとバッティングセンターはなくなってしまう可能性があるため、野球好きの方はまず、実際に行って遊んでみてはいかがでしょうか。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2022年04月09日10時29分~抜粋

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