北野誠のズバリ

おでんの具「赤棒」は名古屋だけ?ピンク色の練り物の意外なルーツ

12月24日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』、「松岡亜矢子の地元に聞いちゃうぞ」のコーナーでは、名古屋のおでんに欠かせない具材「赤棒」を紹介しました。

地元ではおなじみのこの練り物、その由来をたどると、熱田神宮や草薙の剣にまつわる興味深い説が見えてきました。

[この番組の画像一覧を見る]

地域で全然違うおでんの具

シンプルな料理ながら、地域ごとに全然違うのが面白いおでん。練り物で有名な紀文食品のウェブサイト「おでん教室」を参考に、松岡が各地の独特の具を紹介していきます。

関東はちくわぶ、静岡は黒はんぺん、金沢は車麩やかにの身が甲羅に詰め込まれた蟹面、関西ではタコ足があります。

名古屋のおでんは「味噌おでん」として認識されていますが、家庭で作るには手間がかかるため、普通は「関東炊き」と呼ばれる透き通った出汁で作り、食べる時に「つけてみそかけてみそ」か自家製みそを付けることが多いと松岡は説明します。

名古屋独自の「赤棒」とは

しかし味噌おでんにも、名古屋オリジナルの具があると松岡は続けます。味噌の出汁の中をよく見ると、うっすらピンクがかった棒が沈んでいる。これが名古屋独自のおでんの具「赤棒」です。

松岡は紀文食品のサイトから赤棒の説明を読み上げました。

「ピンク色の棒状のさつま揚げでおでんに入れるととても目立つ。複数のメーカーが製造していてピンク色が濃いものから薄いものがある。岐阜県や愛知県の中にはさつま揚げのことをはんぺんと呼ぶ地域があり、赤はんぺんの別名ももつ。うずらや鶏のゆで玉子が入った練りものもあり、こちらは玉子巻とも呼ばれる」

赤棒はおでん以外に見かけることがなく、冬の時期しか出していないメーカーが多いとのこと。ヤマサちくわの売り場の方に聞いたところ、10月から2月頃までしか販売していないそうです。

出汁の違いで変わる食感

ここで松岡が、味噌と普通の2種類の出汁で作った赤棒を披露しました。「同じものなのに、炊くお出汁が違うと少し食感が変わること」に自分で作って驚いたといいます。

まず普通の「関東炊き」で作った方を試食。北野は「ヤマサさんありがたいですわ。おいしいです」と絶賛しましたが、「はんぺん」と呼ぶのはピンとこない様子。北野的には「さつま揚げ」以外の何物でもないようです。

次に味噌で炊いた方を試食すると、北野は「全然違うな」と驚きます。

松岡「味噌の方がちょっと引き締まるんですよ」

北野「ってことは、赤棒はやっぱり味噌で食べる方が美味しいのかな」

松岡「お子さんはふわふわ食感の方が好きなら、お出汁の方がおいしいかもしれない」

こうした違いがあることを、松岡も初めて知ったといいます。

赤棒が赤い理由は?

そもそもなぜはんぺんを赤く染めたのか。松岡は名古屋女子大学短期大学部の遠山佳治先生の2021年の研究論文を紹介しました。

1つ目の説は、熱田神宮を崇拝していた織田信長が赤を好んだことにちなむという説。

2つ目の説は、熱田神宮の草薙の剣にまつわるものです。草薙の剣は一度盗まれ、西暦686年の朱鳥(しゅちょう)元年に戻ってきました。この年号にちなみ、朱色が熱田神宮では特別な意味を持つ色だから赤棒ができたのではないか、という説です。

草薙の剣は一度皇居の方に戻されたものの、「やはり熱田神宮に戻しなさい」というお告げがあり、戻されたのが朱鳥元年。だから朱色が神聖な色として好まれたのではないかという考察です。

「皆さんもぜひ赤棒、そんなルーツがあるんだと思って1回食べてみてください」と呼びかけた松岡でした。
(minto)
 
北野誠のズバリ
この記事をで聴く

2025年12月24日14時39分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報