『北野誠のズバリ』、健康の悩み、夫婦の悩みなどを解決する「中高年よろず相談室」のコーナー。
1月28日の放送では、リスナーAさん(58歳・男性)からの「胃を全摘するとどうなるの?腸が胃の役割をしてくれるの?」という質問を取り上げました。
心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が、胃を全摘した後の身体について解説しました。
胃を全摘すると腸が胃の代わりをしてくれるって本当?
胃は食べ物を保管する「袋」
「うちのパートのお母さまが、先日胃がんのため胃を全摘しました。『胃を全摘しても、腸が胃の代役をしてくれる』みたいな説明を聞いたことがありますが、もう少し具体的に教えてほしいです」(Aさん)
ご存じのように、胃は食べ物を胃液と混ぜ合わせて消化する場所。しかし吉田先生によると、「むしろそれ以上に大事な役割は、食べ物を一時的に保管しておく袋として」だといいます。
胃の出口には「幽門」があるため、食べたものは胃から少しずつ小腸に送られます。そこで胆汁とすい液が混ざり、消化が一気に進む仕組みです。
消化の中心は小腸ですが、小腸は細いため一度に大量に処理することができません。
そのため、胃という大きな袋に食べ物を溜めておいて、少しずつ小腸へ送るという仕組みになっているのです。
ご存じのように、胃は食べ物を胃液と混ぜ合わせて消化する場所。しかし吉田先生によると、「むしろそれ以上に大事な役割は、食べ物を一時的に保管しておく袋として」だといいます。
胃の出口には「幽門」があるため、食べたものは胃から少しずつ小腸に送られます。そこで胆汁とすい液が混ざり、消化が一気に進む仕組みです。
消化の中心は小腸ですが、小腸は細いため一度に大量に処理することができません。
そのため、胃という大きな袋に食べ物を溜めておいて、少しずつ小腸へ送るという仕組みになっているのです。
腸が膨らんできた気がする?
「胃を全摘すると、腸が胃の代わりに膨らんでいくという話は聞きますけど。あれは医学的に本当なんですか?」と尋ねる北野に、「私もこどもの頃から聞いていて、医学部の2年生まで信じていた」と吉田先生。
吉田先生によるとこれは「医学的には全くウソ!」で、「胃を取っても腸は腸のまま」なんだそう。
ただ、胃を全摘した患者さんは「腸が胃の代わりに膨らんできた気がする」という人が結構多いため、このような誤解が広がったのではないかと考えられているそうです。
胃を摘出した直後は、縫い合わせた腸の部分が腫れあがっているため食べ物が通りにくく、食べたくても食べられない状態が続きます。
数日経つと少しずつ腫れが収まり、元通りとまではいかなくてもだんだん食べられるようになる。それで感覚として「腸が胃の代わりに膨らんできたのかな?」と感じる人が多いというわけです。
吉田先生によるとこれは「医学的には全くウソ!」で、「胃を取っても腸は腸のまま」なんだそう。
ただ、胃を全摘した患者さんは「腸が胃の代わりに膨らんできた気がする」という人が結構多いため、このような誤解が広がったのではないかと考えられているそうです。
胃を摘出した直後は、縫い合わせた腸の部分が腫れあがっているため食べ物が通りにくく、食べたくても食べられない状態が続きます。
数日経つと少しずつ腫れが収まり、元通りとまではいかなくてもだんだん食べられるようになる。それで感覚として「腸が胃の代わりに膨らんできたのかな?」と感じる人が多いというわけです。
胃切除後症候群
胃を摘出してしまうと、一度にたくさん食べられなくなるのは当然のことですが、これ以外にもいろいろと問題があります。
代表的なのは、「血糖値が乱高下してしまう」ということ。
食べたものが一気に小腸に送られ、まとめて消化吸収されるので、血糖値が急激に上昇。
その後、すい臓からインスリンが出て一転低血糖になり、頭痛・倦怠感・冷や汗・めまい・手や指の震えが起こります。これを「胃切除後症候群」と呼びます。
これは、手術で「代用胃」をつくることで予防ができます。小腸の先の部分を取ってきて、胃を全摘した部分に縫い付けるという手術です。
「その部分が胃のように膨らむことはなく、細い管のままですが、すい液が混ざる部分までの距離は稼げますよね。だから血糖値の乱高下もある程度抑えられる」と吉田先生。
「胃を全摘したら腸が胃の代わりになる」という話が広がったひとつの理由は、この「代用胃」の話を聞いた人が勘違いしたケースかもしれないということです。
代表的なのは、「血糖値が乱高下してしまう」ということ。
食べたものが一気に小腸に送られ、まとめて消化吸収されるので、血糖値が急激に上昇。
その後、すい臓からインスリンが出て一転低血糖になり、頭痛・倦怠感・冷や汗・めまい・手や指の震えが起こります。これを「胃切除後症候群」と呼びます。
これは、手術で「代用胃」をつくることで予防ができます。小腸の先の部分を取ってきて、胃を全摘した部分に縫い付けるという手術です。
「その部分が胃のように膨らむことはなく、細い管のままですが、すい液が混ざる部分までの距離は稼げますよね。だから血糖値の乱高下もある程度抑えられる」と吉田先生。
「胃を全摘したら腸が胃の代わりになる」という話が広がったひとつの理由は、この「代用胃」の話を聞いた人が勘違いしたケースかもしれないということです。
ピロリ菌除菌のデメリット
胃がんの原因は、圧倒的にピロリ菌の感染です。世界の胃がん患者の60%は、日本・中国・勧告などの東アジアに集中しています。
欧米人もピロリ菌に感染しているものの、欧米のピロリ菌は感染しても胃がんになりにくい株なんだそう。
国内で人口あたりの胃がんが最も少ないのは沖縄県ですが、沖縄のピロリ菌は欧米に似ている株だといいます。
つい最近までは胃がん予防のために除菌するのが当たり前だったピロリ菌ですが、最近は除菌のデメリットもいろいろと見つかっているそうです。
例えば、除菌をすると胃酸が増えるため、逆流性食道炎になりやすくなります。これにより、咽頭がんや喉頭がんなど、のどのがんが増えてしまう可能性があります。
また胃の壁が厚くなってしまうので、検査で胃がんが見つかりにくくなるというデメリットもあるようです。
「トータルでみると、除菌すべきかどうかは微妙なんで。主治医とよく相談していただきたいですね」と吉田先生。
欧米人もピロリ菌に感染しているものの、欧米のピロリ菌は感染しても胃がんになりにくい株なんだそう。
国内で人口あたりの胃がんが最も少ないのは沖縄県ですが、沖縄のピロリ菌は欧米に似ている株だといいます。
つい最近までは胃がん予防のために除菌するのが当たり前だったピロリ菌ですが、最近は除菌のデメリットもいろいろと見つかっているそうです。
例えば、除菌をすると胃酸が増えるため、逆流性食道炎になりやすくなります。これにより、咽頭がんや喉頭がんなど、のどのがんが増えてしまう可能性があります。
また胃の壁が厚くなってしまうので、検査で胃がんが見つかりにくくなるというデメリットもあるようです。
「トータルでみると、除菌すべきかどうかは微妙なんで。主治医とよく相談していただきたいですね」と吉田先生。
人間の身体はおもしろい
北野「人間の身体って、代用胃みたいに役割を変えることって多々あるんですか?」
吉田先生「多々あるっていうほどではないものの、脳は結構あるんです」
たとえば脳梗塞で一部の脳の細胞が死滅した場合、腕が動かなくなる、言葉が話せなくなるなどの後遺症に悩まされることがあります。
死んだ脳細胞が元に戻ることはないものの、あまり使っていない違う部分の神経細胞が、なくなった部分の役割を新たに担ってくれることはあるんだそう。
「だから、リハビリはしっかりやった方がいいんですね!」と吉田先生。
「おもしろいですね、人間の身体って、そう考えると」と、人体の不思議を感じた北野でした。
(minto)
吉田先生「多々あるっていうほどではないものの、脳は結構あるんです」
たとえば脳梗塞で一部の脳の細胞が死滅した場合、腕が動かなくなる、言葉が話せなくなるなどの後遺症に悩まされることがあります。
死んだ脳細胞が元に戻ることはないものの、あまり使っていない違う部分の神経細胞が、なくなった部分の役割を新たに担ってくれることはあるんだそう。
「だから、リハビリはしっかりやった方がいいんですね!」と吉田先生。
「おもしろいですね、人間の身体って、そう考えると」と、人体の不思議を感じた北野でした。
(minto)
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