「お客様は神様です」というフレーズはサービス業の基本といわれるものの、最近は悪質なクレーマーやSNSで悪評を流す客が問題化しています。
『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」コーナーでは、リスナーから届いた法律に関する疑問や悩みに対して、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が回答。
10月20日の放送では、店側が迷惑な客を出入り禁止、いわゆる「出禁」にできるのかどうかについて解説しました。
出禁にすることは法的に問題ない?
今回紹介したおたよりは、次のとおりです。
「私は飲食店を経営しています。
大半のお客さんはマナーを守ってくれますが、最低限のマナーを守らないお客さんもいて、どのように対策したら良いのか困る場合があります。
そこで出入り禁止、いわゆる出禁にすることもあるということで、そういった対処に移ろうかなと思いますが、そんなことはできるのでしょうか」(Aさん)
今や「出禁」というフレーズが一般化しているぐらいですから、実際に行われているといえそうですが…。
原先生「悪質なクレーマーや面倒なお客さんに対して、店の経営者は店の管理権を持ってますから、そのお客さんの受け入れを拒否することができますね」
店側が拒否することは、法律的に問題はないのでしょうか。
原先生「もともと受け入れ義務がお店にないですね。
ですから、お互いが自由というわけです」
客が店を選ぶのが自由なのと同じように、店が客を選ぶのも自由ということですね。
出禁にする時の注意点
ただし、出禁を言い渡す際、注意すべきことがあるそうです。
原先生「あいまいに言われると、拒否された人も『なんで俺がダメなんだ』って思っちゃいますから、ハッキリ『こういう理由で受け入れられません』と言う必要がありますし、あと言った言わないということもあるので、録音もキチッと録ってもらいたいなと思いますね」
その録音をする際、相手方の許可は必要でしょうか。
原先生「基本的には2人の会話を録音するのは自由なので、許可はなくてもいいですから、普通にケータイで録音を録ってもらえばいいと思います」
では、出禁を伝えた際に暴れた場合は、警察に電話しても大丈夫でしょうか。
原先生「暴れたら業務妨害ですし、出て行ってくださいって言ってるのに出ていかなければ、不退去罪っていう罪もありますから。
いずれにしても、明確に意思を伝えないと警察も動けないので、出て行ってくださいってハッキリ言った方がいいですね」
ドレスコードも問題ない?
「迷惑な客を出禁にする」ということですが、具体的にどんなお客さんだと出禁にできるのでしょうか。
原先生「何もないのに言いがかりのようなことを繰り返している人は、出禁になりやすいですし、あとは飲み屋さんだとハレンチな行動をしたり、ケンカをしたりとか、飲んで暴れる方に関しては出禁にしやすいと。
昔多かったのは、出禁とちょっと違いますけど、ドレスコードが厳しいってのも出禁の一種ですよね」
男性だとスニーカーやサンダルは禁止だったりと、ドレスコードは店が客を選ぶ際たるもの。
店の雰囲気を保つために必要なルールというわけです。
あと、コロナ禍でたびたび問題となるのが、「マスクをしていない人は入店拒否」というルールですが、こちらも店側が決めて良いルール。
他のお客さんに不安を与えないためや、消毒とともに世の中の常識と化していて、お店側が課しても良いルールです。
マスクをしない人が「そんな決まりはない!」、「マスクをしたらダメって法律でもあるのか!」と騒いで、店ともめるというニュースがかつてありましたが、原先生はあらためて、「お店側の裁量でできることですね」と回答しました。
客だから何をやっても良いというわけではないことは、肝に銘じておく必要がありそうです。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2021年10月20日14時12分~抜粋