神谷明・日髙のり子 TALK!×3

神谷明が伝授。誰でもできる喉の調子をチェックする方法

1月20日『神谷明 TALK×3』はパーソナリティの神谷明自身が声優になってからのことを語りました。

むしろレギュラーを獲るようになってからが辛かったという神谷ですが、そこで見つけた物事の見方とは?

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ギャラは安いが面白い

劇団テアトルエコーに入って、最初の仕事は『魔法のマコちゃん』(1970-71年)というアニメ作品だったそうです。
横浜から大泉学園(東京都練馬区)の東映撮影所近くにあったスタジオまで往復5時間を通い、当時は手取りが2,000円なかったんだとか。

そこから劇団に何パーセントが引かれ、さらに税金を抜いて食事をしたらほとんど残らなかったそうです。
それでも全くに苦にならず面白かったと言う神谷。

「当ててる皆さんが面白い。やっぱり画面と同じような身振り手振りや、顔つきをしてらっしゃる。つまり芝居をやってるわけですよ。は~、こうやってやるんだと思って。決まった役はなかったけど、毎週、呼んでもらえるのが楽しくて楽しくて」

 

声優の仕事

「実際に当ててみると、うまくいかないんですよ。だいたい遅れる。あっあっと思ってるといっちゃうわけ。で、ぼーっとしてマイクの前からどかないと先輩から押されるわけ。次の台詞も録れない状態になっちゃうから」

アフレコの難しさを語る神谷。

「僕らの仕事って、ほとんどの方が台本を左持ちなんですよね。まず、セリフの冒頭の部分を覚えておいて、役の口がパッて開いたら喋り始める」

喋ると同時に目を台本に落とし、喋りながら先を目で追って覚えるんだそうです。
言いながら画面を見て、台詞終わりと画面の口が閉じるのが合えばオッケー。口を合わせる練習は試写とリハーサルでできるそうです。
収録はテスト、ラストテスト、本番という3回が基本なんだとか。
 

セリフが入らない時

そんな中で合わせていく先輩の技を学んだという神谷。
セリフの後半は1、2、3と一定のリズムで数を数えて、そこに何文字入るかを探る先輩もいたそうです。
セリフが長くて、次のキャラの喋り始めまでに言い終わらない場合は、敢えて次の人が被せて喋るそうです。

そうすることで、もう少し速く読まなければいけないという、絵と口のタイミングに気づかせるんだそうです。リハーサルは収録していないので、こういうことができるのですが、今はそうもいかないんだとか。

「最近の仕事はテストから回してんだよ。テストってみんなリラックスしてるから、結構いいお芝居するの。で、そのシステムに慣れていない人は親切で台詞を食っちゃったりするんだけど、そういうことは今はしちゃいけない」と神谷。

次の公開になる『劇場版シティーハンター』もそうですし、『名探偵コナン』、『それいけ!アンパンマン』も最初から回っているらしいです。
 

収録時間

『シティーハンター』はテスト、本番の2回での収録だったそうです。
理由は3回やると神谷が飽きてしまうからだそうです。

『名探偵コナン』も2回の収録。普通は3時間で終われば速いところを、『名探偵コナン』ではみなさんが役になりきっているので2時間で終わったこともあったそうです。

逆にディレクターが交代した直後などは、そのディレクターのリズムができるまで5~6時間かかることもあったそうです。こういう時はスタッフ間での打ち合わせが長く、声優陣は待っている時間が長いそうです。

「その間、僕らはおしゃべりをして、楽しく盛り上がる。楽しく盛り上がるってのはテンションを上げとくためにすごく必要なの。昔、内海賢二さんと『北斗の拳』やってる時はすぐわかる。遠くの方からキラキラしたあの内海さんの声が聞こえるわけよ」
 

喉の調子の確認方法

内海さんは『北斗の拳』ではラオウ役でした。
普段は『Dr.スランプ アラレちゃん』の則巻千兵衛さんのような楽しい方で、とにかく賑やかだったそうです。

「時々、カラスのような声でアーとかやるの。何やってんだろうと思ったら、自分の喉を確かめてるの。裏声チェックっていうのがあるんです」と言う神谷。

「『キン肉マン』の時に、戸谷公次さんという後輩が、『ウーン、ウーン』(子犬が甘えるような声)ってやってるから、何やってんだろうと思ったら、これでチェックしてるんだって」

この自分の裏声の基本を覚えておくと、例えば少し筋が入ったような感じでハスキーになったら、普段のおしゃべりでもボリュームを下げたほうがいいとか、カラオケをしていたらもう止めた方が良いというように喉の調子が分かるそうです。

声帯が傷んでくると最終的には「ンン…」と出なくなるそうです。一般の人も全く同じなので、裏声で高い音を出して、自分の喉のコンディションを確かめると言いそうです。

「僕なんかも普段、何気ない時に『ンー』ってやっちゃって、みんなから変な目で見られることがあるけど、実はそれをやってるの。だから内海さんの『アー』っていうカラスの声も実はそうなの」
 

ただでもよかった『いなかっぺ大将』

「野沢雅子さんと愛川欽也さん。このコンビが面白いの。台本に書いてないこと平気で喋っちゃう。でも見事に呼吸があってて」

面白いのでついつい笑ってしまうそうですが、口を閉じてプッと吹くと、その音が収録の中に入ってしまいます。
そこで神谷が生み出したのが口を開けて笑う方法。口を開けて笑えば、ちょっと息が漏れてる程度で音が出ることはないんだそうです。

「30分間の番組なんだけど楽しくて楽しくて。あの番組で初めて、こんな楽しい思いをしてギャラをもらっていいんだろうかって思った。素晴らしいギャグの応酬。楽しかったなあ」

懐かしそうに語る神谷。
 

野沢雅子の天敵?

初めての主役は『バビル二世』でした。これ以降、どんどん神谷の主役の仕事が増えていきました。野沢雅子さんから当時の話が出ると、「あの頃は明君にいっぱい役取られたわ~』と言われるそうです。

アニメの主役は10代前半の少年が多く、男性がやっても女性がやってもいい年齢です。
『バビル2世』の古見浩一、『荒野の少年イサム』の渡イサムなどは神谷の知らないところで野沢さんと争っていたようです。
 

レギュラーで見えた自分

「『バビル2世』で初めてレギュラーを頂いて、何が良かったかって言うと、それまでその他大勢だったんだけど、喋る量が増えるじゃない。たくさん喋ってみて、さらに自分の粗、至らないところが見えてきたの」

最初はオンエアを見るのが辛かったそうです。できていない自分を見ることができなくて、電気店でテレビに映っている自分の番組を見ると、俯いてサッと通り過ぎていたそうです。

「自分の作品を、本当にゆっくり余裕をもって見られるようになったのって、本当に『うる星やつら』とか『キン肉マン』から」と神谷。

『バビル2世』と『荒野の少年イサム』が1973年。『うる星やつら』が1982年、『キン肉マン』が1983年です。この間10年。
 

発想の転換

「それまでは、できてない自分を責めてる自分がいて。仕事は楽しいんだけど、何できないんだよっていう思いの方がデカくて、辛くて辛くてしょうがないの。だから楽しいと辛いの繰り返し」

そこで神谷は考え方を変えてみました。

「自分の持ち点って何点だろ?50点にして、これに1点でも、もしくは0.1点でも積み重なったら、喜び、なおかつ自分を褒めてやろうと思ったの」

こう発想を転換したら楽しくなったそうです。

「何故かっていうと、今日はこれができた、これもできたっていうでプラスの方向しか見なくなったから。物事って見方によってこんなに変わるんです。そんな風に、自分で自分の生き方のある部分を見つけたことがありますね」 
(尾関)
 
神谷明・日髙のり子 TALK!×3
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2019年01月20日17時00分~抜粋

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