声優、俳優として活躍中の高木渉さんが12月2日のラジオ番組『神谷明TALK×3』に出演しました。
パーソナリティの神谷明とは、神谷が「渉」と呼び捨てするほど長い付き合いだそうです。
にもかかわらず、妙に緊張気味の高木さん、その理由は?
打ち合わせ、筋書き無し
高木「緊張してます」
神谷「このスタジオに入った時からなんかガチガチなんだよ」
その理由を語ろうとする高木さん。
高木「来たら、すぐスタジオの中に入れられて『もう本番です』って言われたんです。こんな番組ってあるんですね。全然打ち合わせないんですか?」
神谷「ないない。挨拶もそこそこに行くという感じだから」
高木「びっくりな番組ですよ」
この番組では打ち合わせも筋書きもなく、ぶっつけ本番のガチトークが売りだそうです。
昭和の遊びで盛り上がる
まずは高木さんの生い立ちの話から。
「生まれどこ?」と聞く神谷に、「僕はM78星雲です」とボケる高木さん。二人の付き合いの長さがわかります。
千葉県出身の高木さんはゲーム世代の少し前の世代。まだファミコンがなかったので、野球、鬼ごっこ、缶蹴り、かくれんぼなどをして外で遊んでいたそうです。
高木「お姉さんがいるので一緒にゴム跳びもやったり」
神谷「男跳びとか女跳びとかあってね」
1946年生まれ72歳の神谷と1966年生まれ52歳の高木さん、歳に開きはありますが、こどもの頃の遊びは共通だったようです。
高木「ドロケーやったり」
神谷「陣地つくったり」
高木「やってました。やってました。円描いて相撲もやってましたもん。何時代なんだ俺は」
マルセル・マルソーに感動
高木「こどもの頃から結構いい加減な人間だったんで、やっては辞め、やっては辞めしてましたね。中学の頃はバスケットボールをやったなあ」
高校時代になると、卓球部にいながらも演劇に興味を持ったそうです。
高木「当時は演劇部はあったんですけど、女の子ばっかりで恥ずかしくて入れなかった。ただ興味はありましたね。パントマイムみたいなのが好きだったんですよ。それでマルセル・マルソーが日本に来た時に見に行って凄く感動したんです」
マルセル・マルソーは「パントマイムの神様」と呼ばれるフランスのアーティスト。
1955年(昭和30年)以来、たびたび来日していました。
高木「哀愁があって、ドラマがあって、言語を使わないのに音楽みたいに伝わるものがあったんです。そのマルセル・マルソーの動きがいいなあと思って、お芝居の方に行きたいなと思ってたんですよね」
真逆の道へ
マルセル・マルソーに感動したのが夏。しかし当時の劇団の入団試験は1月や2月に行われていました。
高木さんが途方に暮れていたところに、勝田声優学院でサマースクールの募集がありました。
勝田声優学院の主宰はラジオドラマの草分けとして活躍し、1963年『鉄腕アトム』のお茶の水博士の声を担当した勝田久さんです。
高木「サマースクールに入って、逆に、声だけで芝居をすることに凄く魅力を感じちゃったんですよ。声だけで、こんなにいろんな芝居ができるんだって思って」
年が明けたらどこかの劇団を受けようと思っていた高木さん、結局翌年の4月に勝田声優学院に入学しました。
高木さんは5期生。同期に森川智之さん、横山智佐さん、三石琴乃さんらがいます。
高木「結果的に言うと、声を出さないで身体だけで表現しようと思ってたのに、身体を見せないで声だけで表現する仕事に就いちゃったんですよ。真逆ですね」
仕事が終わると褒め殺し
「何でもそうだけど縁っていうのがあって、何か自分が気になったもの、好きになったものはとことんやってみりゃいいなと思いますね」と振り返る高木さん。
勝田声優学院で出会った仲間たちについては?
高木「仲は良かったですね。ただおてて繋いでお友だち、みたいな感じではなかったんですよ。どっかギラギラしてましたね。森川と僕も凄く仲がいいんだけど、どっかでライバル心があるんですよ。あいつには負けたくないみたいな」
高木さんをはじめ森川さん、横山さん、三石さんと、それぞれ違ったキャラクターが揃っています。
高木「求められているキャラクターが違うから、僕は森川とは話が合うんですよ。森川は2枚目でヒーローで僕は3枚目でしょ。だから二人で同じ仕事やってて飲みに行くと、『今日の森川の芝居は良かったね』『渉の芝居には敵わないよ』って、競合しないからお互い褒め殺し」
神谷明の場合は…
神谷「僕も最初は古川登志夫さんに対してギラギラしてたの。でもよく考えたら、同じような役をやってるけど全然違うよなって思った途端に大好きになっちゃって。それで、今は彼が活躍していることがすごいパワーになる」
仲間への思い
2016年NHKの大河ドラマ『真田丸』で、真田信繁(幸村)の義兄・小山田茂誠役でテレビドラマに俳優として初出演した高木さん。
それ以降も年に数本、役者としてのキャリアも積み上げています。
高木「これ僕の持論ですけど、僕は役者の仕事ってゴールはないと思ってるんですよね。ただ正解はあると思ってるんです。それは放送した時とか、舞台だったら公演のその日だとか。お金を頂いたお客さんに対しても、ここまで稽古してきた自分たちに対しても正解にしなきゃいけない。
ただ役者にとってはゴールはないと思うんですよ。次の日、もっと良いものをという思いで、また頭からお芝居やるわけだからゴールはずっと求めていくものなんです。みんなそういう思いでやってるんで、お互い切磋琢磨しながらも勇気付けあえる仲でいられる。こういうメンバーがいるのはいいなと思います」
舞台は止められない
神谷「芝居について下に伝えることはどう?今の渉たちにしてもそうなんだけど、下の人たちへの愛はあるんだけど、なかなか通じなくなったでしょ?」
高木「どうでしょう?あんまり言わなくなりましたよね」
神谷は「自分の思いが伝わらない」と感じた時から後進へ伝えることをしなくなったそうです。
一方の高木さんは、30年前にデビューした頃に比べると「役者が多すぎて需要と供給のバランスが合ってない」と、後進へ思いが伝わらない原因を指摘します。
昔は同じ人と仕事でよく会っていたそうですが、今は一度一緒に仕事をしても、次はいつ会うのか?という状況だそうです。
高木「何かそこで先輩風吹かして言っても、その後、全然会えないなら言わなくていっか、みたいな。今はそういうところもありますね」
最後に舞台について語る高木さん。
高木「舞台はやっぱりすごく自分のためになりますよね。稽古してじっくり作っていくプロセスが凄く好きだし。ああでもない、こうでもないと演出家と喧々囂々やるのも好きだし。舞台は止められないですよね」
(尾関)
神谷明・日髙のり子 TALK!×3
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2018年12月02日14時00分~抜粋