神谷明・日髙のり子 TALK!×3

日高のり子、30年後に知った「おこきになった屁」事件の真実

声優の神谷明がパーソナリティを務めるラジオ番組『神谷明 TALK!×3』。
10月28日放送分は先週に引き続き、声優で女優の日高のり子さんがゲスト出演しました。

今回は日高さんが声優になってからの話。今や伝説の作品となった『タッチ』の収録裏話や『となりのトトロ』での衝撃の告白が飛び出しました。

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声優へ誘った理由

前回は特撮ドラマに女優として出演していた日高さんを『ふたごのモンチッチ』の主題歌に起用した人物から、アニメの声優をやらないかと声をかられた、という話で終わりました。

「実際にアニメの声優を始めたのは21歳の時なんですけど、そのお話は18歳の時なんです。それより3年前」と日高さん。
なぜ3年も前に声優として日高さんに注目していたのでしょうか?今から10年程前にその人と再会した日高さんは理由を聞きました。

その人はレコード会社でアニメ主題歌を担当していて、声優たちと話す機会があったそうです。日高さんの普通に喋る感じが声優に向いてると思ったのだそうです。

日高「二十歳ぐらいの時、ラジオ番組へのおたよりで『日高さんは声優向いてるんじゃないんですか?』というのはあったんですけど、実はその前にそう考えてくれた人がいたっていうことが不思議ですね。私は結局、遅かれ早かれ声優業界に来たんだと思います」
 

『タッチ』のオーディション

その後声優として『よろしくメカドック』(1984年 フジテレビ系)にレギュラー出演していた日高さん、収録後にいつもと違うスタッフらしき人に声をかけられました。

日高「今度『タッチ』っていう作品のオーディションを受けてもらうからねって言われたんです。いま思えば、その人は『タッチ』の音響監督の藤山さんなんです」

日高さんの代表作と言えば、『タッチ』(1985年 フジテレビ系)の浅倉南役。その配役のきっかけとなる出来事です。

日高さんは、この藤山さんの話を聞いて、慌てて公衆電話から電話をかけて「『タッチ』って作品のオーディションを受けてもらうって言われたので連絡が入ると思うから」とマネージャーに連絡したそうです。
「順番が逆だよね」と面白がる神谷明。
 

気持ちを入れて失敗

こうして受けたオーディションですが…

日高「『タッチ』って普通の会話なんですよ。急にテンションあげるとかじゃなくて、普通のトーンで喋ると暗いって言われて。もうちょっと明るくしゃべってって何度も言われました。その後ずっと連絡もなかったので、もうダメかなって思ってました」

意外にもまったく自信がなかったという日高さん。

神谷「僕のイメージでノンちゃんの声で『暗い』っていうのはないの。逆に言えば、それはセリフが暗かったんだよ。そういうのって今はテクニックでできるじゃん」

日高「音でね。でも、その時は音っていう感覚で自分の声を捉えてなかったんです。まだ声優としてのテクニックはなかったので、自分の中学生の時、こういうことがあったらどういう気持ちになるだろうと思ってセリフをしゃべってました」
 

オヤジたちの南ちゃん

周知のようにその後オーディションをパスし、浅倉南役をつかんだ日高さんですが、収録は毎回大変だったそうです。

日高「杉井ギサブロー監督、藤山音響監督、さらに広告代理店、テレビ局、映画会社のプロデューサーさんがいらして、皆さん、男性なのでおひとりおひとりの心の中の南ちゃんがいるんです。そこから私がはみ出ると、やっぱり気になるんですね」

あだち充さん原作の『タッチ』はそもそも人気の高い作品でした。
そのためか、上杉達也役の三ツ矢雄二さんには、関係者から演技に対し直接電話がかかっていたそうです。

一方、日高さんに対しては、新人だから直接言ったら潰れてしまうという理由で藤山音響監督が間に入っていたそうです。
 

南ちゃんは怒っても優しく

日高「一回だけテレビ局のプロデューサーさんが、『日高君!!』ってアフレコスタジオに飛び込んできてびっくりしました。私の中では、あそこだけは声優しか入れない安全地帯だと思ってたんです」

この時収録していたのは、トイレに逃げ込んだ達也を南が叱るという場面。

日高「弟がいるので、叱る時には男まさりで叱るところがあったんです。『日高君、南ちゃんは怒っても優しく~!』って凄い怖い顔で、堪忍袋の緒が切れたって感じで入ってこられたので怖かった。

だって南ちゃん、トイレに隠れたたっちゃんを追いかけて、ドアをドンドンやるだけじゃなくて蹴とばしてたんですから。直接怒鳴られたのは、後にも先にも、それ一回だけですね」
 

アニメ三銃士は大河ドラマ

その後1987年には『アニメ三銃士』(NHK)に出演した日高さん。原作はデュマの『ダルタニャン物語』。
この作品で日高さんが演じたのは、可愛いけど芯のある強い女性、コンスタンスでした。

実は神谷も、この作品で三銃士のひとり、アトスを演じていました。

日高「あの作品は凄かったと思って。神谷明さんと玄田哲章さんと山田栄子さんが三銃士をやってらっしゃって、田中秀幸さんもいらっしゃって、私の中では"アニメ界の大河ドラマ"だって思えるようなキャスティングだったんです」

30年経った今見ると、すごいキャスティングです。
 

おこきになった屁

この作品では日高さんがセリフをよくとちっていたと言い出す神谷。

神谷「どういうわけか、"か"を"こ"って言うの。『レディーの物をひっこきまわすものじゃないわ』って言ってたでしょう?」

日高「"か"を"こ"に間違えるという指摘はされてないんですけど…確かに。
『陛下がお描きになった絵』っていうセリフを、田中真弓さんが『陛下がおこきになった屁』って言ったんですよ。『屁って言ってません!絵と言いました』って言ったんですけど」

神谷「僕のイメージでは『陛下がおこきになった殿下の屁』って聞いてるんだよね」
日高「じゃあみんなにそう聞こえてたんですね。私、真弓さんを責めたので申し訳なかったです。

真弓さんて、全部下ネタに持って行く酷い人と思ってたんですけど、本当に言ったんですね。『陛下のおこきになった殿下の屁』って。あ~最悪」
 

トトロの真実

宮崎駿監督の代表作『となりのトトロ』(1988年 宮崎駿監督)では草壁サツキを演じた日高さん。

日高「若い頃、滑舌が良くなかったみたいで、全部録音されてから指摘されたんですけど、トトロもよく聞くと"おとうさん"っていうのが"おどうさん"になってるっての」
神谷「気にならなかったよ?」

日高「耳を澄まして聴いていったん"おどうさん"って聞こえちゃうと全部"おどうさん"ですから。
私それで、なんで初日に言ってくれなかったのって思って。しょっぱなから『おどうさん、キャラメル』って言ってて、ええ~~、みたいな」
神谷「俺、滑舌より、おっちょこちょいで、そこが可愛らしいと思ってたんだよ」
 

トトロの衝撃

引き続き『となりのトトロ』のエピソードです。

日高「初めて台本とリハーサルのVTRを頂いた時に、絵が入ってない線画だったんです。でも完成されたあのままなんです。それが素晴らしい線画なんですよ。田んぼの稲はそよいでいるし」

これに久石譲さんの音楽が入ると思うと愕然としたという日高さん。
さらに日高さんを驚かせたのが、登場人物がもの凄くお芝居をしてること。

日高「声で多少なりとも絵を補ってあげるような気持ちもあって、アドリブを入れてた部分もあるんですけど、一切、それが必要ないのもわかるし、自分が声を入れたことで台無しになったらどうしようという恐ろしさもありました。

やっぱり『余計なアドリブは一切要らないから』って言われました。セリフの間や息遣いの"はっ"とか"えっ"とか、普通に入れるようなものは一切要りませんからって言われました」

数々の代表作を振り返りながら「声優という仕事が凄く好きで、自分でも合ってると思う」とまとめる日髙のり子さんでした。
(尾関)
 
神谷明・日髙のり子 TALK!×3
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2018年10月28日14時00分~抜粋

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