愛知県碧南市の石川鋳造株式会社にお邪魔しました。
石川鋳造は、溶けた金属を作りたい形の方に流し込んで、それを冷やすと完成する「鋳物(いもの)」を作っている会社。
主に自動車の部品だとか、水道管に使われる鋳物を製造しています。
そんな石川鋳造が普段作っている物と全く違うジャンルのものを開発したそうです。
そしてそれが今、爆発的に売れているということです。
それは「おもいのフライパン」。
お肉が美味しく焼くことができるフライパンなんだそうでです。
なんでも注文してから納品までに約1,000日待ち、つまり3年近くかかります。
それでも注文が止まらない人気のフライパン、どんなものなのでしょう。
詳しいお話を石川鋳造株式会社の石川鋼逸社長に伺いました。
私たちの身近にある鋳物の代表例はマンホール。
鉄などの金属を、だいたい1,000~1,500度で溶かし、型に流し込んで冷やすことによって出来ます。
マンガンなどの副材料などをどれくらいの分量で混ぜ、どれくらいの温度でどれくらいの時間をかけて固めるかによって、完成した鋳物の性質が異なるそうです。
鋳物の特徴は、何と言っても熱伝導がよいこと。
そして材料の分量や温度、時間の調整によって熱伝導の調整も出来るそうですよ。
マンホールなどに使われる鋳物で、どうしてフライパンを作ろうと思ったのでしょうか。
これは自動車部品などの製品以外で、会社の柱となるものを作りたいと思った時に熱伝導が良い鋳物の良さを活かせるのはフライパンだっ!と思いついたという石川さん。
鋳物はなにより保温性にも優れているんだとか。
石川鋳造には、鋳物製造80年のノウハウがあるので、良いものを手作りで作り出す自信があったそうです。
「おもいのフライパン」は、鉄製で直径20センチ程の大きさ。ずっしりとした重みがあります。
そして一般的なフライパンよりも厚みがあるんです。
いくら熱が伝わりやすい鋳物でも、厚みがあると食材に火が通りにくいような気がしますが、この厚みが重要という石川さん。
と言うのも、鋳物は熱が伝わりやすいため、フライパンを薄くしてしまうと表面だけが焼けてしまい、中にじっくり火を通せないんだそう。
厚みをつけることでじっくりと焼くことができるんだとか。
また保温性にも優れているので、火から降ろしても長い間温かいままです。
そして鉄のフライパンだとお手入れなども大変かな?と思いますが、この「おもいのフライパン」はメンテナンスも簡単。
洗剤を使って洗うのはお料理をする前の最初の1回だけ!
その後は調理のたび、フライパンが温かいうちにぬるま湯で油を落とすだけでいいそうなんです。
なんでも、油を使ってお料理をするたびにフライパンが油を吸収してコーティングの役割をしてくれるのだとか!
使えば使う程、錆びにくい丈夫なフライパンになるわけです。
そして無塗装でも錆びにくい技術が施されているので、まさに一生使えるフライパンなんだそうです。
焦げ付き防止のために塗装されているフライパンが多いですが、数年で剥がれてしまう物も多いそうです。
そして無塗装にすれば剥がれた塗装が口に入ってしまう心配もありません。
安心・安全という意味から無塗装なんです。
作り手から使って頂く方への「思い」という意味も込められた「おもいのフライパン」。
肝心の焼き具合も見事です。
普通のアルミのフライパンと「おもいのフライパン」で同じ肉を焼いて頂きましたが、焼き上がりにすごい違いがありました。
アルミのフライパンで焼いても美味しいんですけど、油が口の中に結構残る印象でした。
一方「おもいのフライパン」は同じ火力で焼いているのに外がパリッパリ。
フライパンが余分な脂を吸収してくれるので、程良い油加減になるそうです。
同じお肉でもフライパンでこんなにも変わるのか、と驚きです。
「今後は生産工程を上げて1日でも早く多くのお客様にフライパンをお届けしたい」と語る石川さん。
石川鋳造の皆さんの熱い思いが伝わる取材でした。
「おもいのフライパン」は
専用の通販サイトで買うことができるそうです。
(2/25現在「1000日程度で納品いたします」との記載が)
ご興味のある方はぜひご覧くださいね。
(石坂窓花)
石川鋳造株式会社
愛知県碧南市中松町1-12
0566-41-0661